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2021年の経済Trend予測

2021年、今年も経済予測をしてみよう、と思います。
現在、すでに色々な予測できる状況が出てきています。
(執筆、発行は2021年1月25日時点です。)
アメリカの新政権発足により、次の4年間がどういうビジョンで進んでいこうとしているのかも見えてきました。
1月25日からの「ダボス会議」(今年はオンライン会合)においても、各国首脳のビジョンに注目したいですね。
今、世界が「脱炭素化」「再生可能エネルギー創出」「食糧危機対応」「データセンターの高集積化」「強い半導体需要の創出」「EV自動車」「デジタル通貨」などのKeywordを掲げて大きく進もうとしています。まさに船出のよう。

2020年を振り返ると、市場経済は、コロナ禍の先行き不安によるショックで2020年2月下旬から3月20日前後にかけて、大きく下落調整しました。
その後は、世界主要国の中央銀行による最大限の金融政策、各国政府の財政政策により、日経平均や米ダウなどの世界株価は、政策の後押しと期待でV字型に戻りを見せています。そして、製造業や鉱業も需要が回復しつつあり、改善・回復を見せています。一方、飲食・宿泊・交通機関・観光等のサービス産業は大幅なマイナスのままで、コロナ禍の影響の少ない業種と影響の大きい業種とで経済格差が拡大しており、市場経済は混沌としています。
コロナ禍はまだ治まっておらず、拡大傾向。
サービス産業はコロナ禍に振り回される形で低迷。
経済は、様々な場面で格差拡大、二極化の方向に進んでいるように見えます。
日本の消費者物価指数は、1月22日総務省発表によると、2020年は前年比0.2%の下落、20年12月は前年同月比1.0%マイナス、5カ月連続のマイナス、下落幅は10年3か月ぶりの大きさとなりました。家庭の節約志向が消費税増税後、そしてコロナ禍によって、さらに節約志向が高まるのかどうか、企業も効率化を追求してコストを下げつつ、デフレの再燃も念頭に入れながら対策を行っています。
個人的には、少数の大きな富による高付加価値消費と、大勢の節約志向による生活価格の下落方向にいくのではないかと思っています(例えば、下記イオンの食品調達一本化の記事、毎日新聞のコロナ禍 高額商品好調の記事を比較すると分かりやすいです。)。


このような混沌とした厳しい経済状況ですが、この混沌とした中に、確実に、アフターコロナを見据えた新しい市場の芽は育っています。その中の一つに、日本では「デジタル化」も大きなKeywordになっています。
コロナ禍を乗り超えた新しい世界の仕組み派生、需要、動きに敏感に反応して10年後、20年後を見据えた社会の仕組みづくり、市場形成はすでに始まっています。
現在は、人に接しない分野での新技術や新サービスの「高度なデジタル化」に、期待がかかる状況ですが、本当に、高度なデジタル化といった産業構造の大きな大転換を、日本経済は成し遂げることができるでしょうか。

私は、「2021年の新しい市場を形成するビジネスの萌芽」に目を向けて、いくつかを挙げてみたいと思います。
私なりに、こうなっていくのではないか、という予測の芽も織り交ぜながら、昨年から色々と動きのあったテーマなどについて、お伝えしていきたいと思います。

INDEX
■環境を意識した脱炭素の技術開発ビジネス
 ・CO2排出をより少なくする取り組み、CO2を地中に埋めるプロジェクト
 ・資源を再利用した循環経済ビジネス
 ・再生可能エネルギーのシンボルになるのか⁈洋上風力発電
 
■5G活用ビジネス
 ・5G,6Gをめぐる国の動き
 ・5Gによるビジネスの動画マーケティング活用拡大
 ・5Gを利用した不審者検知ソリューション(社会課題解決型)
 ・VRによるアバター会議の拡大
■日常生活にアーム型ロボットを入れてみたら新市場発掘につながる⁈
■農業×IT「フードテック」の動きも注目
■スーパーシティ、スマートシティ、TOYOTA「Woven City」の胎動
■中央銀行デジタル通貨(CBDC)の元年になる⁈
■半導体需要の創出、EV自動車の動向にも注目



