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【帰りの電車で展覧会寸評!】♯15 三井記念美術館「どうする家康」

3館合同の巡回展

大河ドラマ「どうする家康」が人気を博していますね。テレビを持たない私は、ドラマ自体の視聴者ではありませんが。
ここまで観光が喚起され、大規模な経済効果が出るのは流石としか言いようがありませんね。(だからと言って、NHKが素晴らしい組織というわけではありません。)

さて、今回は3館合同開催のどうする家康展。東京の三井記念美術館でまずは拝見しましたので、その感想を。

刀剣・茶道具の名品展

 どうする家康と銘打っていますが、ドラマ未視聴だと楽しめないということは全くありませんよ。もちろん、ドラマを通して家康の生涯を知ればより楽しめるかもしれませんが、そうでなくてもよい。なぜならこれは「名品展」と呼ぶべきものだからです。
 出品作には、家康が将軍を譲ったあとの「大御所時代」に過ごした駿府にあり、東照大権現こと家康をまつる久渡山東照宮さんから借りてきた名品が多数。これらは「徳川家康関係資料」として一括、重要文化財に指定されています。
その久度山からの出品を中心に、とくに刀剣や茶道具の名品が勢揃い。

肖像画・合戦絵も 


 工芸だけでなく、絵画も充実。肖像画には名品が多く、会期が過ぎてしまったものも含めると、大徳寺本・永徳筆「信長像」、高台寺本「秀吉像」(重文)、本徳寺本「光秀像」、久能山本「家康像」などが代表選手として挙げられます。
 そして合戦絵にも名品が。豊田市郷土資料館本「長篠・長久手合戦図屏風」、名古屋市博本「小牧長久手合戦場屏風」、そして津軽本「関ヶ原合戦図屏風」(重文)などが、ケースから近く、非常に見やすい距離で展示されています。
 そのほか、古地図や文書などの歴史資料が充実。バランスがいいですね。ドラマを見た人も、見てない人も、刀好きも、お茶好きも、歴史マニアも、単にアートを楽しみたい人も、広くすくえる展示となっています。

会場ごとに入れ替え多数


 さて、この「どうする家康展」は、このあと岡崎市美術博物館と、静岡市美術館に巡回します。まさしく、家康ゆかりの3地域を回るわけです。
 この3会場、タイトルや図録は同一ですが、各会場で出品されるものはガラリと変わるとのことです。「家康展めぐり」と「家康ゆかりの地めぐり」、合わせていかがでしょうか。

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