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ほのかちゃんに ほのかに恋して♥ー1ー


ボクは、ある少女に恋している高校2年生。
その少女は、登校のとき ボクと土手の上ですれ違う。

彼女は、近くの女子高の制服を着て、自転車に乗って いつもボクとすれ違うのだ。

すれ違うとき、なんだかふぅ〜ん、とよい香りがする。
シャンプーの匂いだろうか、
洗濯のときの柔軟剤の匂いだろうか。
長いロングの髪をなびかせて、
さわやかに通り過ぎる。

ボクは、名前を知る由もない、そのコのことを。

「ほのかちゃん」

と、勝手に名付けて呼んでいる。ほのかに香るから、「ほのかちゃん」。

と、ここまで話して、
キモチワルがる女子はいないかと、不安になる。
ボクは、ばりばりガラス細工のハートの持ち主ティーンエイジャー。しかも、男子校。女子のココロは謎だらけ。
「匂いフェチ」と、名札が付いた日にゃ、
隠し持っている、父さんからくすねた、ワインでも呑んで、呑んだくれて、泣き崩れて、一晩過ごすしかない。

ばかにしてもらっちゃ困る。
10代は、ガラスの心臓なのだ……


あ、そうだ。誰にも話してないから(匂いフェチのことを)誰からも言われるわけないか。


今朝も、すれ違う、ほのかちゃん。
ああ、かわいい。

やっぱり、ボクは気持ち悪いか?


今日は、ほのかちゃんの真似をして、いい香りのするものを身につけて行った。

わりとうちの高校は校則がゆるくて、私服も許され、公序良俗に反しない限り、自由気ままな高校で、ちょっとした香りのするものは大丈夫。

葦やすすきの茂る、河沿いの土手の道を、今日も「ほのかちゃん」が、自転車で通る。

ボクと彼女がすれ違うとき、
彼女は(あれ?)という顔をした。
振り向いて、
自転車停めて、
こういった。

「いつも見るそこの君、いい香りね、何ていうフレグランス?」


おしゃれにとっても興味があるらしい。


             つづく


©2023.6.23.山田えみこ






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