見出し画像

2年半暮らしたニュージーランドをふりかえる (1年目編)

ニュージーランドには微塵の興味もなくどちらかといえば" 苦肉の策 "でカナダから泣く泣く引っ越した場所でしたが、パンデミックなど偶然が重なり結果的に約2年半暮らしました。

ニュージーランドへ渡る飛行機のなかで「うーん...ニュージーランドか....」と気分が乗ってこなかったのを鮮明に覚えています。
それから当時の予定より長くなった2年半の暮らしを終え、ニュージーランドを去る飛行機のなかでは「最高の国だったな....」と印象が大きく変わっていました。

現在は二度目になるオーストラリアでの暮らしをはじめていますが、あらためてニュージーランドでの暮らしとビザ、貯金、キャリア、英語力、国内のコロナ状況、旅などの経験や収穫を主な話題として1年目、2年目、3年目の3編に分けてふりかえっていきます。
中卒専門卒の僕でも現地企業のフロントオフィスで2年半働きながらまったりNZ暮らしを満喫できたので、わりと再現性のあるプチ移住の絵がつかめるかもしれません。

さて、ニュージーランドへ引っ越すまでの海外暮らし歴として、フィリピンで1年、オーストラリアで半年、カナダで1年数ヶ月、そのあたりの経験も踏まえつつニュージーランドで暮らしたようすをシェアします。

画像1


" カナダ移住を目指し、カナダから、ニュージーランドへ引っ越す "

まずはじめにニュージーランド( これ以降はNZ表記  )へ渡った目的について触れていきますが、そのまえにNZへ引っ越す前のはどこにいたかというと、ワーキングホリデー制度を利用してカナダで働きながら、カナダでの永住権の取得とその後の生活を豊かにするための道のりを模索していました。そして1年間有効のビザ期限が切れるころ、今後とれるオプションとして以下の3つがありました。

1 - 働いていたジャパレスでワークビザに切り替えて永住権を目指す。取得後にドメスティック価格でカレッジか大学へ通い、新しいキャリアを築いていく。

2 - カレッジのパートタイムコース(BCIT)を経て、まず3年間有効なワークビザを取得を目指す(ポスグラビザ)

3 - カレッジのフルタイムコースへ通うために、英語が公用語として使われているどこかの国のワーホリ制度をまた利用して出稼ぎへ行く。


それぞれ説明していきます。
1 → おなじ職場で働いていたほぼ全員がワーホリで取得したビザからワークビザに切り替えて6ヶ月から2年の期間で永住権を取得していた。

2 → フルタイムに比べると低コストで3年間のポスグラビザが取れ、かつIELTS不要のジョーカー的存在。そのための資金も十分にあった。

3 →  カレッジフルタイム入学へはカナダ永住権獲得の王道コース。しかし実現するには手持ちの資金では足りず、また英語面でも入学条件となるIELTS6 - 6.5ポイントがスムーズにとれるか不安があった。


結果もっとも厄介そうな3を選びました。カレッジへフルタイムで入学すると2年の学生期間と3年のポスグラビザ期間をあわせてカナダ国内で5年粘ることになるので、その前に便利なワーホリ制度を利用して他の国でカナダのカレッジフルタイムコース資金を作りながら英語力を上げつつ暮らしててみるのも面白いと考えました。
以下3つの国を候補としてあげたのですが、オーストラリアは滞在した経験があるし、イギリスは抽選制で面倒だし、消去法的に残ったNZへ行ってみよう。そういった経緯で、カナダ永住権取得を実現させるために、カナダからNZへ移ったわけです。

画像2


" ビザが切れるその瞬間、どのような状態でいるべきか "

断腸の思いでカナダを離れました。というのもカナダに納得のできる形で残るためにひとつでも多くのオプションをと現地で1年間頭も体もフル回転でもがいた自負があったため、悩みぬいた末にえらんだオプション3が本当に正しい選択なのか迷いがあり、最後まで葛藤が続きました。
とりわけオプション1の魅惑は強烈でそっちを選択していれば、一緒に働いていた職場の先輩たちと同じように永住権が降ってくる。(※かもしれない) 
※ビザや永住権においてはルールが常にアップデートされるため、これまでもそうだった=これからもそうあり続ける とはいえないため注意が必要です。

NZへ渡った僕は、入国から365日後ビザが切れる瞬間に「あのときオプション3を選んで、カナダを離れた自分は正しかった」と胸を張れる状態でいなければいけませんでした。つまりは貯金が成功し、英語面においてもカレッジでの授業やジョブハンティングがしっかりこなせるくらいの成長ができている状態です。これを実現させるため、そろばんをはじきながら逆算して、やること、やらないことを日々整理していました。

