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茶道、外国人、一期一会

中国、ベトナム、カンボジアの3か国から研修団が職場にいらしたので、おもてなしイベントとして、茶道体験をしてもらいました。私も着物を着て張り切ってお出迎え。

カーペットの部屋に高床の収納ユニット(表面が畳)を6つ置いて6畳っぽい空間を作り、その周りに椅子を並べるという方式。最初に来られた中国のグループは「畳にお座りください」と促してもなかなか上がろうとせず、3人くらい上がったものの、「どうやって座ったらいいですか」というのでビックリ。中国では「床に座る」という文化がないのですね(地方にもよるのかもしれませんが)。正座のやり方を見せたのですが、いったん座ってみて、次の瞬間に「無理無理無理ーーー」と叫んでいました(言葉はわからないけど、多分間違っていない)。あぐらというのもする習慣がないようで、男性職員が「こうやって座る」と手本を見せたものの、とても苦戦していましたねえ(しかもすぐに足がしびれるようで、10分後には阿鼻叫喚の嵐)。

私がお点前を披露するのと並行して、「茶道というものは・・・」という説明を若手にしてもらったところ、これが大好評。歴史的に見たらお茶は中国から(遣唐使の時代に)日本にやってきて、茶道という形で日本で花開いたわけです。中国人側から見るとそこが感慨深いようで、「中国とのつながりを感じてとても嬉しかった」と言われました。

ベトナムやカンボジアの女の子たちはみんなきちっと正座していて、これもこれでビックリ。お抹茶というものにほぼご縁がないそうなのに、みんな口をそろえて「美味しい美味しい」と言っていたので、お口にあったみたいで嬉しかったですね(気を使ってくれたのかもしれませんが・・・)。終わった後に「一緒に写真撮って撮って」とめちゃくちゃたくさんの人とツーショット写真を撮ったので、多分ベトナム語のSNSで私の着物姿が拡散されているのでしょう(笑)。

一期一会、という言葉がありますよね。この場所で、この人たちと、こういう機会を共にできることは一生のうちにもう二度とない。お茶の世界では一期一会の大事さを常に言われますし、頭ではわかっているつもりだったのですよ。でも、今日お茶を点てているときに、ああ、私はこの人たちとはもう二度と会えないのだろうな、と突然ふと頭をよぎったら、急にこの時間が愛おしくなったのです。茶筅を振りながら、どうかどうか、みんながこの時間を楽しんでくれますように、という気持ちになりました。

最後に全員で集まって、それぞれの国の代表がスピーチをしてくれたのですが、「特に茶道体験が心に残った」といってくれた人がいて、グッと来てしまいました。今回は私以外にもたくさんのスタッフが手伝ってくれて、みんなで気持ちを合わせて「おもてなし」が出来た気がしたのです。それが伝わったんだなあと思うと、大変だったけど頑張ってよかった!!