もらったお土産の賞味期限が誕生日だった
31日。2年間の仲の良い上司部下という期間と、約4ヶ月の恋人未満的な絶妙な期間を経て、先輩と付き合うことになった。
付き合おうという話は前からしていたけれど、お互いに忙しかったり、付き合った先に考えなければいけないことがいろいろとあったりして、最終的な結論を出すまでに少し時間がかかった。
名前のない関係のまま着実に仲は深まっていて、その日久しぶりに仕事終わりに彼の家に泊まった。
私の方が先に帰宅して、彼が帰ってきたのは23時前だった。そこから彼はごはんを食べて、私はそれを眺めていた。23:45頃、ごはんを食べ終わった時に、ふいに告白された。
「付き合おう」
しっかりそう言った。
謎のタイミングに戸惑いつつ、純粋に嬉しくて、でもいざ言われると恥ずかしくて、真っ直ぐ彼の顔を見れそうもなかったから抱きしめて返事をした。
月末までに結論を出すと2人で決めた約束を守ってくれた。結局ギリギリになっちゃったねと彼が笑って、私も本当ですねと笑った。
寝る前にベッドの中で話しながら、彼がふと「記念日は31日だね。でも31日まである月って7回くらいしかないのか〜」と少し悔しげに言ってきた。確かに、と思いつつ、「レア感があって良いじゃないですか」と返した。
それよりも、記念日とかそういうことを30代後半の彼も考えてくれるのだ、となんだか新鮮でほっこりした25歳の私。
むしろ私は今まで記念日をあまり気にしてこなかったから、これから大切にしようと思ってカレンダーの繰り返し機能でこっそり後から登録しておいた。
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という記念日の話にもっていかれかけたけれど、この日、先週彼が関西出張に行った時のお土産をもらった。
可愛い缶のクッキーで、開けて出てきたこれまた可愛いイラストがプリントされたクッキーにはしゃいで、買ってきてくれた彼に「見てください!可愛い〜!」と見せびらかした。
大事に食べますね、とその場では食べずに持って帰って、今日改めて持って帰ってきた缶を眺めていたら、賞味期限のシールに私の誕生日の日付を見つけた。
もらった時にその場で気づかなかったことがちょっと悔しかったけれど、すぐに世紀の大発見ばりに彼にLINEで報告した。
返ってきたメッセージは、「そうだよ!」。まさかの分かっていて買ってきてくれたようだった。想定外。たまたまだと思ったし、彼は気づいていないと思っていた。
なんだろうか、今までけっこう長い期間近くにいたはずなのに、こんな人だとは知らなかった。
些細なことに気づけて、小さなことも大事にしてくれるような人。こんなことで大袈裟だと思うかもしれないけれどそう感じた。
新たな愛おしさがまたひとつ増えた。
これから一緒に過ごしていく日々がより一層楽しみになった出来事だった。