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小・中 # 1-2: Spring has come! 春が来たよ!(後)

Small Talkってどうしたらいいの?
児童生徒の発話を引き出す問いかけって?
ここでは、今日の授業ですぐに使える実践例を毎週トピックとともにご紹介します。
小学校5、6年生から中学校はじめまでに学習する表現を使った児童(生徒)とのやり取りの例です。

前回は季節の「spring(春)」をトピックに、まず最初に指導者が「児童に使わせたい表現」を用いて自分のことを語ってから、S1、S2、S3の3人の児童に順番に問いかけをして対話を展開しました。

今回はそれに続けてさらにS4, S5, S6に問い掛けていきます。どのように対話を発展できるでしょうか。

繰り返しになりますが、大切なのは、単に「季節について話す」のではなく、「in spring(春だからこそ)」という視点を維持することです。
児童が「春について」自分の考えや気持ちを伝え合えることを目指しましょう。これが「指導者と児童の対話」に続けて行われる、「児童同士の対話」活動でも意識されるようにしたいものです。

【展開例4】「春が好きか」〜その理由〜「春に何をするのが好きか」〜冬との比較のパターンで対話を発展させる

S4の「春にはサッカーをする」という答えから、「冬にもするのか」と尋ね、春と冬を比較させます。
つまり「トピックについて、何か他のものと比べながら考えて話す」ことを目指します。

S4の発話は単語レベルのものや日本語を入れてしまったものがあるため、その都度指導者は、S4から引き出した情報を整理して文の形にまとめ、その児童とクラス全体に聞かせます。

T: Hi, S4, how are you?
S4: I’m fine.
T: Good. Do you like spring?
S4: Yes.
T: Can you tell me why?. [Why?]
S4: No cold.
T: It’s cold in winter, but it’s not cold in spring. What do you enjoy in spring?
S4: ... Soccer.
T: You enjoy playing soccer in spring. Do you play soccer in winter?
S4: No … every day.
T: You don’t play soccer every day in winter? Why?
S4: Cold … 過ぎ
T: I understand. You don’t play soccer in winter because it’s too [very] cold outside. Thank you, S4.

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【展開例5】S5が「春が好き」であることを確認し、「春に何をすることができるか」という問いにつなぐ

これまでlike / don’t likeで「好き嫌い」について話してきたことに加え、別の既習表現である「I can ~.(~することができる)」を用いさせることを意図しています。

難しい英語の単語などをすぐに児童生徒が使えない場合には、ジェスチャーなどを使って意味理解を促し、既習表現に組み込んで何度も聞かせます。
最後に、初めの問いに対する答えと引き出した情報をまとめて文の形で聞かせます。

T: Hi, S5. Do you like spring?
S5: Yes.
T: Good. S4 said he enjoys playing soccer in spring because it’s warm. What can we do in spring? Any ideas?
S5: We can enjoy “takenoko-gari” in spring.
T: Yeah, that’s right. We can enjoy bamboo shoot picking in spring. Do you like bamboo shoot picking?
S5: ….
T: Bamboo shoot(イラストを板書/絵カード提示)picking(ジェスチャー).
S5: タケノコ狩り!I like ....
T: So, you like bamboo shoots picking? Me, too. Do you like bamboo shoots?
S5: Bamboo shoots? … Yes. Delicious.
T: Nice. So we can enjoy bamboo shoot picking and strawberry picking in spring. Great! Thank you, S5.

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【展開例6】「in spring(春に)」という条件を落として答えている児童への対応

これまで話題に上ったものについて、S6に「それらが好きかどうか」を、同じ“Do you like ~? ”の疑問文を用いて繰り返しながら尋ねていきます。

次に、このS6自身が「春に好きな食べ物」を聞き出すために“What food ... in spring? ”というオープンな問いかけをしてみました。
しかし一般的な回答が返ってきたので、「in spring(春に)」を思い出せるように支援しています。

T: Hello, S6. Do you like strawberries?
S6: Yes.
T: You like strawberries. Me, too. What about bamboo shoots? Do you like bamboo shoots?
S6: No.
T: You don’t like bamboo shoots. Then, what food do you like in spring?
S6: I like curry and rice.
T: Well, but we eat curry and rice in summer, autumn, and winter [… throughout the year]. You like [eating] curry and rice ‘in spring’? Why?
S6: Oh, … I like “kusa-mochi.”
T: Oh, I see. I like it too.

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このように、既習表現や新出表現を使って、児童生徒が自分の考えや気持ちを伝え合うことができるような問いかけをしながら話題を広げていきましょう。

これらの例に示した対話の展開が、実際の授業内で同じように起こるわけではありません。Small Talkで児童との対話を発展させるためには、トピックに関連して児童が「既に習得している表現」や「習得を目指す表現」を指導者自身が意識して、それらをバランス良く児童から引き出すように問いかけを工夫していくことが大切です。