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一汁一菜という選択と生き方

どちらかといえば、掃除が好きだ。

掃除というよりも、整理整頓がライフワークだから、仕事も家庭もコンパクトで整っている環境が心地よい。

ただ、料理はどちらかといえば、実のところ、そう得意ではない。手の込んだメニューを毎日SNSにあげている人たちを見ると、本当に感嘆しかない。

少し前に、土井 善晴の「一汁一菜でよいという提案 」という料理本が出て、だいぶ話題になった。

ご存知、料理研究家の著者だが、この本は料理本ということだけではなく、生き方の提案として共感した。

「一汁一菜とは、ただの和食献立のすすめではありません。一汁一菜というシステムであり、思想であり、美学であり、生き方だと思うのです。」

私の好きな整理整頓に通じる考え方でもあるが、堅苦しくなくてなんだかいい。

お味噌汁には何をいれてもいいし、ごはんに対して具だくさんのお味噌汁があれば、十分においしいおかずになりうるということ。

そして、食事がどうこうだけではなく、スタイルを作っていくことで、生活自体にリズムができるといったことが書かれている。

どこかで目にしたが、冷蔵庫のありあわせで食事をそれなりに作ることができる人は、生き延びる力が強いとか。

たぶん、あるものでどうにかちゃんと生きていく力、ということに通じるのだろう。

我が家は、味噌汁よりもどちらかといえばスープを常備している。スープも味噌汁に負けずおとらず万能で、何をいれてもどうにかなるし、味付けのバリエーションもどうとでもできる。

体調が悪いときなどは、スープだけあればどうにかなる。

しかし、味噌汁となると、多少、構えていた節があった。和の素材でないと難しいのかなと勝手に敷居を高くしていた。

先日、味噌汁に、えのきだけと豆腐とトマトを入れてみた。これが意外とおいしい。オリーブオイルを垂らしてもコクが出ていける。

人生は長い。

単発でとんでもなくすばらしいことができなくても、できる範囲で整えてきちんと食べる行動は、自身や家族を末永く支えてくれる気がする。


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