おとなの夏休みに見たい、価値観揺さぶられる映画4つ
これまでの20代、めいっぱいベンチャーで過ごしてきました。
が、30歳での転職を機に、ただいま大量の有給消化で50日間の夏休みを取っています。(その様子は以下にもまとめています)
これまで会社に勤めているときは、目の前の定例報告・今期の課題対応・来期の仕込み・目の前の関係者や家族とのリレーション…とか、明日・来週をとにかく乗り切って良くしていくための毎日。
(とにかく目の前のコイン取って、クリボーを倒すって感じ)
だからこそこの時間には、足元のことだけでなく、もっと広い視野で、どのようにこれから30代を過ごしていくか考えています。
そして、いろんな映画も観てきましたが、中でも私が特に価値観を揺さぶられた映画4つをご紹介します。
『風の谷のナウシカ』で人と環境を考える
高度な産業文明を破壊させた「火の七日間」呼ばれる大戦争から1000年。人類は、巨大な虫や、毒の森・腐海に脅かされながら生きていた。辺境の小国「風の谷」の族長の娘ナウシカは、人間同士の争いに巻き込まれていく。
言わずもがな大名作のナウシカは、ナウシカの主題は「人間と環境問題」「ものごとの二面性」。
ただ10代の頃なんかは
「メーヴェのってみたーい!」
「幻想的で退廃的な世界観かっこいい!」
「青い服で金の草原歩いてる!」
っていう見た目や派手な部分しか共感できなかった。
でも経済の仕組み、組織の都合、自分が生きるためにやるべきことっていう、世の中の「大人の事情」ってやつを理解できるようになってから見ると、今まで着目してなかったところに目が行き出す。
「腐海は人間が汚した環境を浄化するために、毒を放っていて、本当は人間の尻拭いをしている」
「それなのにそのことを理解せず、自分たちの都合で、またその腐海も破壊しようとしている」
「初登場時のキツネリス・テトが噛み付いたように、相手を恐れて怯えるあまり、相手を攻撃する…」
10代までは「ふーん」ってあまり深く共感できなかった展開だったけど、これって今そこらじゅうに転がっている問題で、自分も分かっているはずなのに解像度が高く認知できていない。
自分も今まで、そしてこれからやっていくことは、自分都合で見ていたり、恐れのあまりに何かを悪者扱いをしていないだろうか…。
「自分はナウシカみたいに王蟲の前に立ちはだかれなくても、
ちょっといったん立ち止まって、一方的でないか見直してみよう」
と、改めて思えます。
ちなみにいま!
「一生に一度は、映画館でジブリを」で、全国TOHOシネマで観れるチャンスです。金ローだとCM挟んだりSNS観ながらの鑑賞になりがちだけど、映画館で一気に没入して見るのは格別!
(私は爆泣きしてしまいました…)
ぜひ夏の期間に劇場で観てみてほしいです。
『マイ・インターン』で年代の分断を考える
(Netflix配信中:マイ・インターン)
ニューヨークでファッション通販サイトを運営している女社長のジュールズは、短期間で会社を拡大させることに成功し公私ともに順調な毎日を送っていた。
そんな彼女の会社にシニア・インターン制度で採用された70歳の老人ベンがやってくる。若者ばかりの社内で当然浮いた存在になってしまうベンだったが、いつしか彼はその誠実で穏やかな人柄によって社内の人気者になっていくのだった。
イケイケのアパレル若手女社長が奮闘するも、自分のスキル不足のために、仲間の経営者から「CEOを他所から迎えよう」という進言を受ける…自分が創業した会社なのに…そして夫婦仲のバランスも崩れて…
…というリアルにありそうなベンチャーの話。
そこに仕事の酸いも甘いも知った、70歳シニアインターン・ベンがヒントを与えていくというストーリーです。
30代の働く世代だと、70代のシニアから親身に仕事や生活のアドバイスを受ける機会なんてほとんどないんじゃないだろうか。
自分のできることを丁寧に行ったり、人への観察やコミュニケーションを大事にするベン。
いまの効率重視のデジタルの世界では、一見面倒臭いやり方かもしれないけど結局は私たちも「人」。
効率や正誤ももちろん大事だけど、感情や誠意はちゃんと思い出させられます。
今どうしても若者・シニアというカテゴライズをすると、ネガティブなイメージや対立がドラマでも描かれたりするけど、やっぱお互いを補い合えるように歩み寄りたいな、と思えます。