■環境を意識した脱炭素の技術開発ビジネス

・CO2排出をより少なくする取り組み、CO2を地中に埋めるプロジェクト
地球の温暖化対策は喫緊の課題。「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」の実現に向け、CO2を分離・回収し、地中に閉じ込める「CCS」普及に向けた、官民の実証事業や新法整備への動きも活発になってきました。
大きなテーマですが、官民で、どこでどのような内容のプロジェクトを進行させていくのか、注目していきたいと思います。
※「CCS」(二酸化炭素(CO2)の回収(CAPTURE)、貯留(STORAGE)の頭文字を並べた言葉。大気中に排出される前にCO2を回収し、地中に貯留するという意味。(詳細下記参照)

・資源を再利用した循環経済ビジネス
昔話で恐縮ですが、18年くらい前にマーケティング・分析の仕事をしていた頃、「未来年表」というものを、2003-2020年くらいまでのものですが、作っていました。その2003年当時、2015年過ぎてから「マイエコサイクル」が出てくると予測していました。当時、若輩の私が作ったその年表を、2人の偉大な会社先輩が見てくださって、手に取って保存してくださったのがとても嬉しかった記憶があります。
当時の私が「マイエコサイクル」に持っていたイメージは、一人一人、企業ひとつひとつが、環境循環を意識した生活への取り組み、モノづくりを行うといったものでした。
私が持つ「マイエコサイクル」のイメージは、現在ユニクロが行っている「RE.UNIQLO 事業」の内容に近いと思います。
ユニクロはRE.UNIQLO 事業を積極展開しています。自社で製造販売したものを再び回収してRECYCLE服→服、RECYCLE服→燃料・素材、REUSE服→支援衣料を行うという一大事業です。


こういった企業のSustainability事業は、この世界的な環境対策への取り組み、環境ビジネス活発化のTrend始動によって、より企業のブランド価値を高める手段として、今後事業が拡大加速していくのではないでしょうか。
企業のCSR活動にもつながる「Sustainabilityブランド価値向上戦略」。
衣食住をRe活用して、製造・販売・消費・Reサイクルをもっと消費者に分かりやすい形にして販売マーケティングを拡大すること、そして、「環境を守ること」を意識したビジネスサイクルを企業のブランド価値に付加し、新たな環境ブランド価値を形成して、消費者に訴求していく、これが、これからの企業の取るべきブランド価値戦略の方向性になっていくと思います。
その最先端を走るのは、世界を先導する企業やブランドメーカーから行動、発信していくのでしょう。その萌芽を思わせる事例が、欧州の高級ブランドメーカーからも生まれ始めています。こちらは「社会的貢献」をブランド価値に結び付けようという事例です。

今年からは「環境に配慮した」そして「社会的貢献」をブランド価値に付加した企業マーケティング、消費者と一体になった循環型モノづくりが次第に育ってゆくのだと思います。

そして、消費者の私たちもまた、環境意識を高めた消費を心がけていくべき時なのだろうと思います。消費者の意識の高まりは、もう少し時間がかかるかもしれませんが、2,3年後、私たちの消費者意識は、今よりも環境意識が強まっているような気がします。


・再生可能エネルギーのシンボルになるのか⁈洋上風力発電
日本で議論やプロジェクトが盛り上がりつつある「洋上風力発電」は、新潟県沖、秋田県沖の各プロジェクトなどいくつか進行しています。例えば、新潟県においては、村上市・胎内市地域にプロジェクト、新潟市内にもプロジェクトがあるようです。


ただ、世界的な環境Trendだからといって、急速に進めた方がよいかどうかについては、色々と議論、意見があるようです。
洋上風力発電は環境に優しいかというと、まだ情報が少ないので影響がまだ分からない部分もあります。
海上にたくさん建てるとなると、やはり、長期に渡る何らかの影響が考えらるのではないでしょうか。
<予想される課題>
・魚や鳥類への影響
・風の変化による近隣地域の気候への影響の可能性
 (風向、気温、降水への影響)
・海岸地形への変化の影響 etc…

