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留学・心理的サバイバル術(3)英語力の問題はこれで解決

この記事は
留学・心理的サバイバル術(1)日本人留学生を取り巻く「神話」
留学・心理的サバイバル術(2)教室で発言できないのは万国共通
の続きです。

「教室で外国語で話せないのは万国共通説」を主張する私ではありますが、「だから話さなくていい」と思っているわけではありません。話せるなら話したがほうが、いろいろらくだし、楽しいですもん。

らくだという理由の1つは、それを講師が求めるから。講師に「がんばってるな」と認めてもらったほうが、学校では何かとらくですよね。それに、授業中の発言(class participation)を成績に組み入れる講師は多いので、その点でもらく。ただね、私思うんです。どうしてこんなものを成績に組み入れるのだろうって。だって、学生が全員自発的にガンガン発言するなら、成績に入れなくてもいいでしょ。逆説的に言えば、成績に入れるぞ!って脅かさなければネイティブ学生たちだって、そうそう発言しないってことなんじゃない?・・実はこれに関する研究もあるのですが、とりあえずは話を元に戻しますね。そうそう、話せるなら、話したほうがらくってこと。

もう1つ、外国語を話せると楽しい、ってのは、皆さん、多少の経験があるのではないでしょうか。たとえば旅先で現地の言葉をおそるおそる使ってみる。外国語でジョークを言ってみる。それがちゃんと通じたときの快感と言ったら!そんな経験を忘れられなくて、外国語を学んでいる方もいらっしゃると思います。

ということで、らくたのしくなるために、私たちは教室で多少なりとも話すことにいたしましょう。

そのために必要なのは、まずは現状分析です。なんで自分は教室で思うように発言していないのか、客観的に分析してみましょう。参考までに、私が以前の投稿で書いた「理由」を列記します。どの理由に、どの程度、自分が該当するのか考えてみてくださいね。

(該当しない)⇒(少し該当する)⇒(かなり該当する)⇒(100%該当する)の4段階評価です。

A.「そもそも講師が言っていることが正確に聞き取れていないので答えようがない(⇒リスニングスキルの問題)」

B.「英語で発話することに慣れていないので、発声・発音に自信がない(⇒ スピーキングスキルの問題)」

C.「言いたいことを瞬間的に英作文することができない(⇒語彙・文法力の問題)」

D.「大人数の前で自分の意見を言ったり、先生に質問することなど、日本語でもやったことがほとんどない(⇒教室内コミュニケーションの問題)」

E.「ネイティブ講師が期待している質問や意見がどんなものか、想像ができない(⇒異文化コミュニケーションの問題

F.「帰国子女など、英語が上手なクラスメートの前でみっともないところを見せたくない(⇒教室内レベル格差の問題)」

G.「講師の態度や教室内の雰囲気などが友好的ではないので、挑戦することが怖い(⇒心理的安全性の問題)」

他にも、自分自身にあてはまる理由を思いついたら、同様に4段階評価してみてください。

そしてその中で、レベル(かなり該当する)と レベル(100%該当する)にあてはまる項目から、まずは解決していきましょう。

【A~C の要因=英語力の問題が大きい場合】

分析の結果、どうやら「リスニング、語彙、文法、発音」などのスキルがそもそも不十分だと分かった方、そりゃ、話せなくて当然。足りないスキルを強化すれば、きっと今より話しやすくなるはずです。

・・ただ、ちょっと待って。もし「完璧なスキルを習得した完璧な自分」をイメージして、それにはまだまだ至らないから、と話すのを躊躇しているとしたら、それはまずいです。そんな「完璧なスキルを習得した自分」とは、おそらく一生出会えないからです。私自身、まだ出会ってないですもん。

外国語を(で)学ぶ場というのは、不完全で未熟なスキルを披露することが常に求められるところです。そしてこれは心理的に相当きつい場所です(⇒以前の投稿)。この過酷な場所でらくたのしく生きるには、それなりの工夫が必要です。

