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【帰りの電車で展覧会寸評!】♯3 岐阜市歴史博物館「美濃の名刹 立政寺の寺宝―古文書と仏画の世界―」

意義深い!

地方の博物館が、地元のお寺を調査して、その成果を市民県民へ発表するのは、きわめて大事なこと。応援しています!
今回の展示も、地域における立政寺の重要性が浮き彫りにされており、大変意義深かったです。

それにしても、難解だ!

その意義はきわめて深いというのが前提ですが、それが伝わってないと思いました!
展示室に入ってすぐに、中世古文書の羅列。読めもしないし、現代語訳もない。まあ仮にあっても、歴史に詳しくないとちんぷんかんぷんだと思いますが…。そのため、私の周りにいた来館者たちはポカーンでした。
あれでは、一生懸命何かを学び取ろうと思っても、ほとんど実りを得られないでしょう。

もっと伝える努力を

ですから、もっとわかりやすい展示をお願いしたいものです。せっかくの貴重な文化財や、調査の努力も、これでは伝わりません。
室町時代の貴重な武士肖像画や、制作経緯のわかる貴重な当麻曼荼羅などがあるのに、その辺りの扱いも不満でした。

文書もいいけども

冒頭に古文書ばかりを並べ立てる展示構成、なぜかライトが当てられていない肖像画、これらを見るに、おそらく担当はいわゆる「歴史担当」の方なのでしょう。
もちろん、私が絵を研究しているからといって、絵ばかりが優れているとは申しません。しかし、絵とはそもそも「文字では伝わらない事柄を、多くの人に伝えるため」という機能があったはずです。それを有効に、展示に活用しましょうよ。
くずし字の釈文(活字にしたもの)を、無料配布してくれているのは大変助かります。でも、曼荼羅の軸木や表具に記された銘文は、わざわざ展示しているのになぜ釈文がないの????そして繰り返しになりますが、なぜ肖像画を古文書の向こう側に追いやって、照明すら当てないの????
せっかくの重要な成果ですから、もう少しいい形で見たかったです。

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