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過去の恋愛 〜Rくん編〜 #3

時は過ぎ社会人1年目、最後にRくんと会って映画館デートをした日から4年が経過していた。

私は実家を出て赴任先で初めての一人暮らしでとても寂しい毎日を過ごしていた。家族もいない、友達もいない。会社が斡旋したアパートに住んでいたため、家の近所にいる知り合いといえば職場の同期や先輩だけだった。

元来、手を繋いだり、ハグをしたり、スキンシップが大好きな人間である私は人の温もりに飢えていた。夜寝る前は特に人恋しさが増す。

そんな時にRくんのことを思い出してLINEを送ってみた。他愛もないやり取りを続けた後、こんなことを聞いてみた。
私「今は恋人いるの?」
R「いるけどあんまり上手く行ってなくてさ…」

相談に乗るよなんて調子のいいことを言って彼と電話で話すことに成功した。声フェチの私にとって寝る前の電話は至福の時でしかない。久しぶりに聞く電話の先の男性の声。しかも相手は好意を抱いていたRくんだ。

癒された。ときめいた。

気付いたら会話の内容はだんだんとそちらの方へと導かれていった。

私「最近はどうなの?」
R「どうも何も最近あんまり連絡取ってないからさ」
私「付き合ってるんじゃないの?」
R「そうなんだろうけどさ」
私「相手が何か不満に思ってるとか?」
R「聞くのもだるい」
私「困ってることがあるなら力になりたいけど…」
R「困ってると言えば…最近欲求不満でさ!」
私「…え?」
R「いや、彼女が忙しいみたいで」
私「もし私がRくんの彼女だったらそんなこと絶対しないのに〜」
R「優しいんだね」
私「う〜ん…気付いてたかもしれないけど、高校生の時ずっと好きだったからね」
R「そうだったんだ。…じゃあさ、俺の相手してくれない?」
私「…ん?…今ってこと?」
R「こんな話してたらそんな気分になってきちゃって」

一瞬戸惑った素振りをしてはみせたものの、内心嬉しくてたまらなかった。慢性的な男性不足により私のリミッターは簡単に外されてしまったのだ。いくらでもかわすことができたはずなのに私はそのまま流されることを選んだ。

私「Rくんの声聞いてたら色んなこと想像してドキドキしてきちゃった」
R「どんなこと想像してたの?」
私「こういうこと言われたらドキドキするだろうなとか、こんなことされたいなあとか」
R「どんなこと?」
私「そんなこと言えないよ〜」
R「どうして?」
私「だって恥ずかしいから!」
R「何?俺に言えないことがあるの?聞きたいなあ」

枕元で行われる言葉責めに興奮が高まっていった。

下の名前で呼んで。囁いて。息をゆっくり吹きかけて。キス音聞かせて。聴覚だけで出来うる限りのことは全てお願いした。

R「なんか変な声出てない?」
私「そんな…こと…ない」
R「どうしたの?苦しい?」

相手に主導権を握られているにもかかわらず、自分の好きなことを叶えてもらえるこの感じ、とても好きだ。

お盆休みに帰省する時に会う約束をして楽しい一夜は幕を閉じた。

次回に続く

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