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VUCA時代に理想的なエンパワーメントされた組織の創り方③「自律した成長を促すルール創り」

前の記事に引き続き、「社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント」を読みながら、ブツブツ独り言を書いて行こうと思います。前回の記事ではメンバーをエンパワーメントするためには3つの施策が必要で、その1つ目は「情報共有」であることが分りました。この記事では2つ目の施策である「ルール・仕事の枠組み作り」について読み解いていきます。

仕事の枠組みやルールとは何か?

部下をエンパワーメントするためには、仕事の枠組みやルールは多い方がいいでしょうか?それとも少ない方がいいでしょうか?

社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント

当然、メンバー自身がオーナーシップを持ち、考えて行動することを期待するなら、枠組みやルールは少ない方が良いですよね。実際、私の経営する会社では、明文化されているルールは恐ろしいほど少ないです。ですが、メンバーのオーナーシップが高いとは決して言えません。

本書では枠組みやルールとは何かを以下のように解説しています。
✕:禁止を示す境界線
〇:自分たちで決め行動出来る、境界線
枠組みやルールは、自律的な働き方を促す境界線
であり、それがあることで「この範囲なら自分で決めて行動してOK」だと安心して働くことが出来る。加えて、メンバーの行動が組織の期待する方向とズレないように導くものだと語られています。

枠組みやルールに必要な項目は?

自律した働き方を促す6つの境界線
1,目的(Purpose)我々の事業は何か?
2.価値観(Values)事業を進めるにあたっての指針は何か?
3.イメージ(Image)どんな将来像を思い描くのか
4.目標(Goals)何を、いつ、どこで、同達成するのか
5.役割(Roles)誰が何をするのか
6.組織の構造とシステム。仕事をどう位置付け、どう支えるのか

社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント

際立って特徴的な枠組みやルールはない印象ですが、日系企業の場合は「5.役割」が曖昧なことが多いです。曖昧が悪いことではなく、良い点もありますが。日系以外の企業では、採用段階から役割を明示し、入社後も報酬と役割がリンクすることが強く求められるため、標準的なルールの1つです。

本書では1つ1つの項目と、その関係性を詳しく説明するとともに、アップルの事例なども交え分かり易く解説されています。

アップル社の目的は「コンピューターと言う情報処理システムをつくり、個人が買える価格で提供する」。その根底にある価値観は「簡単に使えるコンピューターを万人に提供する」。最終的な結果のイメージは「全てのデスク、全ての家に、パーソナルコンピューターが置かれている光景」

社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント

メンバーが組織のVisionを認識し、その中で自分の役割は何かを理解し、自分がどんな違いを生み出せるか自覚した時、Visionが本当の力を発揮すると語られています。では、どうやってメンバーに浸透させていくのかを見ていきます。

枠組みやルールを創るプロセス

本書では、経営者とメンバーが一緒になって枠組みやルールを描いていくプロセスこそが、メンバーのエンパワーメントを引き出す大事なステップだと語られています。

私は中国で多くの組織を支援してきましたが、「Purpose・Value」は本社から与えられるもの、役割や組織構造は曖昧といった組織が多いのは今でも変わらない現実です。熱い想いを持った総経理がいる会社では、説得力のあるVisionやValueを描いていることもありますが、メンバーと一緒になって描く組織はとても少ないです。弊社では「Visionを描くワークショップ」をサービスとして提供していますが、昔からこのサービスのクライアントの大部分は欧米系企業で、今も変わりません。

話し方が私たちの心を捉えました。まるで、みんなに相談に乗って欲しいとかたりかけるような口調だったのです。
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これほどまでに信頼され、価値観を明確にする作業に加わってくださいと頼まれたら、もう他の会社で働く気にはなれません。

社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント

経営者がメンバーに向け、相談するように語りかけることにより、メンバーは「自分はこれほどまでに信頼されている」と感じ、エンパワーメントが高まると解説されています。

経営者とメンバーが一緒になり、枠組みやルールを作成していきます。その過程で、メンバー同士の中でも、異なる考え方があることに気付き、その1つ1つをすり合わせていきます。最終的には以下の質問にメンバー全員が明確に回答出来るようになればOKです。

・私の新しい役割は何か?
・私が決定すべきことはなにか?
・私に課せられた説明責任は何か?
・新しいルールは何か?
・新しい仕事に就くとき、どんな訓練を受ければ良いか?

枠組みやルールの中でメンバーは成長する

ミスが発生したら、まず、何としても修復し、次にミスから学べ。教育では、どのように修復を図れば顧客に満足して頂けて、自分たちも有意義な学びを得られるか?と自問することを学んでいます。

社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント

会社が大事にしている価値観を、枠組みやルールに置き代えることで、価値観を体現する具体的な行動に変換されていきます。前述した通り、枠組みやルールをメンバーと一緒に創る会社も少ないですが、時間をかけてじっくり取り組むだけの効果を改めて再認識させられます。

発達心理学の分野では「人が次のステージに進むには最低でも5年はかかる」とされています。海外の日系現地法人の場合、これだけ時間のかかる取り組みを、任期3年~5年程度の駐在員が取り組むのは、とても難しいです。この取り組みを行うのであれば、駐在員が代わっても一貫して継続していくことが必要です。日系企業が苦手な「引き継ぎ」が、ここでもボトルネックになりそうです。

メンバーは自分の経験や知識を使って自由に働くとが認められ、その結果については、善し悪しに関わらず説明責任が求められるという働き方を十分に理解できているのでしょうか?

社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント

本書の中では、このような問いが投げかけられています。弊社も該当しますが、自由と権限は求めるが、説明責任を果たす意識はないメンバーが圧倒的多数です。こういった枠組みやルールを創る取り組みを通して、メンバーに理解させ、組織として浸透させていくのが有効ですね。

長々と「社員の力で最高のチームをつくる: 1分間エンパワーメント」を読みながら独り言を書いていますが、次はメンバーをエンパワーメントする3つの施策、「情報共有」「枠組みやルール」に次ぐ、最後の1つを読み進めて行きたいと思います。

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