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自己肯定感が上がれば幸福度が上がる

この前のWBC決勝戦前の大谷の言葉!
「僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。」


自分に肯定的になる努力を重ねてきた大谷だからこそ言えた言葉なんだと思う。


そもそも自己肯定感てなんだろう?

申し分のない才能の持ち主でも自己肯定感の低い人もいる。

逆に大きな障害を抱えていてもそれを肯定的に捉えてポジティブに生きている人もいる。

自己肯定感とその人の実際の能力の高さや低さは関係がないと言ってもいい。

これまで私が得た情報を総合すると、自己意識はごく幼い頃少なくとも3歳以下の時に植え付けられるもので、直接は親などとの関わりが大きいとも思われるようだ。でもその親もその親から、になると、むしろ個人的よりも社会的な影響も大きいのではないかと思う。

そもそも日本人は押し並べて自己肯定感が低いところがあるように思う。それは前回書いた、戦中から始まった一億総動員にも大きく関わっているに違いないと思う。

私は日本人の多くが世界的に見ても格段に良い生活を送れているにもかかわらず、幸福度が低い(世界幸福度ランキングで2022年は54位)のはこの自己肯定感の低さから来るのではないかと推測している。

これは心の持ち方、ではなく、自分に合わない環境や苦しい立場にいても自分はこんなものだと諦めてしまうという意味でだ。
我慢強さもあるだろうけど、幸せを求めるよりも人から浮かないことを優先させてしまうのじゃないか。

日本の幸福度ランキングを下げているのは「社会的自由度」と「寛容度」らしい。

社会的自由度については制度の問題もあるかもしれないが、個人がそれに甘んじることも大きいと思う。それは前回書いた一億総動員で基礎を作られ戦後強化された標準化、均質化が関係しているかもしれない。個人よりも集団の利益が優先されることが自明で、適応できない自分が悪い、自分が我慢すべき、と思う日本人がほとんどなのではないだろうか?

個人の自由がないのが標準、個人の違いを受け入れない不寛容。


個人より集団が優先されること自体は江戸時代に基礎が固められたものだろう。幕藩体制のもと、人口の85%を占めた農民は厳しく支配管理されていた。個人の自由があった人はごくわずかだっただろう。

明治になって身分制度は廃止されても、一部の支配階級によって国民が支配されたまま対外的には戦争が続く。
大正デモクラシーでわずかに自由な空気が漂ったけれど、それも日中戦争が始まって泡と消え、それからあとは前回書いた通り、戦後も大量生産時代の波に乗って標準化が進んだ。

そんなわけで、個人<集団、が相変わらず日本のベースなのだ。

ただし、それはあくまでこれまでのこと。

個人を重んじる人の数が増えていけば、ある時日本人もオセロがひっくり返るように大転換する時が来るかもしれない。

私は日本人が個人の気持ちを大事に生き始めたら、すぐに世界幸福度ランキングの上位に躍り出てくると信じている。

自分を大事にする人は人も大事にできるから、社会的自由度も寛容度も格段に上がるに違いない。

まずは個人が同調圧力に負けずに自分を肯定して生きていくことだと私は思うのだ。

自分は人より偉いとかすごいとか思ったり態度に出す人ほど、実は自分に自信がなく自分より偉い、と本人が思っている人の前では急に態度が小さくなったりする。

自己肯定とは優れているかどうかよりも、良いことも悪いこともどんな自分も肯定していくことだと思う。
そういう自分をとことん愛することだと思う。
人よりダメな部分がある自分、人ができることができない自分、も。
人よりできる自分、人より見える自分、も。

何もかもダメだと思っている人がいたら、それはそう思い込んでいるだけだろう。
短所の裏には必ず長所が隠れている。

人は本来十人十色。
みんなちがって、みんないい〜by 金子みすゞ

個人<集団、になると十人は一色にさせられる。違う人は悪になる。

大谷翔平はそれまでの常識を覆す、二刀流を提げて大リーグで大活躍をしている。並の自己肯定感で果たせるものではないと思う。

多くの人がどちらかに絞った方がいい、と言っただろう。本人も悩んだ時もあったそうだ。チームに迷惑をかけているんじゃないかと。
そういう迷いを乗り越えてもやりたいことを貫いてきたのはただ能力があっただけじゃないだろう。ほんとうに強い意志力がなければできないことだと思う。

自分を信じ続けてやってきた彼だからこそ「憧れるのをやめましょう」は日本人みんなの心に響いたのだと思う。

今の日本人に一番必要なこと、それはどんな自分も信じ切る勇気だと思うのだ。

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