世界の終わり #4-9 メタフィクション
「なくなっているって……大事なものなのか?」
「大事、といいますか、はあ、まあ、他人のものですので」
男性は振り返って、柏樹と荒木の顔を交互に見た。「利塚のいっているブレスレットってやつを、ご存知ありません?」
「いえ――」答えて柏樹は荒木へ目を向けた。
両手のひらを開いてみせ、荒木はブレスレットをもっていないことをアピールする。「ポケットの中も見せましょうか」
「いやいやいや、まさか、そんな。盗んだとか、そういう話をしてるんじゃありませんよ。おい、利塚。ちゃんと探したの