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6ヶ月間で約1,000人と出会い、辿り着いた「面接のカタチ」――感覚的ではない、明確な「採用基準」とは?

はじめに

気づけば、ROXXで人事を担当し始めて、6ヶ月が経ちました。
この6ヶ月間、親友の死、ロシアのウクライナ侵攻、電力不足、安倍元総理の事件など、本当になんとも消化しづらい状況が続いた半年間でした。
さまざまに入り交ざった想いを胸にそれでも前を向いたほうが前だと信じてやり続けてきました。

短い時間ではありますが、とても濃い時間を過ごすことができたのは、取引先様、株主様、周囲の友人をはじめ、日々頑張ってくれているメンバーの皆に支えられてきたからだと改めて実感しています。
本当にありがとうございます!そして、引き続きよろしくお願いいたします。

本日は、先日ROXXよりもはるかに大きな会社様(100倍ぐらい)に「採用やオンボーディングをどうやっているのですか?」を恐縮ながらお伝えする場があり、「人事に携わっている方」「スタートアップ企業で採用に携わっている方」「カルチャーマッチ採用を成功したい人事の方」「back checkを活用されている方」など、何かしら自分と同じような悩みを抱えている方々にもちょっとでもお役立ちできないかと思い、思い立ってnoteを書いている次第です。

ROXXでは、毎月新しい仲間に入社していただき、一緒に事業や組織を創っていくご縁をいただいていることに感謝している毎日です。

その一方で、事業のさらなる成長にはまだまだ人が足りておらず、採用しないと一人あたりの負担が大きいままなので、仲間を集めることは経営上も重要な課題として位置付けています。まだまだROXXも組織づくりには大きな課題もあると自覚しつつ、一緒に乗り越えてくれる仲間を本気で探しています。

失敗も成功もあった半年間ですが、その試行錯誤にお付き合いいただけると幸いです。

なぜ採用基準にこだわるのか

極めてシンプルにいうと、採用においてROXXでは「入社後に活躍し、ハッピーに働けるか」を何よりも重視しています。つまり、カルチャーマッチです。そのため、採用を強化するに当たって、組織の器のカタチを正しく測定する(メジャーな状態にする)ことからスタートしました。

採用全般そうかもしれませんが、環境が変わったらどうかな?何よりもこの人にとってハッピーなのかな?というカルチャーマッチは、採用媒体、エージェント様等ご紹介経路問わず、非常に感覚的なものでもあるので、各部門、そしてチームごとにできる限り、どういう組織なのかを言語化しておくことが重要です。

ROXXでは、現状の組織文化やカルチャーを言語化した「Tuning(チューニング、以下略)」を各部門やチームごとにブレイクダウンして、部門やチームごとのカルチャーを可視化しています。こうした感覚的なものを定量的にメジャーなものにし、採用からオンボーディング、そして組織開発や人材開発にまで活用できるようにしています。

参考:ROXX全体のTuningを集計した「ROXX Tuning Report」、これを部門、チーム、役割(セールス、カスタマーサクセス等)ごとにまとめています。

つまり、ROXXで、その部門やチームで活躍している人材はどういう人なのか。ROXXの成長の源にあるのが、 Value(バリュー、以下略)、行動規範ですが、それらの行動をより動詞レベルで具体的にわかりやすく表し、大事にしてきた、そして大事にしていきたいDNAでもある「Tuning」を活用した仕組みを創りました。

もちろん入社していただくすべての仲間に活躍していただきたい!という想いは、私個人としても強く信念として持っているので、このTuningとback checkのレポートを元に、新しく仲間になっていただく方のフォローアップ体制について、その方が入社される前の月末に、お一人ずつ配属先のチームマネージャーと人事で集まって、おひとりずつに合ったサポート体制をディスカッションして決めたりしています。

ちなみに、Tuningは、3つのValueにそれぞれ3項目ずつ紐付き、全9項目で構成されています。

ROXXのValueとTuning

これらは2021年の夏 8月頃から、経営合宿や経営会議で何度も何度もディスカッションを重ねて、完成させました。

そして、ただ守ってください。だけではうまくいかず、人事評価制度への組込みを実施しました。つまり、今までの業績達成指標といった定量面だけではなく、行動基準であるValueという定性面も組み込み、尚且メジャーな状態(数値化して計測できるようにする)にしました。

特にそれらを可視化して、スコアリングしており、また組織全体だけではなく、各部門、チームごとにカットして「どこのTuningを伸ばしていこうか」強みを伸ばすのか、弱みを克服するのか、そういった議論を各部門のチームマネージャーと一緒になって、人事も各部門も、同じ目指すべき方向性を描いて、より良くしていくことを推進しています。

各部門ごとにカタチが違うのも面白いポイントです。

どういう壁にぶち当たったのか

こうした取組みを進めていくうちに、分かってきたこともありました。
「組織文化やカルチャーをアップデートしていくことは簡単なことじゃない」ということです。正直「困難なこともたくさんあるだろう。」と肌感覚で想定したことよりも、数十倍簡単ではありませんでした。

1つ目の壁「可視化」

部門やチームのTuningを可視化するプロジェクトをスタートさせた時に、「なぜやるのか?」の共通認識を取るのに非常に時間が掛かりました。

  • 評価制度をアップデートするのは分かったけど、可視化してどうなるの?