リアルでこういった経験が得られないとしても、この映画で疑似体験をしても良いかもしれません。
『13TH〜憲法修正第13条〜』で、情報の得方を考える
(Netflix配信中)
『13th -憲法修正第13条-』は、エイヴァ・デュヴァーネイ監督による2016年のアメリカ合衆国のドキュメンタリー映画である。人種差別、法と政治、そして大量投獄の関係性に踏み込んだ作品である。タイトルの13thは合衆国憲法修正第13条を意味する。
日本でも毎日SNSやニュースで目にする「Black Lives Matter」運動。
ただこの黒人差別問題の歴史や原因って全然私たち知らなくて、「アフリカから奴隷として連れて来られたけど、今は法律上平等になった」程度の教科書の知識じゃないだろうか。
これはアメリカで制作された、差別の歴史を解説したドキュメンタリー映画です。なぜ今も差別が続いていて存在しているのかが詳しく説明されています。
大きくまとめると以下の流れですが、これは知らなければ発想すらできないことだった。。。
(詳細はぜひ本編でも見てほしいです)
元々メディアによって「黒人は凶暴な犯罪者」というイメージがつけられた
↓
法律上は黒人も平等になったが「犯罪者は除く」という条件が、黒人を受刑者にさせることに繋がってしまった
↓
黒人が好んで使う麻薬が不当に重刑になり大量投獄につながった
↓
受刑者が増えると企業が利益をあげる産業システムができている
アメリカ本国で制作された、アメリカ目線の内容なので、どういう温度感と認識なのかを、より具体的に感じることができます。
(これまでの私は「昔の奴隷がムカつく」「白人が最高」っていう選民意識による、まるでクラスのいじめのような問題だと思っていました…全く理解が浅かったです)
何かを正しく理解するためには、第三者の視点(日本制作)だけでなく、当人の目線(アメリカ制作)のものも見るべきだと思います。
『エンドレス・ポエトリー』で、自由を考える
(Amazon Prime配信中)
『エンドレス・ポエトリー』はアレハンドロ・ホドロフスキー監督による、2016年のフランス・チリ合作の自叙伝映画。
まだ若いアレハンドロは自分に自信が持てず、息子を支配しようとする両親との関係に苦悩しながら進むべき道を模索していた。ある日、アレハンドロは従兄リカルドの案内で芸術家姉妹の家を訪問し、さまざまな芸術家たちと接する。
詩人の主人公(監督自身)の半生をファンタジックな映像と演出で表現した映画です。
今までは社会・環境問題でしたが、これは監督自身でもある詩人が、親との確執や恋に悩みながら、表現って何のためにするんだっけ?ともがくストーリー。
そして何よりも、鮮やかな色彩と迫力ある造形!
この独特の映像美に、純粋に酔って楽しめる映画です。
物が動く際は黒子が渡してあげたり、突然スカルが街中にいるなど、演劇のようなコミカルな動きも。
映画というよりも、「動くアート」て感じかも。
そして、「エンドレス・ポエトリー」というタイトルの通り、人生は自分の詩を読み続けるようなもの…そして「やっぱり表現は自由だ」ってふと思い出させられます。
細かいストーリーは端折りますが、ファンタジックな叙情詩として迫力・見応えのある内容なので、これもぜひゆっくり見てみてほしいです。
(写真出典:「エンドレス・ポエトリー」公式サイト)
共通するのは「いま目の前のことだけが、全てじゃない」
4つ全部に共通するのが、当たり前のことだと思っていたことは見方の一つでしかなくて、それ以外の考えや方法があるということ。
これこそ、休みの期間にふと息を抜いて感じて良かったなと思うことで、これらの映画を見ながら、じっくり考えられたなと思います。
やっぱりどうしても普段ビジネス成果や人間関係に集中していると、視野が一点集中になりがちで、
「悩んでるけど、そもそもこの選択肢だけなんだっけ?」
「一体私はどうしたいんだっけ?」
と、本当にこれでよかったのか分からなくなっちゃいます。
むしろそうなってしまってることにすら、気付いてないかもしません。
そんな状態になったり、夏休みを迎えた際は、ぜひこれらの映画を見てみてください。
※ちなみに年始に「泣ける映画」の別記事もあるので、よければぜひ。
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