手紙1

拝啓 オマエ様

オマエと出会ってから、もう15年かぁ。

オマエは昔から走るのが得意で、短距離も長距離も怪物並みのスピードだったからみんなから一目置かれてたけど、球技になるとからっきしダメだったね。それで俺は逆に親しみを覚えたんだけどね。

俺がオマエとの間で一番印象に残ってるのが、『メインじゃないオマエがなんでやねんっ』ていうエピソード。

俺の遠征にオマエが応援についてきてくれた時に、なぜか脇役のオマエが走り込みで足を故障するという謎のトラブルあったよな?

あの時はさすがにみんな心配してたけど、足のお医者さんまで自分の足で何とか歩いて行ったよな。結局、湿布みたいなものを貼ってもらってたけど、その程度で済んで本当よかったわ。あまりに酷いとさすがに選手生命も絶たれる危機だってあり得たし。

でもやっぱり、オマエとの一番の思い出は一緒に行った金沢旅行かも。

俺の家族とオマエという組み合わせでの旅行だったけど、俺の家族はオマエのことを完全に信用して受け入れてたから、全然違和感なかったね。オマエは意外と人の懐にスッと入るのが得意なのかもね。

旅行はというと、ベタに兼六園、金沢城、20世紀美術館、そして、長町武家屋敷など回ったな。で、その時に、俺はオマエの優しさを強く感じる時があったのよ。

例えばオマエは、金沢城の中に入らずに外から見るのが好きだという空気出して決して中に入ろうとしなかったけど、口下手なオマエなりの「家族水入らずで過ごしてね」という精一杯のアピールというわけだ。

ところで、色はブルー系だったけど、アップルのスティーブ・ジョブズみたいにいつも同じ格好だったのはオマエの拘りだよな。まあ、聞いたところでオマエの性格上答えてくれないのわかってたから、あえて俺は聞いてこなかったんだけど。無口キャラなオマエ、まあそれでいいじゃないか。

あと、最後に。

オマエは朝一だろうが夜中だろうが、こっちの無茶振りにも文句も言わずにいつも付き合ってくれてたから、ホント感謝しかなかないわ。

特に、俺の嫁が朝一で破水してみんな慌ててた時にも、オマエ一人異様に冷静で付き添ってくれたし、なんなら子供が生まれるまで寒い中待っててくれたしな。正直、凄い心の支えになったんだわ。



15年間、本当ありがとうな!

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                                敬具

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