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高校生が読んでおきたい教養書:久松達央「農業はもっと減っていい」

小さい農業の経営戦略

ここでいう小さい農業とは家庭菜園ではなくあくまで農家としての小ささである。だから家庭菜園で副業に営もうと思う人とは規模が違うので覚悟して読むべきである。それでも家庭菜園に取り組むものが、営農一歩手前まで考えを進めるにあたって、考え方などは十分参考になるので一読の価値あり。
また農学部や経済学部、経営学部を志望する高校生も読んでおくと良い。


農家は大規模化路線

他の業種と同じように農機具や機械の導入を考えると、小規模農家は割に合わない。農業放棄地を大規模農家が買取りスケールメリットを享受していくと筆者は語る。さらにはサラリーマン農家として従業員、サラリーマンとして農家に就業していく人々も増えるだろうとする。さながら歴史の教科書に出てくる小作農だが、個人経営店がフランチャイズ展開しているコンビニに鞍替えしていくのと同じように農業界は大規模路線になっていくとする。

大規模農家の売り方と小規模農家の売り方

昨今、農家としての生き残りは厳しく、農業従事者が減っていく中で大規模農業化していくのが主流である。
一方で小さい農業はニッチの領域を極めつつスキマ産業的に生き残るべく二極化していく。
淘汰されるのは中途半端でぼんやりした農業なんだろうと感じる。そのほとんどが兼業農家なのだろうから、半農半Xブームは農業一本で収益化できずに兼業するのではなく、農業と何かのシナジーを狙った価値の創出を意味している。ブランディングといってもいいし、他の農家との差異化と言ってもいい。

D to Cの売り方

小規模農家はJAに作物を卸す以外の販売ルートも考えた方が良い。JAは秀品でないと買い取ってくれないこともある。また市場流通の行程で採れたての野菜が消費者に届くのは難しい。小規模農家はこういったシステム上、達成できていない野菜の価値の販売などに目をつけて販売ルートを確立するべきである。

・直売所
自分の畑の片隅に直売所を作って売る。もしくは近隣の直売所と契約して委託販売をする。委託販売とは販売スペースを契約して、野菜を代わりに打ってもらうのである。

・オンラインショップ
SNSなどを駆使して販売促進を行い自身のHPで買ってもらう。もしくはメルカリや楽天などのECサイトでの販売も可能。JA経由の販売と違って値段を自分で決められる。独自のブランド化や消費者のファン化(リピート購入)も見込める。市場規模も拡大しつつある。農作物を育てるストーリーなどを通じて販売促進が大切です。

・野菜のサブスク販売
自分の畑が何品目育てているなどを強みに野菜のサブスク販売も可能です。契約者数で収入の安定にもつながります。

・畑のオーナーシップ制
シャインマスカットやマンゴーなどでよく行われていますが、特定の果樹や畑の面積に対して事前にお金を払ってもらい、そのお金を使って野菜の育成に取り組み、作物はオーナーに送る。もし天候によって不作の際の返金や最低収穫量保証などをしておくと良い。

この本に書いてあったことを通じて私が考えたことも雑書きしてみました。


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