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はなとたま③

平日のほとんどをおかっぱとその母ちゃんは俺の所に遊びに来るようになった。

気がつくと俺の飼い主とはな達は顔見知りになっていた。俺の飼い主は一見気難しそうな顔をしたばあさんだが、子どもと猫が大好きな心優しいばあさんだ。

はなは怖いものしらずのおかっぱだし、母ちゃんも人見知りしないおばさんみたいだ。

雀荘の仕事がないときは俺たちと日向ぼっこをして過ごしている。

丁度いつもその時間にはな達は来るので話すようになった。

飼い主ははな達に俺たちのことを紹介したり、この辺りに住んでいるのかと話していた。

おかっぱは今日も縞模様の犬のリュックをしょっている。

『たま~今日は何してあそぼうか~。いっぱいおもちゃ持って来たからねー!!』

としょっていた間抜けな表情の犬からたくさんおもちゃを出している。

カラフルなねずみやら毛深い正体不明なぬいぐるみに定番のねこじゃらし…

『お、おう…』

俺は毛深い野郎を前足でちょんと触った。

するとはなは跳び跳ねて喜んでいた。

『たまがはなの選んだおもちゃ気に入ったってー!!!』

おかっぱの声が響き渡っていった。


その夜から俺はその正体不明の毛深い奴となぜか一緒に寝ることになっていた。


『明日あのおかっぱが来たら、一応持っていってやるか…』

俺は毛深いそいつにあごを乗せて寝ることにした。

丁度いいサイズだった。


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