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私が飛び乗ったのは「結婚」という列車

ずいぶん迷った。
はっきりとは覚えていないけど、ここに辿り着くまでにかかった時間は短くなかった。
友人たちは、次々に結婚していく中、取り残されたような感覚をいつも感じていたのは事実。
そして、気が付けばもう若いと言える年でもなくなっていた。
これまで恋人がいなかったわけではない。
でも、結婚なんていつでもできると思っていたし、相手だってそのうち勝手に現れる。
だからそうなった時に結婚を考えればいいや・・・。
でも、そうなるタイミングはやってこなかった。

ひとつめの決断

何日も何日もスマホとパソコンとにらめっこして、私はついにドアを一つ開けることにした。
そう、悩んだけど結婚相談所っていう場所に行ってみようと思ったのだ。
「とりあえずアプリでもやりなよ」
そんなふうに言ってくる友人もいたが、手軽なぶんだけアプリは怖かった。
なによりも八百屋に置かれた果物のように、誰もが簡単に見られるアプリの中に陳列されるのが嫌だった。
そして、私の前にはカウンセラーと呼ばれる人がにこやかな笑顔で座っている。

思い切って相談所で婚活しませんか?

なぜかこの「思い切って」という言葉に、私の気持ちが反応した。

(わざわざ話を聞きにきたのだから、ここで引き返す意味もないか・・・)

こうして私の婚活が結婚相談所でスタートした。

悩む私と、その答え

何回かのお見合いのあと、一人の男性と交際がスタートした。
とても優しいし、気が利く人で、一緒にいて楽しかった。
デートもコンスタントに重ねていたから、知り合った頃よりもずいぶんとお互いの距離は近くなったと思う。
そうして過ぎて行った2ヶ月。
私を婚活に引っ張り込んでくれたカウンセラーから、こんなアドバイスをもらったのだった。
「そろそろ、結婚後のことについて話してみたら?」
結婚後のこと?
家とか 仕事とか お互いの親のこととか 家事や子供のことか
ぼんやりとは考えていたけど、なかなかリアルなビジュアルは浮かんでこなかった
カフェのカウンター席でひとりの時間を楽しんでいた私はふと、自分の足元に視線を落とした。
(そろそろヒールを脱ぐ時期なのかな。でもまだ・・・)

ふたつめは・・・

交際がスタートして3ヶ月経った。
そろそろ答えを出さなきゃならない。
でも私の気持ちの中には迷いしかなかった。
このまま結婚してもいいのか?
もしかしたら後悔するかも?
独身のままの方が気楽だし、いっそのこと交際を終わらせてしまおうなんてことも頭をよぎる。
答えが出ないままの私に、追い打ちをかけるようなカウンセラーの言葉がやってくる。
「次のデートできっとプロポーズされるわよ」
どうしたらいいんだろう?
さっきまでは、他愛のない世間話やデートの報告で盛り上がっていたカウンセラーとの電話。
言葉が出てこない。

空白の時間が流れたあと、やさしく耳に入ってきたひと言で私は結婚を決めたのだった。

「ねぇ、せっかくのご縁に飛び乗ってみてはどうかしら?」

「飛び乗る?」

「そう、えいやっ!って思い切って飛び乗っちゃうの。せっかく結婚への切符を手に入れたんだもん」

私は二つ目の決断をした。
あの人と結婚しよう。

そして私は結婚相談所を無事に退会し、半年後に苗字が変わった。
あの時に飛び乗ったのは間違いじゃなかった
そう思える未来をこれから、ゆっくりと作っていこう。
隣にいてくれる人と一緒に。


All the things you are

婚活業界では「ご縁に飛び乗る」という言葉を使うことがよくあります。
とくに30歳を過ぎてから婚活をスタートした方に、アドバイスすることが多いような気がします。
それなりに人生経験を積み重ねてきた方々だからこそ、いざ結婚となると、環境の変化や、将来への不安なども手伝って、相手のことが好きなのに、二の足を踏んでしまう方も少なくありません。
えいやっ!でご縁に飛び乗る。
何でもいいやとか、勢いだけで決めるという事じゃないですよ。
目の前を列車が何回通過しても、乗らなければ目的地には辿り着けない。
カウンセラーが最後にできることは、軽く背中を押してあげること。
そのために言葉が
「ご縁に飛び乗ってみない?」
なんです。

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