【金属仕上げのミダスメタルでの製品が出来上がるまでの過程】
空間デザインのマテリアルを選定される際、デザイナーはかなりの種類の中から、使う場所と適切なマテリアルを選定されると思います。
今回は弊社エレガントウッドがつくるデザインパネルをちょっと知ってもらいつつ、素敵な案件をご一緒させてもらいましたので、納品まで時系列にまとめてみました。
ビスポークできる
建材メーカー=既製品が一般的です。デザイナーが考える空間デザインに適したデザインパネルとは?を追求していくと、既製品ではなくビスポークと感じ、約10年前からビスポークを提案してきました。
CNCルーターで削られ、立体に自由度合いが高く、デザイナーのイメージ通りにできるデザインに評価をいただき、これまでたくさんの案件に採用されました。
今回は、レジデンスの案件の納品までの流れをご紹介します。
デザインパネルの仕上げには、さまざまな種類がありますが、ミダスメタルの金属仕上げはまだ多くありませんでした。
ミダスメタルは、ドイツ製になります。ドイツ表記ではMIDAS Metall。
ミダスメタルは専用の金属パウダーと結合剤、活性剤を混ぜて使用します。90%以上が金属そのものとなり、色合い、質感、硬さも金属そのものです。なので、経年変化によるサビなども当然出ます。その自然に出たサビや緑青などが味になります。
下地材は、弊社が扱うケイ酸カルシウム板、石膏ボード、MDF、木材、スチールやガラスなどに使うことができます。テクスチャーが特徴で刷毛、ローラー、スプレーなどでかなりの種類を表現できます。
ラフケッチから始まる
最初のリクエストは、デザインの宮川さんからのラフケッチからスタートしました。
どんな加工で、どうするかなど、具体的に詰まっていない状態でのリクエストは弊社にとっても提案の幅があり、デザイナーとイメージを共有しやすいメリットがあります。
立体の肉付け
ラフ後に肉付けしてもらい、立体感を確認していきました。厚みはいくつかいいのか?コストとの兼ね合いは?など事前に確認していきます。
3DCG
ビスポークによる提案の一つとして3DCGによるデザインの確認はほとんどの案件でおこなう作業です。立体感や全体の雰囲気など確認できます。サンプルを製作する前に、お互いのデザインの認識を確認するのは非常に大事と感じます。
モックアップ
3DCGでわからないところは当然実物での確認です。3DCGでの検証が終わった段階で、モックアップを製作しました。すべての案件で大きなモックアップを製作するわけではありませんが、特にこだわった案件やビスポークは100%モックアップを製作いたします。
仕上げの確認
ミダスメタルは塗り方によって仕上げの表現が大きく変えれます。ハケ塗りも可能で、ハケ目を出す仕上げなどもあり、今回はガン吹きで梨地(エンボス)のリクエストをいただきました。
表面の凹凸お分かりでしょうか?
磨くとさらに光沢がでて、梨地のいい雰囲気がわかります。
ミダスメタルを知らない人は、この素材がケイ酸カルシウム板で塗られていることに気がつかない人もたくさんいると思います。(打ち合わせは@東京事務所(池尻大橋))
タッチアップの検証
「何かをぶつける傷がはいる。」という想定をしてみて、実際に凹みや傷をいれてみました。
素材や仕上げによってなんでも傷が入ることは考えられます。しかし「直る、直らない」は、デザイナーはマテリアルを選定される際のポイントにもなりますので、納品後でも補修が効くという立証できたことはよく、弊社として大変勉強になった点でした。
白はウレタン仕上げです。
パテ、ペーパー、塗装による修復。問題ないことが確認できました。
神は細部に宿る
詳細の詰めの最後は本スケールによる確認です。「あと少しこうだったら」の細部を詰める作業中です。
CNCルーターである程度は詰めた加工はできますが、微調整は人の手にかかってきます。ペーパーで表面をならして確認したニュアンスを表現しました。
壁面も同様です。凸の端部に丸みを帯びさせる大事な仕上げの工程の一つです。
そしてミダスメタルへ
形状を整えたあとはいよいよミダスメタルの塗装です。塗装というより、ミダスメタルは研磨が命です。
専用のブラシを使い、研磨していきます。そこのあらかじめテクスチャーをつくておいた梨地(エンボス)が効いていきます。
梨地がはっきりとでてきました。
ミダスメタルのいいところは、汚れがついた、傷が入れば補修というように、再塗装、再研磨ができることです。
アートパネル裏には壁に引っ掛けられるように、ドッコを設置。パネルからのオフセット、ドッコの周りは仕上げなど確認します。
CNCと最後は職人の仕上げ。全て同じ仕上げになりました。
ミダスメタルはなんでも塗れる
今回、アートパネルと壁面以外に流木でのミダスメタル仕上げにリクエストをいただきました。写真はテスト用の流木。内側の狭いところは塗料が入らない、細い枝は折れる、など、試作と検証時のサンプルです。
実際に納品させてもらった流木のアートです。ミダスメタルは、カッパー(銅)です。
シルバーに見えるミダスメタルは、ステンレススチールです。
そして竣工
照明があたりミダスメタルの金属の照り、ビスポークによるうねりの抑揚が特徴的なデザイン、パネル全体に凹凸の強弱、空間の雰囲気。すべてにおいて調和している気がします。
アートパネル
美しいラインとエッジが効いた素敵なデザインです。仕上げ塗装には柔らかい表現ができるストーンペイントで粒子が小さいものを使用しました。
完成して思った感想
率直に感動しました。デザイン、曲線美、ミダスメタルの仕上げ、使い方。全てにおいて美しさを感じます。
初めのご相談から1年半ほどの日数を得て、完成を追求していただいた宮川さん、ナカムラさんに感謝しています。
そして、改めて弊社のものづくりのポテンシャルを再確認できたことも大きなことでした。
ありがたいこともたくさんのビスポークでのリクエスト、ミダスメタルのリクエストをいただいております。これからもデザイナーが考える空間デザインに役立つ、素敵なデザインをご提案できればと思っております。
設計:宮川事務所 / Cotolabo ナカムラ チヒロ
製品:ビスポークによるアート
業種:レジデンス
http://www.elegantwood.net/works/work86
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