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チャチャの冒険

ある小さな街に、
3匹の子猫が生まれました。
しっかり者の白い毛のシロ
ひょうきんなグレーのグレゴ
泣き虫な茶トラのチャチャ…
3匹とも毎日じゃれあったり
追いかけっこしたり、
とても楽しく過ごしてました。

ある日の午後、お父さんとお母さんが
『あの赤い屋根の一番高い所に登り、
くわえた葉を置いて、戻って来なさい。
高いところに登って降りる練習ですよ!』
と言いました。
チビ3匹は、『頑張るぞー‼︎』と
声を張り上げました。

まずは、シロ。
いっぱい食べてパワーがあって、
運動神経抜群のシロは、
ヒョヒョイのヒョイとあっという間に
帰ってきました。

次は、グレゴ。
何度か途中の柱から落ちそうになりましたが、
なんとか屋根まで葉を置くことができました。
屋根から降りる時は慎重に、
ゆっくりと戻ってきました。

最後は、チャチャ
全然登れなくて、半べそかいていました。
みんなの応援もあり、塀に爪を引っ掛けながら、
みんなの倍以上かかりましたか
登れました。

しかし、降りるときになり、
屋根の下を見ると怖くなり
泣いてしまいました。
『みんな迎えに来てよ〜〜。』
とさらに大泣きするチャチャに、
兄弟や親まで、呆れ顔…
泣き疲れたチャチャは、
もう、屋根から降りることもできず
降りる勇気も体力もありません。

今夜は屋根に泊まることにしました。
屋根の隅で小さく小さく丸くなり、
静かに寝ていました。
そこへ、遠くから、トコトコトコ…
と物音が近づいてきました。
チャチャは、怖さのあまり震えました。
暗い中から、ひょっこりと眼をパチクリさせた
白い鳥さんが顔を出しました。
白鳥のアオさんです。
キョロキョロした目で見つめ、
隣に座りました。
嫌だったけど、怖いから
一夜を一緒に過ごしました。

次の朝…
チャチャは、アオさんに
『屋根から下ろしてよ!』って言いました。
アオは、
『そんな勇気のない猫の手助けなんてごめんさ。
僕と勇気の冒険の旅に出ようよ』
と言いました。
チャチャは、どーしようかな?と迷いましたが
他の2匹に負けたくない気持ちもあり、
旅に行くことを決めました。

アオとチャチャの冒険の始まりです。
アオが、『僕の背中に乗って』と
首でヒョイとチャチャを乗せました。
落ちそうになりながらも、
しっかりと身体を掴みました。
赤い屋根から、ゆっくりと
空へ空へと飛び立ちました。
『わぁ〜すご〜い、気持ちいい〜』
車もお家もだんだん小さくなり、
初めてみる景色に口が開いたまま
閉じませんでした。

そんなステキな景色を楽しんでる最中、
山鳥のヒロが意地悪をしてきました。
『ヘイ!弱虫くん、いつも空から見て、
君を笑ってたんだ。
メソメソして何もできなくてさ〜
そんなヤツは落ちてしまえ。』

何度も口ばしでつついてきました。

『僕、そんなに弱虫なんかじゃない。エイヤー。』
と手で押し退けました。

ヒロは、チャチャが攻撃をすると思ってなかったので
びっくりして、去って行きました。

チャチャは、
『僕、弱虫じゃないよね』とアオに聞きました。
アオは、
『そうさ、君は前とは違う。
旅に行く決意した時から、
勇気が沸々と湧いてきたのさ〜〜。』と

空を散歩しながらトンビの歌を聴いたり、
雲の中を潜ったり、
一日中楽しく過ごしました。

そして、赤い屋根に戻って来ました。
チャチャは、
『アオさん、ありがとう。
君に出会えて僕は変われたんだ。
どんな時も強い気持ちで…
勇気を持つことって、とても大事なんだね。』

アオは、
『そうさ、生きていくには勇気を出して
行かないとね!僕は、空を飛びながら、
勇気いっぱいの君を見てるから、
頑張って』
と最後の言葉を交わしました。

チャチャとアオは
別れ際にハグをしました。
チャチャは、その屋根からスルリと
降りていました。

家に着いたチャチャは、
冒険の話を誰にもしませんでした。
自分の心の中だけに…

お布団にはいり、
これから色々大変なこともあるけど、
勇気を持って生きていこうと胸に誓い、
眠りにつきました。

きっと、
夢の中で
また冒険の旅をしているのかもしれませんね。

おしまい

近所の野良猫の物語でした。
読んでくれてありがとう。

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