情報が少ない中で、経済産業省が平成30年12月に出した洋上風力発電所の環境影響評価、という下記レポートが参考になりました。

また、地域住民や環境への影響はどうなのか、といった意見交換のポータルサイトが新潟においては立ち上がっていました。

秋田県では、住民の反対運動が立ち上がっていました。

数あるプロジェクトの立ち上げと盛り上がりの一方で、昨年12月に福島沖で行われていた経済産業省主導の洋上風力発電開発事業は、稼働率が低くて全基撤退するというニュースも飛び込んできました。

こうして見ると、洋上風力発電については、地域や環境への長期的な影響がありそうなのに、まだ情報が少なくて不透明なところも多いと思います。
世界的な環境Trendの大きな流れの中にあるけれど、事業検討については、自治体も企業も地域住民も深く深く意見交換して、長期的な環境への影響を真剣に加味したうえで、お互いに、冷静に考えた方が良いと思いました。
Trendだからといって、全てを前のめりに考えずに、慎重になった方が良いテーマもあるんだな、ということを深く考えさせられました。


■5G活用ビジネス
・5G,6Gをめぐる国の動き
5Gを使った社会のイメージは、「5Gの利活用分野の考え方 - 総務省」という下記の資料に分かりやすく記載がありました。これらが全て現実になったとき、今とかなり違う社会になりそうだな、というのがイメージできると思います。

2020年6月に発表された「Beyond 5G」(いわゆる6G)へのロードマップを読むと、2030年代に向けたKeywordも見えてきます。また、2020年12月には、5Gを超えた「Beyond 5G」(いわゆる6G)を推進するコンソーシアムも立ち上がりました。こちらも今後注目しておきたいテーマです。




・5Gによるビジネスの動画マーケティング活用拡大
5G市場が拡大にするにつれて、マーケティングツールも大きく変化する年になるかもしれません。2021年は、動画活用があらゆる面で広がる年になると思います。販促、マーケティング、ブランド戦略、医療、マニュアル、などに広がってゆくのではないでしょうか。
Keywordは、「一瞬でポイントが分かりやすい」「デザインが優れていて見やすい」なのかなあと思います。
世の中で集められている様々なデータベースを感覚的に感情的に見える化(視覚化)する、それをマーケティングツールで活用するビジネス、社会課題解決につながるものは、5G社会と共に拡大発展していくだろう、今年はその始まりの年になるだろう、と思っています。


・5Gを利用した不審者検知ソリューション(社会課題解決型)
 1月20日、興味深いPress Releaseが富士通から出ていました。5Gを利用した不審者検知ソリューションです。子どもの登下校安全を守るためにも、ぜひ地方にも早く進めてほしいと願っています。


・VRによるアバター会議の拡大
 今年もVR会議サービスを提供する株式会社Synamonには注目しています。
スマートワーク総研の昨年9月の記事では、2021年VR会議の広がりを予測しています。


アバター利用も順次拡大していますね。
「自分のアバターで効果的に伝えるVR会議」については、下記が分かりやすいです。

 2021年は「VRバーチャルオフィス」にも注目が集まるのではないかと思います。VirBELA(ヴァーベラ )というVRバーチャルオフィス機能を搭載したサービスがあります。これは、カリフォルニア州を拠点とするIT企業が開発したものです。
 米国の大学では昨年から、アバターを利用したオンライン授業やキャンパス・コミュニケーションを取り入れたところもあるそうで、企業オフィスだけではなく、日本の大学のキャンパスにも広がっていくと良いサービスだと思います。オンライン授業だけの大学にも、キャンパス内の人間関係のコミュニケーションが生まれるのではないでしょうか。


■日常生活にアーム型ロボットを入れてみたら新市場発掘につながる⁈
アーム型ロボットを日常生活シーンで使う。
AIスピーカー(スマートスピーカー)が私たちの生活に入ってきたように、最初は怖いような気がしても、安全性さえ担保できるようになれば、ニーズは高いと思います。
介護でサポート的に利用する、食事・コップを持つ、近くのものを取ってもらう、など日常用の新製品が近いうち出てくるのではないか、と思います。
活用イメージはデンソーウェーブのアーム型ロボット。
これを介護ベッドの横に携えて、ちょっとした飲み物をとってもらう、本を取ってもらう、ベッド脇にいて補助的動作を手伝ってもらうものをイメージしています。
AIスピーカーのようにチャットボット機能もついていて、ちょっとした会話をインタラクティブに行えたら、少し愛着沸くツールになるのかもしれませんね。
家族やヘルパーさんに頼みにくい、小さな動作の補助を、アーム型ロボットに気軽に頼めるようになったら、介護される側の人も、自律した生活につながり、少しは気が楽になるのではないでしょうか。



