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たまに見る。こんな夢。

「ばさばさ」という音がする。

鳥が飛び立つように、と使い古された喩えを使えばわかりやすいだろうか。

「ばさばさ」という音がする。

僕はひとり。

木箱の前で立っている。

それは白木の箱で、「なんだか棺桶みたいだな。」とぼんやりした視界が判断する。

「ばさばさ」という音がする。

手元から何かが落ちていく。

何か。ではなく、それは僕自身だ。

僕の手が、腕が、肩が、胸が、ばらばらに崩れ落ちていく。

視界が残っているということは、頭はかろうじて崩れ落ちていないということだろうか。

僕の破片は行儀よく木箱に落ちていく。

木箱の大きさの割に、ばらばらになった僕はとても少なく、木箱の空白ばかりが目立つ。

木箱に積もっていくばらばらになった僕は当然動かず、それが本当に僕だったものなのだろうかと疑問に思うくらいだ。

そうしてふと、

「僕が僕であることを証明するのに、僕はどれだけ必要なのだろう。」

そんなことを思った。

白木の箱を埋めるためには、僕は圧倒的に少なすぎた。

そんなことを考えれば考えるほど僕が僕であることに自信がなくなっていき、

僕の視界はどんどん狭くなっていった。

※※※

「ばさばさ」という音がする。

僕は仰向けに寝ているようだ。

「ばさばさ」という音がする。

何かが僕の胸や腰や太もものあたりに落ちてくる。

視線だけをそちらに向ける。

落ちてくるものは本だった。

大小様々な本たちは、ばさばさと、ばさばさと音を立てて僕を覆う。

普通に考えたらその光景は異常であり、僕は憤ったり悲しんだりするべきだったはずだろう。

だけど、僕は落ちてくる本を眺めながら、

「そんな風に落としたらページが折れてしまうじゃないか。」

とそんなことばかりが気になった。

※※※

「僕が僕であることを証明するのに、僕はどれだけ必要なのだろう。」

免許証や住民票は、「僕」を確実に証明するだろう。

同様に、髪の毛や唾液から採取されるDNAも「僕」を確実に証明する。

だけど、それらが証明するものは、「僕という箱」だな、と思うことがある。

なんの根拠もないけど。

でも、なんとなく、本当になんとなくだけどAmazonとか楽天の購入履歴の方が僕を証明できる気がする。

そちらのほうが、一人の人間としての「僕」を表している、と思う。

免許証や住民票がなくなったその時、僕は何で「僕」を証明するのだろう。


※※※

たまに自分の葬式の夢を見ることがある。

だいたい僕が棺に横たわっているのに、僕は参列者目線でその光景を見ることになる。

不思議な夢だ。

あ、あと初夢はハゲる夢でした。
ええ、それはもう散らかしていましたよ。
トレンディエンジェルの斎藤さんばりに。
でも、実際の僕の毛根は無事です。大丈夫です。

書き初めが、変な話題なので、「個性的なやつ」というかろうじて知人というカテゴリーから「変な人」と完全に他人のカテゴリーに分類されないか不安です。

遅くなりましたが、何はともよりあけましておめでとうございます。

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