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【2024年大統領選】民主党 “バイデン後継”は誰になるのか

 こんにちは。雪だるま@選挙です。この記事では、バイデン大統領の支持率の状況や、2024年の大統領選に向けて民主党内でバイデン大統領に代わる候補は誰なのかについて分析します。
 筆者は、現職のバイデン大統領は出馬しない(あるいはできない)と考えていますが、その理由についても説明していきます。

バイデン大統領への評価

バイデン大統領の支持率

 バイデン大統領の支持率は、9月22日の時点で42.5%となっています。歴代の大統領の中では低い水準ですが、一時30%まで下落していたことを考えるとやや持ち直した傾向にあると考えられます。

バイデン大統領の支持率(FiveThirtyEight)

 一方で、民主党の支持率は共和党を上回っています。バイデン大統領の低い支持率から考えると善戦しているといえる水準です。

民主党(Democrats)と共和党(Republicans)の支持率:FiveThirtyEight

 ここから分かることは、バイデン大統領への評価と民主党への評価が必ずしも連動していないということで、バイデン大統領は長く大統領に居続けるわけではない(すなわち再選出馬しない)と考えられている可能性があります。

民主党員の3割は再選出馬を望まず

 そこで、民主党員がバイデン大統領の再選についてどう考えているかを分析していきます。世論調査では、民主党員もバイデン大統領の再選出馬を望んでいないことが明らかになっています。

バイデン大統領の再選出馬(民主党員)
  望む:35%  望まない:31%  分からない:34%

YouGov / Economist September 10-13,2022

 バイデン大統領の出馬を望まないと回答している民主党員は、現時点で3割に上っています。バイデン大統領の職務遂行に対して「不支持」と回答している民主党員は13%しかいないため、不出馬を望む理由には健康面への懸念があると考えられます。
 不出馬を望む民主党員の多さや体力面を考慮すると、バイデン大統領が再選出馬することは現実的とはいえません。また、バイデン大統領も以前は再選出馬の意思を明言していましたが、最近では曖昧な態度を取るようになってきています。

民主党予備選 “バイデン後継”は誰なのか

ハリス副大統領

 カマラ・ハリス副大統領は、アメリカ史上初の女性副大統領として知られています。そのハリス氏ですが、現時点では最有力候補として世論調査でも筆頭に名前が挙がっています。
 しかし、その支持基盤は盤石ではなく、すぐに切り崩され得る点を指摘しておきたいと思います。世論調査の数は少ないですが、ハリス副大統領の支持率と不支持率は平均値で次のようになっています。

 FiveThirtyEight  支持:37.5% 不支持:48.7%
 RealClearPolitics  支持:37.0% 不支持:50.5%

FiveThirtyEight / RealClearPolitics

 不支持率はバイデン大統領やトランプ前大統領と同じ水準であるのに対し、支持率は5ポイント程度低い水準に留まっています。民主党内でも、ハリス氏に対する支持が固まり切っておらず、ハリス氏の候補指名獲得が既定路線とはいえない状況です。
 
ハリス氏の支持が固まっていない背景には、政権内で移民政策を担当しているものの、国境管理の強度を巡って党内急進左派から批判が上がっていることや、バイデン大統領が外交を含めて経験豊富であるため副大統領としてできる仕事が限られていることなどが考えられます。

ブティジェッジ運輸長官

 ピート・ブティジェッジ運輸長官は、2020年の民主党予備選に出馬したことで有名になりました。中西部インディアナ州のサウスベント市長を務めましたが、2020年は3月のスーパーチューズデーを前に撤退し、バイデン氏の支持を表明しました。
 ブティジェッジ氏は2024年も大統領選出馬が取り沙汰されていて、バイデン政権でもインフラ開発を担う要職の運輸長官を務めていることから、民主党内で将来を渇望される人物の1人といえます。

 しかし、ブティジェッジ氏の決定的な弱点は、民主党の主要支持層である黒人層の支持率が極めて低いことです。
 これには様々な理由があり、ブティジェッジ氏が市長時代に黒人貧困層が住む地域の再開発を推進していたことや、ブティジェッジ氏自身の経歴(有名大学を卒業し大手金融会社に就職)が典型的な白人エリートであることなどの理由で、相対的に収入が低い黒人層からの評価が低いと考えられています。
 予備選序盤のアイオワ州とニューハンプシャー州は白人の割合が高く、ブティジェッジ氏の支持率も高いですが、スーパーチューズデーに予備選が集中する南部では苦戦が予想され、指名獲得の可能性はかなり低いでしょう。

ニューサム知事(カリフォルニア州)

 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、現段階では有力候補として名前が挙がるまでには至っていませんが、指名獲得のポテンシャルを持った人物であり、筆者も注目しています。
 ニューサム氏が知事を務めるカリフォルニア州は、人口が多く予備選では全体の結果を左右する重要な州となります。8月にカリフォルニア州で行われた世論調査では、ニューサム知事がトップの支持を得ています。

 カリフォルニア州は、ハリス副大統領が上院議員時代に選出されていた州であり、2024年の予備選を考える上でこのリードは非常に重要です。また、共和党がデサンティス知事(フロリダ州)を候補指名する可能性がある中で、有名な若い知事同士の対決に持ち込めて支持層を固めやすい点もアドバンテージといえます。
 政治的立場では、穏健派よりもリベラル派に支持される傾向があり、後述のサンダース上院議員が出馬しなかった場合には、その支持を得られる可能性があります。

その他の候補

 現時点で、2024年大統領選に出馬する可能性が高いと思われるのは上記3候補(ハリス副大統領、ブティジェッジ運輸長官、ニューサム知事)です。ここからは、その他の候補についてざっと紹介していきます。
サンダース上院議員
 バーニー・サンダース上院議員は、2016年、2020年大統領選でもクリントン氏、バイデン氏と接戦を繰り広げました。民主党内プログレッシブ派(急進左派)のリーダー的存在ですが、今年で81歳を迎え年齢的に選挙への出馬や指名獲得は厳しいとみられます。
 サンダース支持者の有権者がどのような投票行動を取るかは、選挙戦全体を左右する要因であるため、サンダース氏がどの候補を支持するかも24年予備選では注目されます。

アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員
 民主党急進左派の若手リーダー格で、若い民主党有権者からは圧倒的な支持を集めています。大統領への立候補には35歳の年齢制限がありますが、オカシオコルテス氏は2024年にこの規定を満たすことができます。
 まだ経験が足りないことや、実際に予備選で勝利する見通しは立っていないことから、指名獲得の可能性は低いですし、出馬することもないと考えられます。

民主党予備選の展開は

 ここまでの分析を踏まえたうえで、これからの民主党予備選の展開について考察します。
 バイデン大統領、サンダース上院議員が出馬しない中で、最大の関心は両者がどの候補を支持表明するかです。おそらくバイデン大統領は、民主党内の融和を優先して最後まで支持候補を明らかにしない可能性が最も高いと思われます。
 サンダース上院議員の支持表明は急進左派の有権者に大きな影響を与えます。ここで、ハリス副大統領とブティジェッジ運輸長官は民主党内で中道派寄りと考えられているという点です。仮に、サンダース氏がニューサム知事を推薦すればニューサム氏にとっては大きな手助けとなるでしょう。

 ブティジェッジ氏の指名獲得は厳しいため、現時点ではハリス氏かニューサム氏のどちらかが指名を得ることになると思われます。今年11月の中間選挙を終え、大統領選レースが本格化するにつれて両者の動向が注目されることになると思います。

 共和党の予備選については、次の記事で詳しく分析しています。

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