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リチャード・フライシャー【マンディンゴ】|醜さの悪魔的な美しさ

どうやら、私は、あなたが観るべき映画を観ていないようです。
これこそ、あなたが観れば、楽しくなって、元気が出ること間違いなし、と言えるようなものが、最近観ている映画の中にないのです。
今回の映画などは、それどころか….絶対に観てはいけないレベルのものだと感じています。

黒人を産み育てて販売する奴隷牧場の一家の栄光と没落を具体的な行動で描いた映画【マンディンゴ】

■ありふれた日常のようで何かが違う
アメリカ南部の黒人奴隷時代の日常は、当時は公然と行われていたのだろうが、今から見ると当然だけど、異様です。
日常的な風景の次の瞬間、不穏な空気に包まれて、想像を越える衝撃的な描写が展開していきます。

■映画職人の技
フライシャーは、さすが職人監督です。
映画をさらりと撮ってしまうことに関心します。
リアリズムもこけおどしも全部いい。
残酷なのに、どうして、こんなに美しいのだろうか。
残酷さが徹底しているからだろうか。
悪魔的に美しい、耽美な映像になっています。
それでいて、見続けるのが止まらないほどの娯楽映画になっています。

■監督の言葉どおり
「この映画をウェディングケーキのように美しくロマンチックに描きたかった。でも近寄ってよく見るとケーキは腐ってウジだらけなんだ」
と、監督のフライシャーは言ったらしいです。
本当にその通りで、美しいのにおぞましい、娯楽映画です。

Wikipedia【マンディンゴ】

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