シミの住人|SFショートショート
ある人間の食べ物の液が一滴、その者の服に落下した。
それが世界の始まりだった。
その液体は服の布に染み込み、繊維の一本一本にまで浸透していく。
そこにある時、細菌が一つ、外界から飛来してきた。
細菌にとってその栄養価の高い液体の中がとても居心地が良く、その中に留まる事とした。
その場の栄養を使い、細菌は順調に個体数を増やしていった。何も考える力はなく、個体を増やす事のみに専念していく。
そうしているうちに、液体の水分は蒸発を進め、一部に乾燥した部分ができた。
細菌の世界か