  • 部門長の匙加減によって、バラバラになるから共通認識を取らないとダメなんじゃないの?

  • 今までと同じやり方じゃダメなのか?

つまり、経営合宿や経営会議で何度も何度もディスカッションを重ねてはいたものの、各部門のチームマネージャーを巻き込む動きまでは当時出来ておらず、「なぜなぜ」の疑問をひとつひとつ説明するところからスタートしたため、そもそも知ってもらい、動いてもらうまでの時間がほぼ50%、3ヶ月ほど掛かりました。

つまり壁の1つ目は、こうした戦略を策定することではなく、可視化をする。というところに壁が潜んでいたわけです。

2つ目の壁「時間軸」

そして、半年間で最も苦戦したのは、この「時間軸」という壁です。それをどのようにして変えていくべきか「時間軸」がそれぞれの部門やチームによって、認識がまったく異なっていたことが苦戦した要因かもしれません。

  • すべてのTuningを伸ばさなきゃいけないのは、時間がいくら合っても足りない

  • 行動を変えていくなんて、何年も掛かるんじゃないのか?

ROXX Tuning Reportをひとつひとつ確認しながら、各部門長だけではなく、各部門のチームマネージャーの皆さまと丁寧に「一つずつの因子をどう伸ばしていきましょうか。」と個人ごとの具体的な課題と議論を重ねて、今ではようやく少しずつ前に進み始めており、それを採用や人事異動、そうした判断にも使える状態を目指せるようになりました。

結果的に、「ここの強みを最大化できる組織にしていきたい!」や「このチームに足りない●●という要素をお持ちのAさんに異動を打診してみよう」、「採用でここのTuningが強い人がいたら、是非来てほしい!」、「こういう研修プログラムをつくっていこう」など、個人のケイパビリティを最大化し、思う存分活躍いただけるであろうサポート体制を組む、人材開発の取組みも話題として上がり始めています。

これには、本当に部門長、チームマネージャーの皆さまに感謝しています。この場を借りて御礼申し上げます。

閑話休題:エージェント様とのリレーション

ちなみに、取引先様の中で、人事として密接に関わっておりますのが、まさにエージェントの方々なのですが、毎月2回、ROXXの採用進捗説明会を開催しています。

ROXXのエージェント様向け、採用進捗説明会のスライド

▼主にお伝えしている内容
1. 採用の進捗状況
2. 現在注力しているポジション
3. 会社や事業のアップデート情報

改めまして、ROXXでは、事業や組織をアップデートし続けるためには、仲間集めが本当に重要で、採用はとても大事にしています。とはいっても、まだまだ私たちは有名な会社でも何でもありません。ですので、知ってもらう努力、伝えていく努力はもっとしていかないといけないと日々反省しています。

もしこのnoteを読んでいただいているROXXと契約のあるエージェント様がいらっしゃいましたら、是非「もっとこうしたほうが良いよ」のフィードバックをいただけると本当に嬉しいです。

選考プロセスへの組み込み

多くの方にROXXの仲間になってほしい。とはいえ、「入社後に活躍し、ハッピーに働けるか」をないがしろにしては、双方にとって良くない結果になってしまうため、ROXXの具体的な採用プロセスについてご紹介したいと思います。一部の部門から開始しているもので、今後は全社に広げていこうと考えている基本的な選考プロセスです。

選考フローの全体図

STEP 1_一次面接

書類選考後は、その応募いただいたポジションのハイヤリングマネージャー(基本的にはそのポジションのチームマネージャー)が一次面接を担当します。ROXXという会社や担当している事業の魅力、そして何よりも一緒に事業や組織に向き合う仲間の魅力を候補者の方に知っていただく機会と位置づけています。

STEP 2_バリュー面接

そしてその後は、バリュー面接を組んでいます。つまり、募集ポジションごとに大事だと思う、Tuning項目※を重点的に見たうえで、必要なソフトスキルや知識、経験の有無を確認します。
※この項目は、先の2つ目の壁「時間軸」でお伝えした、各チームで決めた「伸ばすべきTuning」を元に質問設計をします。

バリュー面接の時間は30分ずつ、ROCKパート、BANDパート、SHOWパートと3つ、つまり3人の担当を配置してQ&A形式で実施しています。私たちROXXが重要視しているのは、面接をクリアするための模範的な受け答えというよりも、困難な壁に当たったとしても、今後を一緒に力を合わせて乗り越えることができるのか、仲間として一緒にベクトルを合わせて進めることができるのか、そういったことが重要であると認識しています。

