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北欧デンマークの社会を遊ぶデザイン

コロナになってからの初海外はロンドンとコペンハーゲンに1週間ほど行ってきました。

デンマークと聞くと、家具の国、高い税金、社会福祉、素敵な街並みといったイメージがあると思いますが、近年では、デジタル・政策・イノベーション・サステナビリティなど、社会・ビジネスの視点でも着目されています。

例えば、電通(Magnetixl社)やリクルート(AddiFab社)、NEC(KMD社)三菱UFJ(Chainalysis社)など、デンマーク企業との関係を深めています。

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さて、私が今回久しぶりに北欧の国を歩きながら考えていたのは、
「デンマークの人はどんなユニークな考え方をもってるのだろう?」
「フィンランドと比べて、どんな社会的・文化的な違いがあるのだろう?」
「世界一幸福といわれる裏にある社会の仕組みとは?」

など、主目的は別にありましたが、ワクワクしながらリサーチ気分で色んなことを考えていました。幸運なことに色んな人とお会いしたり、自転車で🚲街を観察することができました。

この記事でシェアしたいことは、デンマークのコペンハーゲンにある遊び心です。お笑い芸人やイタズラのような遊びではなく、社会風刺的な遊び心、いわば「社会を遊ぶ・ハックする」という感覚についてです。

・都市のど真ん中で出勤前に裸・水着で泳ぐ女性・男性🏊‍♀️
・トランスミュージックをかけながら酒を配る選挙の応援活動📣
・日本でいう霞ヶ関を一般向けに開き・紹介するカルチャーイベント🎫

など、日本では発想しないような遊び方を楽しんでいる様子が印象的です。
私の心が動いたシーンをいくつかご紹介しながら、その裏にあるデンマークならではの社会の仕組みや価値観のようなものを探ってみたいと思います。

CITY x SWIM - 街の中心で出勤前にひと泳ぎ

近寄った写真は刺激が強いので、ホテルから遠目で撮影した写真です。
コペンハーゲンの象徴的な川辺にて、朝8時くらいから川辺で泳いでいる人がいます。お着替えもナチュラルにその場で行います。

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フィンランドでもサウナでミーティングする?など、裸の付き合いに抵抗がないことで海外からの出張者を驚かせることで有名ですが、デンマークでも自然の公衆プールでの裸の付き合いに面食らいました。

CONTAINER x APARTMENT-コンテナ学生ハウス

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水に浮かぶ色とりどりのコンテナーが並ぶエリアも素敵でした。学生用のアパートメントとして使われており、屋上でパーティーする様子が目に浮かびます。コンテナーという無機質な構造を、水に浮かぶカラフルな学生アパートに変えるという発想が面白いです。

PLANT x SKY - 廃棄物発電所の上でスキー

日本でも有名な建築「廃棄物エネルギープラント」です。プラント時いた時に思い浮かべる「自然破壊的」などのネガティブなイメージを払拭させる素晴らしい建築で、屋上から山にいるような気分で、スキーやお酒を楽しめるBIGのBjork氏の作品です。

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発電所の屋上から(バーも併設しており観光スポットでもある)

Bjork氏は、世界的に有名な建築家です。
日本でも、トヨタのウーブンシティのコンセプトをデザインしています。
Bjork氏のドキュメンタリー(Netflix)は今無料でみられます▽

Bjork氏は動画内でも「デンマーク社会がもっている特有の固定概念や、新しいことをすることに対する批判精神を打ち破りたい」という熱い思いがあるようで、この発電所もデンマーク社会に対する新しい視座を開く意図・遊び心が潜んでいることとが読み取れます。

POLITICS x CULTURE - 官僚の仕事場を解放

日本で言う霞ヶ関のような仕事場を解放するKultunattenと呼ばれるカルチャーイベントがあります。

デンマークでは伝統的に農作物の収穫を祝うため(昔は子供も収穫に駆り出されていた名残りがある)、10月に1週間の秋休みがあります。この休みが始まる前の金曜日の夜に、公共施設や美術館を解放するイベントが毎年おこなれています。

この日には特別、日本でいう裁判所や経産省といった公共施設、政治的な施設に潜入することができます。

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デンマークの経産省で偉い方が執務する部屋の壁飾り

POLITICS x MUSIC - 若くて自分らしい政治参加

街を歩いていると、トランス系のミュージックを流しながら、応援する政治家のポスターを持って、お酒を配っている学生たちに出会いました。

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日本でみる選挙カーとは似ても似つかない遊び心と若いエネルギーで溢れる光景が印象的です。

【終わりに】 個の自由をドライブする社会秩序と統制

「社会風刺的な遊び心」をテーマに、コペンハーゲンの面白い場所やシーンを紹介しました(あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ソーシャルデザインと呼ばれる領域のようです)。

もしかすると、自分とは遠い世界の事のように感じたり、日本とは別世界のクリエイティブで自由な社会を感じたかもしれません。

でも、デンマークは表側に見える「自由・創造的」と感じる一方で、「社会の秩序と統制」が厳しく働いている国だと感じます。

例えば、家は1人1軒までしか買ってはいけない(日本では何軒でもお金があれば買えますよね)。あるいは、ひとりひとりの収入から保険、あらゆる情報が政府によって管理されている(日本ではまだ未整備ですよね)。など中央・地方政府からのコントロールが存在しています。

デンマーク在住のアイスランド人デザイナーは、「デンマークは社会主義に近いように見える」とコメントもしていました。

専門家ではないので、あくまで感じたことベースですが、今日紹介した社会をハックするような遊び心の裏にはは、表には見えにくい社会的な統制が働き、クリエイティブ界隈の人たちの感情として存在するかもしれません。

この感覚を体現する場所として、「クリスチャニア」という場所をご存知でしょうか。人口1000人強のヒッピーコミューンで、独自のルールだけでまわっている一種の治外法権地区で、ルールもほぼないに等しい場所です。

この混沌としたカオスなエリアが、デンマークの魂を表していると語るのはデンマーク育ちの日本人デザイナーです(上記事)。

このように個の自由や混沌・創造性と、その裏にある社会の統制という魔法のような両極端が存在するコペンハーゲンを感じながら

・本当の自由とは?

・秩序と混沌。光と闇。

・社会から抑圧されるからこそ、自由が生まれる。

といったことについて考えをめぐらせていました。

そこで日本に目を向けてみると、私たちは、失われた30年、超高齢化社会、前習え教育といった停滞感や抑圧感を長く経験しています。

ですが、この旅を通して、この社会から抑圧された感覚こそがむしろクリエイティブを刺激したり、イノベーションに繋がるのではないだろうか。
だからこそ、北欧の小国デンマークから日本が学ぶヒントに溢れているのではないか。

今回の旅を通して、そんな風に前向きに捉えられるようになりました。
と考えながら、日本行きのフライトに乗りました🛫

そして、帰ってきたいなという思いを強くしました。北欧に。

ありがとうございました!!

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