元いた場所に戻るタフさと現実 『ワイルドキャット』感想文
『ワイルドキャット』というAmazonプライムビデオオリジナルのドキュメンタリーを見た。
このツイートに影響されて。
この作品では、保護団体がオセロットの赤ちゃんを保護し、その子を野生に帰すためのプログラムを行う様子を中心に、そのプログラムを主に行う退役軍人の男性とオセロットの交流を追っている。
この保護団体は人間の生活する場に紛れ込んでしまった動物たちを保護し、自然に帰すためのプログラムを行う。親がいない赤ちゃんのケースはミルクなどをあげながら徐々に自然に馴染むように、狩りを手伝ったり、ジャングルの中にケージを作ってなるべく自然と近い環境で暮らせるようにする。
ハリーという退役軍人の男性はうつ病の再発とPTSDが理由で除隊をされ、その後この団体に参加した。活動をしている最中でもそのメンタルの状態には波があり、自殺願望や自傷行為を顕にする。
つまりこのドキュメンタリーはオセロットの赤ちゃん(キアヌと名付けられていた)がジャングルに戻される話であると同時に、ハリーが社会に戻る話でもある。
このドキュメンタリーを見ながら、この動画を思い出していた。
「精神科は社会に適合するための洗脳施設で、そんな施設を必要とする社会の方がおかしいんじゃないか」
「キアヌはジャングルに戻る必要があるのか。ハリーに育てられて、お互いに愛着が湧いているんだから、ずっと育てていけばいいじゃないか。それが無理なら動物園に寄贈しよう。そうすればずっと安心して暮らしていける。」
キアヌが狩りの仕方を教えてもらっているように、僕は面接の仕方を教えてもらう。マナー講座を受ける。GDの練習をする。仕事を得た後も研修を受けるし、自己啓発もする。他の社会人の多くもそんな過程を踏む。
生きていくのが辛くて、人生に意味が感じられない状態になったハリーはキアヌをジャングルで生きていけるまでに育て、その後、母国に帰って家族と過ごした後、また別の場所で野生動物の保護活動を行うことにした。
社会環境そのものが良くなって欲しいと願うのは当然だけれど、手伝ってくれる他者と共に、元いた場所に戻る営みもそこまで悪くないのではないかと思った。
綺麗な自然とかわいい動物と保護団体の活動のタフさや活力、そして生きていくことの難しさや希望が感じられるとても良い作品なので、おすすめです。
買いたい本を買うために使います!!