バリューを選考プロセスに組み込んだ想い
その実は、スキルや経験だけを見て、「こういう人であって欲しい」と願望で採用してしまい上手くいかなかったことがたくさんあります。

このような経験から、何よりも重要なことは、長い時間軸を同じ気持ちで、同じところを目指して一緒に仕事できるかという極めてシンプルなことに行き着きました。

このこと以上に大切なことはなく、常にそのマインド、前向きに明るく、諦めずにチャレンジを続ける強いパッションと想いを持ち続けることができる否かは、実は一番難しいと考えています。

当たり前のように聞こえますが、同じ気持ちでコトに向き合える人と一緒に仕事をすることが我々にとって一番大切な事だと気づきました。

例えば、「社内で反対意見をぶつける必要があった場合、誰にどういう風に伝えたのか、具体的に教えてください。」と質問するとき、面接では詳細がわかるまで「どうして、そうしたのか」その「なぜか」を繰り返します。

「Tuningの部分では弱いけれど、圧倒的に実績があり、すぐに実績や成果を上げるだろう」と、ついつい短期的な利点にフォーカスしてしまい、カルチャーマッチから目を背けて採用してしまうこと、これは結果的にお互いに不幸になってしまうことが往々にしてあります。

だからこそ、このバリュー面接はROXXの中でもとても大事にしている面接です。

STEP 3_最終面接

そして、最終フェーズです。
back checkの実施と最終面接にうつります。

このタイミングでは、最後にそのチームのメンバーとのカジュアル面談、スキルチェック、最終条件のすり合わせなどを行い、場合によっては会食などで最後の相性を確かめ合う時間も設けています。

back checkでは、その方の信頼の蓄積はもちろんのこと、恐らく一日の大半を占める職場環境でお互いに気をつけておくべきことはあるのか、またオファーを出す上での懸念事項などを洗い出し、それを実際に互いに質問等を織り交ぜながら、確認します。

STEP 4_オファー面談

最後は内定フェーズ、オファー面談です。
実際のポジション、役割、期待していること、それらを内定通知書とともに、レターを作る時もあります。

ROXXでは、一期一会、この出逢いを大事にして、そしてこの先一緒にどんな苦難も乗り越えていきたいからこそ、オファーのタイミングでは、明日にでも来て欲しい!というメッセージはもちろん出すこともありますが、一番は選考の中で「もう少し知りたかったこと」などがあったか否か、ROXXという選択肢で本当にハッピーになれるか、お互いを理解するために出来ることがあれば何でも手を尽くせるだけ尽くしたいと考えています。

採用のすべては、組織の基準を定量的に定めることから

もちろん上記も完璧なものだとは思っておりません。
だからこそ、ここでお伝えしている組織のカタチを特定するTuningの取組みや選考プロセスにおいても今後もっとより良くしていくために、アップデートすることを常に検討しています。

候補者体験が重要視される昨今、本当の意味で志をともにしたいからこそ、フラットに、でも手を抜かずに、組織の基準値を上げていきながら、一人でも多くの人が「入社後に活躍し、ハッピーに働ける」ようにトコトン向き合ってやっていきたいと考えています。

そして、オンボーディング前には配属先のチームと人事とでback checkや面接の記録を一個ずつ読み合わせを行って、誰がどこのValueをどの周期でサポートするのかまですり合わせています。更には、それを入社時だけではなく、入社している仲間をサポートするための人材開発プログラムも現在決めていっています。

そのあたりはまた別回で詳しくお伝えできれば、と思います。

まとめると…
前半戦:組織のカタチをTuningで各部門、各チームごとに定量的に可視化
中盤戦:伸ばしたい因子をチーム単位で特定し、採用要件/選考フローに織込む
後半戦:採用後も熱烈にフォローアップできるようなオンボーディング体制の構築

テーマは、各部門と人事が同じ方向を向いて、事業の成長のために一人でも多くの仲間が活躍できる環境を用意すること。

そして何よりも、採用のKPIに応募数や内定承諾率というファネル管理を行わず、あくまでも目安の指標としては追うものの、結局「入社後に活躍し、ハッピーに働けるか」に尽きるため、ROXXでは本当にこのカルチャーマッチをとても大事にしています。

長々と失礼いたしました。
少しでもカルチャーマッチという「ふんわり」したところに悩んでらっしゃる方のお役に立てましたら幸いです。

最後に、この道のりを一緒に創りたい、歩みたいという方がいましたら、是非まずはカジュアルにでもお話しできればと思います。

HERPでお待ちしています!


デザイナーからキャリアスタート。10カ国11拠点のBrand Mgr、IRを経て、金融系ベンチャー企業にてマーケ、BizDev等に関わる。外資系コンサルティング企業、M&Aアドバイザリー企業にて社長室を担当。インサイドセールスの立上げ、管理本部などを歴任。3人兄弟同じ誕生日。