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小・中#3-1: How do you keep in touch with your friends? 友だちとどのように連絡をとりますか?(前)

Small Talkってどうしたらいいの?
児童生徒の発話を引き出す問いかけって?
ここでは、今日の授業ですぐに使える実践例を毎週トピックとともにご紹介します。

“Hands-on Small Talk” シリーズも3週目。こちらの「小学校高学年~中学校向け」に加えて、「中学校3年生~高校1年生向け」の2本立てでお届けしています。実はこのシリーズ、対象児童生徒の学年が違っても、同じトピックで Small Talk を展開することを目指しています。今回のトピックは「友だちに連絡をとる方法」です。このトピックでの展開例を考えながら、あることを改めて認識することになりました。

それは、Small Talk を意味ある言語活動とするためには、トピックが児童生徒にとって身近であるかどうかが大きく影響するということです。すなわち、児童生徒にトピックに関わる既有知識(スキーマ)や実際の経験がある場合は、先生が英語で伝えようとする内容を推測して理解できることもありますが、そうでない場合は意味理解が非常に困難です。同様に、児童生徒に気持ちや考えを英語で表現させるためにも、そのトピックについて具体的なイメージをもてるかどうかが大切なのです。小学校高学年から中学校はじめの児童生徒が日常的に、何らかの方法で友だちと学校外で連絡を取り合っていなければ、このトピックでの Small Talk の展開も難しそうです。それをうまく乗り越えられるように考えてみましたが、どちらかと言えば、今回の対象学年はいつもより上となっています。

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さて、改めて今回のトピックは「友だちに連絡をとる方法」です。手紙や電話など身近なコミュニケーションツールについて、友だちとどのように連絡を取り合っているか、どの方法を好んで用いるかについて児童生徒から引き出してみたいと思います。ただ上述のように、最近の小・中学生が友だちに手紙(letters)や葉書(postcards)を書く機会がどれだけあるかによって、この Small Talk の盛り上がりも変わります。「手紙を書く」経験が乏しい児童生徒がいた場合に、「なぜ手紙を書かないのか」と尋ねても、「もともと書かないから」「なぜ『もともと書かない』の?」「さぁ・・・」というやり取りで終わっては残念です。何か思考のきっかけとなる工夫を取り入れたいものです。

【トピックを提示する】

Small Talk のはじめには、「今日は何の日」などを参考に、「そのトピックを取りあげる理由がある」状況を作り上げるようにします。今回は「4月20日の郵政記念日」に関連して「手紙(letters)」について先生が児童生徒に語る場面から始めます。小学校ではまだ難しい表現が多いので、絵カードを用いたり、日本語を適度に組み入れたりしながら進めてもよいでしょう。

T: Do you know what day is April 20th?  It cannot be imagined from the numbers 4, 2, and 0, like “Good Teeth Day,” April 18th, … 4, 1, 8, よ, い, 歯.  It’s 郵政記念日.  On the 20th of April, 1871, the postal system was established in Japan.  How many years ago?  Before that, the letters were delivered through the "hikyaku" system.  In other words, the express messenger system. (「飛脚」のイラストを見せる) Do you know “hikyaku”?
〈ここで、社会科などで学んだ知識に基づき、日本語で「郵政制度」と「飛脚制度」について話し合いをしてもよい〉

T: By the way, do you write letters to your friends?  I like both writing and receiving letters.  When I receive a letter, I feel very happy because I know the sender was thinking of me.  On the other hand, when I’m writing a letter, I’m very excited to think about the person I’m writing to.

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【展開例1】

中学校高学年や高等学校段階になると、「手紙を書くことの良さはどういうところにあるか」という問いに対して、思考力を働かせながら自分の意見を英語で表すことができるようになります。その際、手紙の良さについて、電話など何か別のものと比較しながら際立たせるという論理的な工夫も見られます。しかし小学校や中学校のはじめでは、慣れ親しんでいる英語表現も限られていることから、なかなかこのような「大きな問い」を一気に投げかけることができません。

以下の例では、「友だちに手紙を書くかどうか」をまず一人一人に尋ね(①)、「もし手紙を書かないなら、他にどのような方法で友だちと連絡をとるか」という問いで、他の手段を引き出します(②)。そして複数の例が集まったら、「そのうちどの方法が好きか」を理由とともに答えるよう促していく流れとなっています(③④)。

T: Do you write letters to your friends? ①
S1: Yes.
T: You do.  How often do you write letters to your friends a month?
S1: One … two … three?
T: Three times.  So you enjoy writing letters, don’t you?  Thank you, S1.

T: Hi, S2.  Do you write letters to your friends?

S2: No.
T: I see.  Then, how do you keep in touch with your friends? ②
S2: Telephone.
T: You make a phone call to your friends?  Yes, that’s another way to get in touch with your friends.  Well done, S2.

T: So, everyone, “I like talking with my friends on the phone,” or “I like writing letters to my friends.”  Which do you like better?  Raise your hand. ③
T: Oh, S3, you prefer talking with your friends on the phone.  Tell me why? ④
S3: I can talk directly with my friends.
T: I see.  It’s nice to talk to someone personally.  We can talk about a lot of things.  Anything else?
S3: Convenient.  I can call my friends whenever I want to.
T: Hi, S2, you like writing letters to your friends.  Why?
S4: Because I’m glad when I receive a letter. Also, I want my friends to keep the letter.
T: Keep the letter?  …  What is good about it?
S4: She / He [My friend] can read the letter many times.

上の例では、単に「好きな方法」を答えるだけでなく、「どういうところが良いから好んでその方法を用いるのか」を児童生徒に表現させるために、何か比較対象を提示し、それらの違いから利点を引き出しやすくする仕掛けが組み込まれています。英語で「やり取り」を行うとは言っても、言語の違いもあり、母語で思考できる深さまでは及ばない児童生徒がいるかもしれません。だからこそ、スモールステップの支援で、思考の流れを導いていく段階も必要です。

次回は提示されたトピック「友だちに連絡をとる方法」について、さらに他の方法もまじえながら、児童生徒とどのようなやり取りができるかについて考えていきたいと思います。