実はNZに引っ越すことにした理由がもう1つありました。
それは
【 NZでは雇用主の推薦があれば職業や給料問わずビザの申請が可能 】
だったことです。(※上記のようにこれまでもそうだった=これからもそうあり続ける とはいえないため要注意)
あまり稼げないNZは貯金に向いてないと聞いていたため、それならビザの許すかぎり2年過ごしても良いかなと入国前に考えていました。カナダでの暮らしでもみたように、有効なビザのあるうちに1つでも多くのオプションを用意しておくのが海外生活のコツで、それこそがビザの期限が迫ったときの自分を助けてあげられる唯一の手段だと考えています。打てる手がなく不本意ながら帰国するのは絶対に嫌です。そして基本的には永住権を取得しないかぎり、このビザラットレースからは抜け出せないと理解しておいていいはずです。

さて、【 NZでは雇用主の推薦があれば業種や給料問わずビザの申請が可能 】の意味するところですが、つまりワークビザ申請へ向けて乗り越えなければいけないハードルはたったの1つだけで、それは雇用主との信頼関係構築。雇用主がやるで、やったるでとさえ言えば、職種、給与、さらには学歴も不問でひとまず申請にこぎつけられます。これは他の国と比較してもかなり優しい条件でした。
しかしまたここにも注意が必要で、ビザ申請が可能=ビザがもらえると考えるのはキケンです。あくまで申請ができるだけで、イミグレ及び外務省がビザを差し伸べてくれる保証はありません。

とはいえ、まずワーホリ制度を利用して働けるビザを自前で用意し、相応しい雇用主とマッチングができれば、2年目目、3年目とそれなりに長くNZに長く暮らすのはわりと現実的な計画で特に難しさはないと感じました。
なぜかというと、雇用主側にとってワーホリ制度を利用し、どの会社でも働けるビザを持参したうえでNZに滞在している外国人の雇用はリスクやコストがかからないので、「ほな明日から働いてや」の一言でスムーズに入社でき、そこからワーホリ制度で取得したビザが切れるまでの期間で「あなたと長く働きたいから、どうかビザ申請のサポート頼むよ、ボス。」とお願いしつつ、しっかり信頼関係を築きあげていけるからです。
一緒に働いた経験のない見知らぬ外国人のためにビザのサポート手続きをするのはリスクもあり厄介ですが、実務経験のある従業員外国人のためのビザサポートなら喜んでやってくれるといった雇用主は少なくありません。これはNZで暮らしている人であればわりとうなずいて聞いてくれるはずで、僕は入国する前から雇用主とワークビザ申請までへのステップをオプション増やし策の1つとして想定していました。また、求人が増える繁忙期の夏にあわせて入国したのも当たりでした。

ここで小話を挟みますが、NZではワーホリ制度を利用して滞在している日本人の雇用期間には縛りがなく、つまり入国からビザが切れるまでの12ヶ月間フルで雇用できるのですが、他の国からワーホリ制度を利用してきている人たちのなかには1つの雇用主のもとでは最長3ヶ月だけしか働けない縛りがあったりします。もしあなたが雇用主だった場合、12ヶ月雇える日本人と、3ヶ月しか雇えないひと、どちらを雇うでしょうか?また、どちらがワークビザサポートに繋げやすいでしょうか?このような背景もあって日本国籍のパスポートを所持していると羨ましがられることが海外暮らしでは多々あります。
こういったはなしは留学/移住エージェントでは聞くことができないのですが、実際のところ海外移住において日本人は他国のひとたちに比べれば比較的簡単に実現できる土壌が整っていると思っています。


画像3


" あれ?なんだかNZって洗練されてね? "

さて、時間をすこし巻き戻し、ワーホリ制度を利用してNZのビザを申請するためイミグレーションの運営するサイトにアクセスし、そこで受けた印象を鮮明に覚えてます。これまでみてきたオーストラリアやカナダのそれとはもう明らかに違い、情報がきちんと整理されていてサイト内で迷子にならず、なおかつやたらとお洒落で、コンセプトカラーなんかもしっかり伝わってきて、なんだかみてるだけでワクワクしてくる。

画像4

いざビザ申請をはじめれば、なんともフレンドリーなイミグレオフィサーの担当者が付き、彼女の素早いレスポンスのおかげでさくっと申請が済み、なんのトラブルもなく数週間ほどでビザを手入れることができました。
NZってオーストラリアの右下だか左下だかそのあたりに位置してあって、日本で活動するスノーボーダーが冬を追っかけて行ったりきたりしながらアイスバーンがどうのこうの言ってるような、文明がギリギリのラインで発展をとげてる僻地くらいにしか認識してなかったので、だいたいの国でもたつく作業になるビザの申請がスムーズでイケてたのは、これまでもっていた印象からうける期待知とおおきくかけ離れるもので衝撃を受けました。



画像5

" ローカルジョブとフロントラインとビザオファーと貯金 "

さて、これまでシェアしてきたようないきさつのもとNZへの入国をはたしカナダから持ってきた宿題をクリアすべくすぐに仕事を探しはじめました。

条件は
1.カナダカレッジ資金がつくれる稼ぎ
2.ホスピタリティ関連の職場でのフロントライン業務
3.ワークビザサポートのオファーをもらう

その理由は
1 → もちろんカナダに戻るため
2 → 報酬をもらうことから逃げずに、実務の場で通用する言語能力を実務の場で身につける (職場こそが最高の英会話教室)
3 → ビザサポートをしてまで会社に残したいと思わせる成果をだす!


