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素粒子のバランス

従来の就労者であれば社会と個人の生活を行き来することが多いですが、それは単に勤務先と自宅の実際的な環境の行き来だけではなく、仕事と個人の生活の二つに費やす労力のバランスに意識を置くことが大切であると今では多くの人が気付いています。

このことはワークライフバランスというワードでも知られるように、私たちの人生設計に深く関わる大きな課題となっています。

私は二十代の時、スウェーデンに本社があるホームファニシングの外資企業で4年近く働いていた際、日々このマインドの教育を受けていました。それ以外にも、助け合って仕事をこなしていくために必要な教育が社内では常々行われていて、多くのワークショップを通じて効率の良い働き方とチームワークの重要性などについていろんな情報をアップデートしていました。

その会社の働き方の基盤として、コワーカーが仕事を離れて自分にとって大切なことを楽しむ貴重な時間を持てるようにデザインされていて、有給休暇は100%消化し、特別な理由がない限り残業はしないというのが大まかにありました。また、いろんな国籍の方もいたので割とOPENな環境だったと思います。多様性があったその職場での学びに今でも感謝することがあります。よき影響を頂いたような気がしています。

しかし、そのマインドを維持しながら、その後別の仕事をこなす際に、いろんな葛藤を経験することも多かったです。特に日本の封建的な職場は本当に苦労しましたが、その国の古い価値観には必ず歴史が関わっていて、その影響から日本の歴史を学ぶということにつながったのは良い面ではあったと思います。結局は自分がその葛藤から何を得ていくかの重要性も学びました。

日本の歴史では努力や苦労を成功の功績とする風潮がとても強いです。

これは何も日本に限ったことではなく、これまでの長い歴史の中で起きた様々な社会の中の出来事に因果するものだと思います。
戦争を経験している我々の先祖は特に《 苦労をしなければ手に入れられないものがある。》ことを多く経験した世代だと思います。
苦行を経て成功する。これは真実でもあるし、困難や苦労、そしてそこから這い上がる力、その経験はとても大変なことだったと思います。

しかし、時代は変わり、いつ頃からか文明やテクノロジーの発展で、バランスを取れずに過剰になった部分も多くあります。
重さがどんどん重みになり、足かせになり、反発になり、怒りになり、そしてそれらを削ぎ落とそうとする別のラインが生まれ、新しい意識を巻き上げる風潮がどんどん勢いを増して活性化しているのも事実です。

それは個人の価値観の変化やバランスの取り方にも影響してると思うのですが、私の場合は言葉や雰囲気に大変敏感で、いつ頃からか言葉遣いを意識して置きかえるようになりました。

例えば、苦労とか努力の単語が発する重い印象を軽い氣に変える「積み重ねる」という言霊を大切にするようになりました。
「苦労」という言葉を「積み重ねる」に変えると
《 積み重ねなければ手に入れられないものがある。》になり、そしてもっと軽い《 積み重ねていれば手に入った。》にマインドを変換します。

言葉にも陰陽があるのを感じていて、自分の伝えたいことに対してこの漢字や表現は重いなとか軽いなとか、そんなことをいちいち感じ取っているので、世の中本当にたくさんの素粒子でできているのだなと一人勝手に納得してしまいます。

そういうバランスを汲み取ることも養生の時間で育っていくような気がしています。

バランスを取るために必要なことは人それぞれ違いますが、私の場合は茶の道を生きることそのものが大切な心の拠り所であり、自分なりの重みと軽やかさの中庸をとる学びになっています。

バランスを取ることとは、減らしたり、増やしたり、その時々の変化の波に乗ること。
まず季節の流れや自然界の動きに合わせることがとても自然体で楽チンです。

楽チンなことが増えると、積み重ねることが楽しくなり、《 楽しむことで手に入れられるものがある。》に変換できるようになるのだと思います。



今日もよき時間をありがとうございました。

○撮影に使用したお茶○
PLANTATION  by teakha   ( Hong Kong ) / Unity White Tea

月 花 美 茶  https://www.yuehuameicha.com


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