■農業×IT「フードテック」の動きも注目
農業とITを組み合わせた「フードテック」も、これから伸びる分野です。
これは、農業にも効率化と最適化を求める、ということでしょうか。
メリットとしては、天候に左右されず、需要と供給バランスをBig-dataで見極めて、食糧の安定供給、食品ロスを防ぐことにつながるでしょう。
また、タンパク質食品の多様化、新開発(代替タンパク質の開発)と安定供給もフードテックへの取り組みの一つとされているようです。
こうして、世界の食糧危機やタンパク質不足を解決することで、地球環境にも配慮した「SDGsアクション」にもつながっていくのですね。



■スーパーシティ、スマートシティ、TOYOTA「Woven City」の胎動
スーパーシティの構築開始により、AIをより身近に。
AIはより身近な生活の中にさらっと入りこんできています。スーパーシティ、スマートシティの構築と共にAIのコモディティ化がさらに進む、と思いますが、スーパーシティの構築によってAIがどのように社会や生活に入り込んでいくのか、社会のAI需要と供給がどう市場形成されてゆくのか、内閣府や企業の具体的な動きに注目したいと思います。


さて、スーパーシティと、スマートシティは、どう違うのでしょうか。
簡潔にいうと、スーパーシティは住民目線で丸ごと未来都市化、スマートシティは技術者目線で個別の先端技術を実証実験して導入を図るもの、でしょうか。定義の違いは、下記の解説が分かりやすかったですよ。


スーパーシティの概要については、内閣府が出している『「スーパーシティ」構想について』が分かりやすく説明してあります。

さて、民間企業の取り組み、といえば、いよいよ2021年2月23日から着工が開始される、TOYOTAの「Woven City」も楽しみです。住めるなら、住んでみたいです。




Big-dataとAIで最適解を求めることで、より無駄が少なく、効率的で、環境負荷をより少なくする、情報管理された最適化社会というわけですね。
データや情報がより一層大容量で複雑化される中、スーパーシティ、スマートシティの発展をさらに支える新たなネットワーク・インフラ基盤としてNTTが開発中の、「IOWN(アイオン)」も楽しみです。



■中央銀行デジタル通貨(CBDC)の元年になる⁈
今年は、中央銀行デジタル通貨の元年といわれています(中国は昨年実証実験、日本も今年実証実験を予定)。
仮想通貨との違いは何でしょうか。
【デジタル通貨は大きく分けて、この3つ】
・電子マネー…今ある決定通貨をデジタル化したもの
・仮想通貨…国家の枠を持たない暗号化されたデジタル通貨
・中央銀行発行のデジタル通貨…国家の中央銀行が発行するデジタル通貨
と、なっています。下記の解説が分かりやすいです。

日銀も、2021年度中にデジタル通貨の実証実験を行う予定のようです。
2021年は日銀のデジタル通貨について、大きく動く年になりそうですね。


■半導体需要の創出、EV自動車の動向にも注目
今回は詳しく取り上げませんが、新しい情報やデータで管理された経済社会では、より高度で複雑化された半導体が必要になるため、現在は半導体需要が非常に強く、新たな長期Trendを形成しつつあります。
「EV自動車」もとても話題になっています。しかし、大雪の日はどうするのか、とか、ロードサイドの充電設備の充実度、住宅の充電設備はどうするのか、など、私たちの身近ではまだ課題もあるように見えますが、EV自動車は、今は世界的潮流の中で大きく動いています。こちらの動きにも目が離せません。


以上が、2021年経済Trend予測です。
とても広く、大きなテーマが多いので、ひとつひとつ、日常生活の中で、これからどのように結びついていくのか、経済のカタチがどう変化していっているのか、思考を回し続けることによって、未来イメージを持ち続け、最新のニュースには敏感でありたいと思っています。

皆様、今年もよろしくお願い申し上げます。


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