誰にでも訪れること。だけど、誰にも当てはまらないこと。
僕の祖父が亡くなったのは、歴史的豪雪の予報が出された日の朝でした。
カメラが好きな祖父は、娘である母や祖母の写真を撮るのが好きだったと、幼い頃に聞いたことがありました。
葬式は呆気ないもので、胡散臭い坊主が祖父の顔を見て手を合わせ、それらしい読経をして、それらしい慰めを言い、祖母から金を取ってゆきました。
――ああそうか。こうして世界は廻っていくのだな。
彼にも生活があります。家に帰れば奥さんがいて、子供がいて……。当たり前ですが、彼も家では父親なわけで、父親の役目を果たす