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【連作短編】世界の終わり

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【完結】群像劇。― end of the world 01 ― 連作短編小説です。
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#推理

世界の終わり #0 -Overview-

— end of the world 01 ― 生物を〈生ける屍・グール〉へ変化させる感染症発生によって封鎖…

世界の終わり #1-1 プレミア

 いやァぁ、嫌ッ――と、板野茉莉絵(いたのまりえ)は髪を振り乱して、玄関へ向けて駆けだし…

世界の終わり #1-2 プレミア

 ぼくと板野、そして荒木がいる場所は、福岡市南区の高台に建つ、峰岸という人物が所有する個…

世界の終わり #1-3 プレミア

 頷いて返される。ぼくはかぶりを振る。椅子から離した手を太ももにあてて、強く擦っている荒…

世界の終わり #1-4 プレミア

 すぐさま板野の姿が目に飛びこんできた。板野は扉のノブに手をかけて座っていた。ひとりだ。…

世界の終わり #2-8 ギフト

 駆けつけた三枝らにはグールに関する話しか口にしなかったが、掛橋と利塚は拘束用のシートで…

世界の終わり #2-10 ギフト

「どういう……ことでしょう」  不安げな声で利塚が尋ねた。小獣舎は七番目の檻で再度途切れ、荒れ地を挟んで八番目以降の檻が続くが、先の檻は一ヶ月以上使用していないので確認するまでもない。 「檻から逃げだしたわけではなかったのか」 「そのようですね」 「柵が破られ、敷地内にグールが侵入してきたか……もしくは」 「もしくは?」怯えた声で利塚が尋ねる。  掛橋は勿体ぶった間をあけたのちに、己の考えを言葉にした。 「死亡した彼は、敷地の外で襲われたのかもしれません。グールの追撃から逃れ

世界の終わり #2-13 ギフト

 小野が手を伸ばし、テーブルのうえに置かれた白い柄のナイフを手に取った。 「掛橋さん――…

世界の終わり #2-14 ギフト

「……!」  言葉を失っている掛橋へ向けて、どこからか不快なノイズ音と人の声とが発せられ…

世界の終わり #4-3 メタフィクション

          * 「さて――」ワゴン車の開かれたドアの前に立った柏樹は、車内にいる…

世界の終わり #4-4 メタフィクション

「待て、まだ話は途中だ」多数決で纏(まと)まりかけた話を振りだしに戻すべく、体躯のいい青…

世界の終わり #4-6 メタフィクション

「荒木くんの問うた〝企(たくら)み〟についてだが、説明する前に、僕の体験を知ってもらう必…

世界の終わり #4-7 メタフィクション

「さて。話を戻すよ。最初の九州入りは事件のせいで完全に潰れてしまってね。結局、僕は北九州…

世界の終わり #4-8 メタフィクション

          *  午後五時。  アポなしで訪問したにも関わらず、市民団体〈TABLE〉は、柏樹らを歓迎してくれた。  柏樹と親しかった三枝という名の女性が対応してくれたこともあって、かなりの優遇である。  到着した時刻が日の入り間近だったので、宿泊の準備も進めてもらえた。 「このところ筑後平野でグール化した者が多数発見されているようですし、みなさん、お忙しいのではありませんか」  食堂として使用されている建物へ入る直前に、柏樹が尋ねると、 「たとえ忙しくても、柏樹