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2022年アメリカ中間選挙の情勢(9月)

 こんにちは。雪だるま@選挙です。この記事では、2022年アメリカ中間選挙の情勢を分析していきます。
 中間選挙は、11月8日(火曜日)に行われ、下院435議席、上院35議席が争われます。いずれも現在は民主党が多数派で、選挙後も維持できるかが焦点です。

バイデン大統領の支持率とGeneric Ballot(一般投票)の状況

バイデン大統領の支持率

 バイデン大統領の支持率は、9月2日時点で次のようになっています。

バイデン大統領の支持率(FiveThirtyEightの平均)

 依然として支持率は40%台前半で低い水準に留まっていますが、7月下旬から支持率は上昇傾向となり、8月中旬には30%台から抜け出しました。
 理由としては、6月下旬に米最高裁が「ロー対ウェード判決」を覆して全米での中絶権が保障されなくなったことへの反発が考えられます。
 また、バイデン大統領の支持率が低迷する大きな原因だった記録的なインフレがピークを迎えたとの見方が広まったことや、バイデン政権が「インフレ抑制法」を成立させたことは、8月中旬以降に40%台を回復した要因と考えられます。
 さらに、8月24日には奨学金の大規模な免除を発表し、この時点からも支持率は大きく改善しています。

Generic Ballot(一般投票)

 一般投票(Generica Ballot)とは、世論調査で「(議会選挙で)民主党候補、あるいは共和党候補のどちらに投票するか」を問う調査で、特に定数がすべて改選される下院(小選挙区制、435議席)の選挙結果と関連があります。
 そのGeneric Ballotは、次のようになっています。

一般投票(FiveThirtyEightの平均)

 8月に民主党の支持率が共和党を逆転し、現時点で0.9ポイント上回っています。これも、バイデン政権の支持率上昇と同様に中絶問題、インフレ抑制法の成立、奨学金免除が要因だといえます。

 民主党の支持率はバイデン大統領の支持率よりも早く上昇するなど、政権の支持率とは違った動きを見せています。
 これは、バイデン大統領が再選出馬するとはみなされておらず、任期終盤に見られる「レームダック化」が進んでいる可能性を示しています。
 すなわち、バイデン大統領と民主党への評価は必ずしも一致せず、バイデン大統領の支持率が低水準でも、民主党が議会選挙で敗北するとは必ずしも言い切れない可能性が出てきています。

下院と上院の情勢について

 まずは、下院情勢についてです。下院では、定数435議席がすべて改選されます。現在は民主党が220議席、共和党が211議席、欠員が4議席となっており、民主党が過半数を確保しています。

 下院では、共和党が過半数を獲得する可能性が高いといえます。支持率では民主党が共和党を上回っていますが、下院の議席数では民主党が2~3ポイント程度上回らなければ過半数を維持できないため、現段階では共和党が過半数を奪還する見通しです。
 ただし、議席数の差が縮まる可能性はあり、現段階では共和党が220議席台後半~230議席台前半、民主党が200議席台に収まると予測しています。

 続いて、上院の情勢についてです。
 上院の定数は100議席で、現在は民主党と共和党が50議席ずつを分け合っています。上院議長を兼ねる副大統領が民主党のカマラ・ハリス氏であることから、民主党が多数派となっています。今回の選挙では、上院は全体の1/3にあたる35議席が改選されます。

 上院では、民主党が50議席(多数派)を維持する勢いです。上院では激戦州があり、その州で民主党と共和党のどちらが勝つのかによって勝敗が変わる仕組みですが、今のところアリゾナ州、ペンシルベニア州などの激戦州を民主党が制する見通しで、ネバダ州で現職の議席を守れれば過半数を獲得できることになります。
 上院情勢については、選挙が近づけば激戦州ごとの情勢を詳しく分析する予定です。

今後の情勢はどう動くか

 中間選挙は11月に予定されていて、実際の投票まではあと2か月以上の期間があります。この間に情勢が動く余地は十分にあり、両党に勝利の可能性は残されています。

 この前提に立ったうえで、今後の情勢について考えます。
 8月は中絶問題をはじめ、民主党の「攻めの展開」となりました。バイデン大統領、民主党ともに支持率を伸ばし、8月上旬よりも情勢は民主党寄りに変化してきています(8月からの変化をより詳しく知りたい方は、8月上旬の情勢分析もご覧ください)。

 しかし、共和党は一般的に9月中旬から支持を伸ばす傾向があり、反転攻勢に出る可能性が高いといえます。下院では依然として共和党優位、上院でも民主党寄りの拮抗状態であるため、11月には共和党が大勝していることも考え得る状況です。

 中間選挙の争点については、こちらで詳しくまとめています。


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