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アドラー心理学から学ぶー幸せに生きるための具体的な方法論

「嫌われる勇気」という本を久しぶりに読み直した。
私はこの本が出て話題になった2014、5年当時は全く手にとってもみなかった。世間であまりに話題になって、アマノジャクな私は、きっと人目を気にしすぎる日本人に対して、人目を気にしないで生きよう、という本かと思ったのだ。
平均的な日本人に比べたら人目を気にしないで生きてきたので、私には必要ないと勝手に思い込んだ。

それがあるときふと目に止まり、あんなに評判になった本だからと読んでみて大変な衝撃を受けた。とんでもない勘違いをしていたものだと。

それが4、5年前のこと。今回また読み直してみて、改めてアドラーの考えたことに感動している。
実際にどうしたら人間は幸福に生きられるか?という道筋を論理的に説いたものだったからだ。

一番大きな点はそれまでのフロイト的なアプローチが原因論だったのに対して、アドラーは人の全ての行動には必ず目的がある、としたところだ。

子供が悪さをして、いくら注意してもやめない、といった時、従来の考えではどうしてこんな子になっちゃったのか?と原因を探ろうとする。

それに対して、アドラーはその子が悪さをするのには目的があると考える。悪さをすると先生から怒られる、親からも怒られる、怒られる方が無視されるよりいい。
かまってもらえる。

「嫌われる勇気」はあれだけ流行ったにもかかわらず、読んだ人の数だけ人の考え方が180度変わったとは到底思えない。
自分の抱えた問題が自分が目的を持って起こしている、などと現実には受け入れられないのだと思う。

例えばお金の苦労ばかりしている人が、あなた、それ自分が目的があってお金の苦労をしているんですよ、と言われて、そうだったんですかあ!とはなかなかならないと思う。

ただ、人を動かしているのは95%の潜在意識なのだ。

私の知っているお金の苦労をしていた人はある時100万円の宝くじが当たった。
そのお金を自分で使わず、成人している息子が車を買うのに使い、しかもその息子はそれから間も無く事故を起こして車は廃車になってしまった。
まるで自分にお金が入ってくるのを拒んでるみたいだった。

原因はいくら探ったところで過去は変えられないからそれがわかったところで私たちは無力だ。上のお金の苦労をしている人も、自分は苦労するものと決めているように見えた。過去は変えられないのだから自分は変われないと。

でも自分が抱えている問題は実は今の自分が目的を持ってやっていることだとしたら、その目的を知り、それを改めれば現実を変えることができる。今自分の手の内に持っている駒で解決ができることになる。
まさにコペルニクス的転回だ。

ちなみに、お金の問題は実は愛情問題だという話もある。
お金が足りない=愛情飢餓のサイン、愛情に飢えている印。
でも愛情は大人になったら人からもらうものではなくて自分が自分に与えるもので、自分に十分な愛情を注ぐようになると、不思議とお金の苦労から抜け出せることが多い、と聞いたことがある。

お金と愛情の問題は置いておいて、話をアドラーに元に戻そう。

嫌われる勇気というタイトルは日本人に響いたに違いない。この嫌われる勇気というのはアドラー心理学の要点でもある承認欲求を手放す勇気を表している。
人から認められたい、嫌われたくない、という欲求を手放せば人はずっと自由になれると。

人から認められたい、という承認欲求自体を全てなくすことは私はできないと思っている。それは食べることと同じように生存本能の一部だと。人から自分の存在を認めてもらえないと社会を作って生きていく人間にとっては生存の危機に繋がることもあるから。

ただし、日本人の場合は戦争時代の名残でもある集団の圧が強い。集団から突出しないようにするのが身の安全だ、ということがこの2、3世代で染み付いている。
それに加えて、近年の企業戦略が人の承認欲求を刺激することが多いこともあって、必要以上の物を食べて肥満になるのと同じように、必要以上の承認欲求のために不要な目的意識を持ち、不要な行動をしてしまっている人が多いんじゃないかと思う。

自分にとっては本当は必要がない承認欲求を手放すことはより幸せに生きるために必要なダイエットみたいなものだと思う。

人間の悩みは全て人間関係にある、とアドラーは言った。その人間関係を複雑にしているのは自分に他ならない。
本当に必要なもの、心がときめくものだけを持つようにする、というのはコンマリさんが提唱した断捨離の方法だった。

これと同じように本当に自分にとって大事な人間関係においてだけ自分の存在感があればいいんだ、と思えば承認欲求も最小に抑えることができて、余計な行動も減っていくのじゃないか、と思うのだ。自分で書いているうちにたどり着いた結論なので、これから私自身その辺よく考えて生きていってみようと思う。



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