仕事探しのようすや方法はほかの記事でシェアしているためリンクを載せますね。

入国して2週間目には条件をすべて満たす職場からのオファーがもらえました。日本人だから大丈夫だという大胆な理由で、面接も試用期間もなくオファーをもらったうえ「長くいるつもりならビザサポートもできるから」と伝えてくれて、職場の全員が家族のように迎え入れてくれました。余談ですが海外にいながらも偶然日本で生まれ育って培ったアイデンティティーやパスポートに飯を食わせてもらってると海外滞在歴が長くなるにつれて考えるようになりました。

さて、ここまでうまくいくとは期待していなかったため、いま振り返っても宝くじが当たったような奇跡がおきたようで、拾ってくれたマネージャーとは一生の付き合いにしていくつもりです。
こうしてこの仕事をクビにならない限り、ワーホリ制度を利用して取得したビザの期限が切れる1年後には持ってきた宿題のすべてクリアをして、戦利品の貯金、英語力、ビザサポートによる申請を抱えられる環境に飛び込むことができました。

話はすこし逸れますが、NZへ入国してまず驚いたのは飲めるとは聞いていた水道水がやたらと美味しかったり、郵便物紛失のリスクが低く、安心してオンラインショッピングができます。カナダでは紛失しても後悔しない物しか郵送するな!が教えでした。
世界トップレベルでインフラが整備されていて、治安も良く、初めてイミグレのサイトを見たときに受けたwell-organisedな印象は間違っていませんでした。南米から移住したいくつもの同僚たちが「NZは女ひとりで外を出歩けるすばらしい国だ!ここは安全だから、家族は寂しがってるけど戻ってくるなと言ってる。」と話してくれたのが強く印象にのこっています。

画像6

” もう明日から来なくていいからと言って "

運よく掴めた仕事でしたが、地獄でした。自分は英語がそれなりに話せるとN Zに引っ越してくるまでは思い込んでいましたが、その根拠なき自信は完全にへし折られました。
まったく経験のなかった業種に手を出した僕にゼロから仕事を教えてくれる同部署のキウィ、毎日何十組と対面や電話で対応するキウィ達のアクセントに想定していた以上に苦戦し、文字通り1つの単語さえ聞き取れない状況にしばしば陥りました。未経験の業種で右も左も分からないままフロントラインに立ち、鳴り止まない電話、ガンガン溜まっていくメール、ひたすら続く対面での対応で浴びるキウィアクセント。また、カナダに比べこの国ではコミュニケーションが荒々しいように感じ、その影響もあってか人がやたらと好戦的に見えて戸惑いました。

明日の仕事を思うと夜は不安で眠れず、ニキビは増え、脚をガクガク震わせながら出勤し、生きた心地のしないままフロントに立つ。スペック不足が理由で自分から辞めると伝える選択肢は用意していなかったため、思いは「今日でクビになるやろなぁ」から「あかん、もう今日クビにして」に変わっていきます。それでも、倒れるときはせめて前のめりの姿勢でと悪あがきは毎日続きました。


画像7

” キウィアクセント? わたしもさっぱりわからんわ HAHAHA ”

働きはじめまだ日も浅いある時に、30人ほどの国際色豊かなチームをまとめるマネージャーのオフィスに呼ばれ、いよいよその時がきたかと覚悟を決めて彼女と対面しました。日本と比べ英語圏では、いきなり解雇を告げられるのは特別なことではありません。

仕事はどう?と質問をうけ「このチームの一員として働けて嬉しい。ただ業務面で同僚達に追いつくにはまだ時間が必要。あとキウィアクセントに慣れる自分の姿がちょっと想像できない。」と正直な思いを伝えました。
事実はどうあれ自分を大きく見ようと工夫してプレゼンしないあたり、我ながら英語圏で生きてくのは今後も大変だろうなと感じます。「仕事?余裕だぜ?」と軽くいっておくのが正確です。
彼女はそれを笑って一蹴しました。彼女自身も外国人としてNZに長く住んでいて、その経験をもってしても聞き取れないことがしばしばあるし、困ったらチームがカバーするからなんの心配もしなくていいと気をかけてくれました。

