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# 9 知識社会という前提を意識しよう

まず資本主義という前提

現在世界中の多くの国は、資本主義と言うイデオロギーを採用しています。イデオロギーと言う表現を使ったのは、必ずしもお金それ自身に価値があるわけではないことを強調したいからです。どういうことかというと、例えば日本円の10,000円札は、驚くべきことに原価24円なのです。

なぜ原価24円のものが、10,000円の価値を持っているでしょうか。それは、ほぼ全ての人が、10,000円の価値があると信じているからにほかなりません。そして、この金銭的価値が、他の多くのものの価値よりも、一番重視されている社会が資本主義社会だと思います。

実際にお金を通して、私たちは欲しいもののほとんど全てを手に入れることができます。  これはある面からみれば、とても魅力的なことだと思います。ただ、逆に言えば、ほとんどのものは、お金を通してしか手に入れられないという事実も見過ごせません。だからこそ、私たちは仕事をして、お金を稼いでいるのだと思います。

知識社会になる前の工業社会

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資本主義は、イギリスにおいて18世紀の産業革命によって成立したといわれています。産業革命とは、生産技術の発達に伴って、大量生産が可能になった一連の変化のことを指しています。そうした産業革命を経て、20世紀はいわゆる工業社会と呼ばれるようになりました。

工業社会においては、他社と差別化を生み出すために、生産設備や生産技術の向上が重要になります。なぜなら、他社と比べて、より多くのものをより効率的に生産することが競争力の源泉だったからです。そのため、20世紀には、今まで庶民には手の届かなかった商品が世の中にいきわたり、ものが溢れる時代となりました。

消費者にとっては、いろいろなものが購入しやすくなったというポジティブな側面がありますが、企業にとっては売ることが難しくなったと言うネガティブな側面があると思います。

なぜなら、ものがあふれている時代においては、差別化がとても難しいからです。皆さんも経験ありませんか。例えば、iPhoneのケースは、本当に玉石混交いろんなメーカーのものがあって、どれがどう違うかわからないと感じませんか。

そのため、わかりやすい指標の1つである価格で差別化を図ろうと各社努力するわけですが、グローバル化した経済では、生産コストを下げようと各社努力しますので、熾烈な価格競争が始まります。

また、ものがあふれていることによって、消費者にとってもものを購入する楽しみ、必要性が感じられるなくなってきていると思います。私自身も、購入する前に「これを買って、自分の人生は豊かになるのかな?」と問いかけるようにしていますが、大抵の場合YES!と言い切れず、ほとんどものを買わなくなりました。

工業社会から知識社会へ

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産業革命によって工業社会になったわけですが、ただものを作るだけでは企業が淘汰されるようになったことにより、今まで以上に差別化を図るための工夫(≒アイデア)が必要になりました。そして、その工夫(≒アイデア)を生み出す源泉が、「知識」にほかなりません。

だからこそ、この「知識」にたけている人は、企業から重宝されます。企業は、他社がまねできないような新しい技術を生み出せる人、これまで考えたこともなかったアイデアを生み出せる人を求めるようになっています。

また、だからこそ私たちは少しでも有名な大学を目指して勉強し、仕事をしてからも少しでもいい待遇が得られるように勉強します。

知識社会は残酷であり素晴らしい

知識社会では、簡単に言えば、いわゆる頭のいい人(テストの点がいいという意味ではないですよ)が得をする社会です。これはタブーとされているようですが(生まれてから人はみな平等という考えに反するからでしょう)、知能レベルは遺伝が60%で環境が40%といわれています。そのため、頭のいい親から生まれた子供は、頭がいいことで得をしますし、逆もしかりということです。(ピエール・ブルデューの再生産というキーワードを思い出しました)そういった意味では、学業に向かない気質や性格を持った人にとっては、とても生きづらい世の中になってしまいます。

実際に職場の年配の方が、

「昔は、仕事のハードルが低くて、だれでもそれなりに仕事ができて給料をもらえた。しかし、今は仕事のハードルが高くなって、本当に大変だと思う。」

と言っているのを聞いたときは、生涯学び続けなければ、脱落してしまう大変な時代なのだと思いました。

ただ、いい面もあると思います。それは、高度な知識や誰もが思いつかないアイデアなどがあれば、年齢や性別や人種にかかわらず、活躍できる社会になったことです。工業社会では、10代の子供が何千万円、何億円と稼ぐことは不可能に近かったと思います。(一部の特権階級だけだったでしょう)しかし、情報革命が起き、世界中の情報にアクセスできるようになった現代においては、若い人でもそうしたチャンスが大いにあります。

おわりに

いかがだったでしょうか。正直、私は頭がいいほうではありませんので(汗)、大変な世の中に生まれてしまったなと感じています。しかし、生まれてきた社会は選べないわけですから、その社会で楽しく人生を過ごすための方法を考えたほうが建設的です。

コップ半分をどうとらえるかのお話ではありませんが、40%ほどは自身の努力で知能レベルを高めることができます。そのため、現代は知識社会という前提に立てば、この40%を高める努力をし、少しでも価値ある人材になる(人的資本を増やす)ことが大切だと思います。

この記事が現代社会について考える、そしてその社会でどういう戦略をもって生きていくのか考えるきっかけになれば幸いです。

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