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おわら風の盆を撮るときに考えていること

「不確かなことが多い」

僕が祭りを撮っているときによく感じることです。祭りを撮り始めた頃に、「たまたま上手く撮れた」というときが何度かありました。僕の写真を見て褒めてくださる方もいたのですが、僕はそれを本当の実力だと思っていませんでした。撮り続けている内に、いつしか僕は「たまたま」に不安しか感じなくなっていきました。

「不確かなこと」をどのようにして少しでも「確かなこと」に近づけられるか。祭りについての情報量、カメラの設定や使用レンズ、どこから撮るかという撮影位置(ポジショニング)などいくつかヒントはあるのですが、それでも実際にシャッターを切るのは自分であって、やはり感性や狙いがとても重要になります。


そこで『おわら風の盆』。

おわら風の盆(以下、風の盆)は、富山県富山市の八尾地区で毎年9月1日から3日に行われる、北陸を代表する祭りです。前夜祭(8月20日〜)を含めると約2週間続き、祭りを撮り続けているフォトグラファーとしては頭の中は、この時期「おわら一色」になります。

僕にとって風の盆は、自分の現在地を確かめる機会だと考えています。時期的に長く続いた夏祭りシーズンのクライマックスということや、「越中おわら節」という歌(民謡)に合わせて踊るので被写体の動きが比較的読みやすいことから、頭の中のイメージや撮るときの感覚をどのように表現できるか、自身で測りやすいと思っているからです。

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今回のnoteでは、風の盆を撮るときに僕が意識していること、気をつけていることについてまとめたいと思います。これは風の盆に限らず、夜のお祭りを撮影する際にも少し参考できることだと思うので、ご興味ある方は見ていただけると嬉しいです。

(※これまでの祭りの撮影ノウハウをまとめた記事でもありますので、2020/09/01以降は有料noteとする予定です。ご了承ください。)


1. 祭りを知ること

まずはその祭りが一体どのようなものか知ることは重要です。ここでは歴史的なことや由来まで深く勉強した方が良いとは言いませんが、祭りの特徴(ポイント)、祭りの流れ(ハイライト)、踊り子と撮影位置との距離感などは事前に把握しておくと良いと思います。それは、どこに着目して、どの時間帯に集中して、どのような機材を使用すれば良いか対策をとることができるからです。

また、風の盆のついてお話するとき、キーワードとして "艶やか"、"しなやか"、"優雅"、"哀愁"、"躍動(男踊り)" などが挙げられます。後述しますが、これらは撮影する上での重要なヒントとなります。YouTubeや写真などを見て、事前にイメージをもっていくことは撮影時にも役立つと思います。

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2. 撮影前の注意点

「1. 祭りを知ること」に加えて、撮影時のルールを事前に確認しておくと良いです。

風の盆では公式パンフレットなどに「フラッシュ撮影は自粛をお願いします」という文言が記載されています。ストロボを使用した撮影や、近年ではスマホやタブレットでフラッシュを使用されている観光客の方を散見します。お祭りの雰囲気や踊り子さんを守るためでもあるので、使用はお控えください。

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