ちなみに彼女がだれかと話をしていて「Sorry ?」と聞き返すシーンを最後まで1度たりとも見ることはありませんでした。


画像8

" They are us " : Jacinda Ardern

2019年3月15日、僕が仕事に苦戦しているころ、それは起こりました。

クライストチャーチにあるモスクで起こった、NZ国籍を所持していない男による無差別銃乱射テロ事件。(少なくとも南島では)交通事故やらで死者がでれば大騒ぎになるような平和な国で、現代ニュージーランド史最悪の犯罪事件が起きました。事件では白人ではない外国人をターゲットとされ、多くの命が奪われたこの惨事によって国中を怒りと悲しみが包んだのを肌で感じ、Jacindaが強く放った「They are us」の言葉は安心をもたらしました。
NZでは外国人だって置いてけぼりをくらいません。この事件をきっかけに銃規制が厳しくなったほか、被害者やモスクへの寄付は2100万ドルを越えました。

Jacindaはスピーチの際に決まってまずマオリ語で話します。各方面への配慮を感じますね。



画像9

 ” Are you ready to renew your visa? ” 

NZへ入国したとほぼ同時に働きはじめ半年がたち、この頃にはフロントにひとり残って施設やシステム、会計などの締作業を任せてもらえるくらいの業務能力がついてきて、繁忙期が無事に過ぎ、これから2ヶ月間のホリデーへ旅立つマネージャーにまたオフィスに呼ばれました。
彼女にはカナダからNZへ引っ越してきた目的も伝えていて、最終的にはカナダへもどるうえでNZ2年目を過ごす意志があるならビザ申請の手続きをはじめるよと声をかけてくれました。
この時点ですでに貯金の目標金額を上回っていて、かつビザサポートオファーまでもらってしまい、入国から半年のあいだでNZへ持ってきた宿題の2つをクリアすることができてしまい、結局その場では会社のサポートを受けてこのままビザの申請に進めるのか返事ができず、結果的に1年目のビザが切れるギリギリまで決断を先延ばしにしてしまいました。
ただ、その場で彼女に1つだけ質問をしました。

「もし仮に会社のサポートを受けつつビザ申請し、1年間のビザがおりたとして、ミニマム(最低でも働かなければいけない期間)はある ?」

「ない。あなたがここに居たいと思う期間だけ居てくれればいい。」


画像10

 ” もし君がその気なら面接するよ ” 

務めていた会社の取引先に日本人ならだれでも知っていて、新卒が就職したい企業ランキングの上位に名を連ねている日系の会社がいくつかあり、仕事を通じて人事権をもつかたと繋がる機会があったので、何度かお会いする機会を重ねてから、いまの自分の業務内容が日本の大手企業へ転職を前提とした場合に評価されるようなものなのかたずねてみたところ太鼓判を押してもらいました。
まぁここまでだと取引先の先方へ向けた無難なトークでしかないので、更に踏み込んでほなら入社させてもらえるかと聞いたところ「いまは枠がないけど、空きができたら面接するよ。マネージャーにリファレンスになってもらいなー」と答えてくれました。
いまこの記事を書きながら思い出したのですが、取引先の日系会社の先方ともお互い日本語ネイティブだと知っていながら、通話やメールでのやりとりは英語だったので入社当時はかなり違和感がありました、


画像11

 ” You are more than welcome, always ” 

さて、ワーホリ制度を利用して取得した1年間有効なビザの期限が迫るころまで、会社のサポートを受け二年目を過ごすためのビザ申請をすすめるか、当初の予定通りカナダへ戻ってカレッジのフルタイムコースへ進学をするか決めきれずにいましたが、最終的には会社とマネージャーの助けを借りてビザの申請へ進み、無事にまた1年有効なビザを取得しました。

2年目を過ごす決断はいま振り返るとこれも大当たりで、パンデミックの始まりを世界でもっとも安全、フリーコロナといわれたNZで安心して過ごすことができました。
2年目、3年目とわけて記事を書いていくのでそのあたりの話はまた次回にとっておいて、ここでNZ暮らし1年目のさくっと総括すると、慣れないアクセントや未経験だった業務にボコされながらも周りの協力のおかげで、入国時に思い描いていたビザが切れるときの自分のあるべき姿をまんま実現させることができました。貯金も目標の倍近く貯めることができたので、ビザの申請を済ませて返事がくるまでの期間も、もしビザがもらえなければ当初の予定どおりカナダで学生を始めればいいやと余裕をもって過ごせていました。ワーホリ制度に感謝してもしきれません。

それでは、2年目編へつづきますが記事では主にパンデミック、ビザ、仕事(解雇通知) に焦点をあてて書いていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?