そう、工夫です。精神論なんかではなく、めっちゃ具体的なサバイバル術です。私がお勧めする戦術のうち、今日はまず3つをご紹介します:

リスニングスキルの問題を抱えているなら

耳で聞くよりも目で文字で見たほうが理解しやすい方、私もそうでした。いや、今でもそうです。おそらく「視覚優位」という脳の特性も関係しているのでしょう。

そんな方は、早い段階で講師にこう伝えましょう:「私はリスニングがまだ弱くて、先生の質問が聞き取れないことがあります。なので、できれば大事な質問だけでもホワイドボードに書いてくださいませんか?そのほうが理解しやすいので、お願いします」。口頭で言うのが不安なら、メールや手紙で伝えてもOK。熱心で有能な講師なら、きっとリクエストに応じてくれます。

スピーキングスキル(発音、発声)の問題を抱えているなら

勇気を出して発言したのに、講師やクラスメートがそれを理解できずに「え、なに、今、何て言うたん?」と、いぶかしげに見てくる・・って、私も何度も経験ありますが、ほんとにきついです。地獄です。ただ、安心してください、生還できますよ!

たいていの学習者が自信を持てないのは発音。なので、自分の発音が間違っているせいで通じないのではと不安になり、不安なので声が小さくなる。小さくなると余計に聞き取りにくくなって、講師はさらに眉根を寄せて、いろいろ質問してくる。講師は決して怒っているのではなく、せっかく話してくれたのにそれが理解できないことに罪悪感を感じているので、必死になって理解しようとするんですが、その必死さが逆に怖いんですよね。

この地獄を避けるためには、言葉が通じないとき、すかさず文字(スペル)を書いて見せましょう。ノートでも、ホワイトボードでも。スペルに不安があるときは、スマホで単語を調べて見せてもOK。講師はあなたが言わんとすることを理解してくれて、そしてその場で正しい発音を教えてくれるはず。私は昔、カナダ(Canada)を間違えて発音したことがあります。ケェナーダ、と「ナー」に強勢を置いてカッコつけて発音したのですが(笑)、正しくはケェァナダ なんですよね。強勢の位置が違うだけで全く通じなくて、そのときはちょっと恥ずかしかったけど、ケェァナダの発音は、40年近く経っても忘れないくらい強烈な記憶として残っています。お得でしょ!

語彙・文法力の問題を抱えているなら

言いたいことを英語にするには、「英語でそれを何というか=語彙力」と「言葉をどう組み立てるか=文法力」が必要なので、これらが不十分なら、そりゃ即興で話すのは辛い。

でもね、あきらめなくていいんです。即興ぽいけど、即興じゃない、そんなセリフをあらかじめ用意すりゃいいんです。たとえば、語学教室の先生なら、週明けの授業でたいていこう聞いてきます。

How was your weekend?(週末どうだった?)

こういう教室でのルーティンがわかっていれば、事前にしっかり英作文をして、それを覚えていけばいいんです。そしてできれば、質問されたら一番に手を挙げて堂々と答えましょう:

It was great! I went shopping with my friends and bought a very nice summer dress. I can't wait to wear it during my vacation trip.
(楽しかったです。友達と買い物に行って、夏用のワンピースを買ったんです。旅行のときに着るのが待ちきれません。)

この準備⇒披露を繰り返していると、自信もつきますし、英作文するために必要な文法や語彙力も徐々に鍛えられて、いずれ即興で話せる力が身に付きます。

ちなみに英作文は、

まずは自分の力で書いてみる
自動翻訳サイト(DeepLなど)を使って添削する
添削後の英文を音声で確認して反復音読する(Wordの読み上げ機能でも、「音読さん」などのサービスを利用してもよし)

というステップがお勧め。

以上が、私がお勧めするサバイバル戦術、最初の3つ。

続きの戦術は次回に

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