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(6)〝デジ力〟の前に〝読書の筋力〟―「よく読む子」に育つ5歳頃からの本好き大作戦 ~図書館利用編~

  さて、前回の図書館から2週間が経ちました。借りた本を返却すると同時に、新しい10冊を借りていただけたらと思います。
 


〈図書館2回目以降は「好き」なジャンルに焦点をあてて選書〉

 2回目以降はもう、〈A郡〉〈B郡〉…というジャンル分けはあまり考えなくてOK。
  前回で子どもの好きなジャンル・傾向が見えてきた場合は、「好きそうな本」をできるだけたくさん一緒に選んで借りてみましょう。
 とはいえ、まだ漠然としていることも考えられるので、そういう場合は前回同様〈A郡〉〈B郡〉…と考えながら借りてもいいと思います。

 大切なのは、「もう2回目だから…」と雑にならず、前回同様「ゆっくり、楽しく」子どもと本選びの時間を過ごすこと

 あくまで参考までに我が家の場合、2回目の内訳は次のような感じでした。
 
○おじさん探偵の本(シリーズもの)・・・2冊
○料理好きな女の子の冒険ファンタジー・・・2冊
○迷路、クイズ、なぞなぞの本・・・3冊
○残り三冊は、私が選んだ児童書・・・3冊
※お勉強系はやめました
 
 帰ったらまた2週間、前回と同じ生活をします。
 

〈じつはこの頃から「本好きの環境」が整い始めています〉

 「また同じ2週間を過ごすの?」と思うか、「は~い大丈夫!」と思うかは親次第だと思いますが、子どもがそれなりに本を楽しめている様子なら、さほど手がかかることもないでしょう。
 子どもが自分のタイミングで本を手に取るのを見守り、時には一緒に読んで楽しむ・・・これだけで大丈夫
 
 この時点で【子どもが本好きになる環境】は、じつはかなり整い始めています。
 
 ええ…そうかな? と思いますか?
  はい、そうなんです。

「本が当たり前に家にある生活」をしている。
「お気に入りの本を自分で選んで取り出す」習慣づけをしている。
「本棚には自分の好きな本ばかり」というワクワク感を得ている。
〇「(図書館に行けば)好きな本を自分で見つけたり、パパ、ママと一緒に選ぶこともできる・・・という成功体験を重ねている。
 
・・・ざっと挙げただけでも、このくらいあります。
 
 

〈図書館通いのナンバー1本が見えたら、次の段階へ〉

 
 さて、この図書館通いが親子ともに気に入っているのなら何度試してもよいのですが、もしこの時点で子どもの好きなジャンル・傾向がはっきりしてきた場合は、次の段階に進んでいいかもしれません
 
 図書館通いを続ける場合、省略してほしくないのは、図書館で10冊借りて2週間を過ごした後、「どれが一番おもしろかった?」「ランキングをつけてくれる?」という聞き取り。
 さりげなく…でも楽しく。
 
 前回もお話しましたが、これを繰り返すたびに「本当に好きなジャンル・傾向」が見えてきて、だんだん「そういう本ばかり」を選ぶことができるようになるということが、この図書館通いのポイント。
 
 そして最終的には、「図書館時代のナンバーワン本」をぜひ見つけてほしいと思います。もちろん、ナンバー2も3もあってよいです。
 ベスト3を並べて見ると、子どもの心、好みがかなり見えてきたように思いませんか?
 私は、「へ~これなんだ!」とワクワクしたのを覚えています。
 
 しかもこれの良い点は、その段階を「親子で一緒に探っていった」というところなんです。
 親のほうも会話を重ねることで、「こういう本が好きみたい」とはっきり記憶できますし、逆に「ああいう本はあまり好まなかったな…」とポイントが(何となくでも)印象に残ります。
 
 習い事など、「プロにお任せ」する場合はどうしても「いつの間にか成長して…」と驚いたり、「どんな段階を経て上達したのか?」というのが、親でも明確にわからなかったりしますよね。
 でもこの図書館通いは、親が「その段階」に関わっていますから、「こういう本が好きだもんね」とはっきり理解できるようになります。
 
 私も長女とこれに取り組んだ時のことは、今でも、なんというか…「手をかけてあげることができた」という温かい育児の記憶として残っています。

 

〈次の段階ー〝借りる〟から〝買う〟メリットを検討する時〉


 ー話を戻します。
 我が家の場合、図書館に3回くらい通ったあと、「そろそろ買ってもいいかな」と思うようになりました。
 
 いうまでもなく、図書館最大の魅力は無料レンタルできるところですが、「期限までに読まなければいけない」ですし、気に入っても自分のものにはなりません
 これは当たり前のように聞こえますが、子どもの心と体にしっかりとした読書の筋力を作るうえでは、「好きな本を買う」という行為が今後の展開で重要になると思います。

 買うことのメリットは追々詳しくお話しますが、書店へ行き、「これがいい!」と納得できる本なら買ってあげたいところです。
 
 ただ、「買うとなると本ってけっこう高いよね」・・・という方もいると思います
 もちろんよくわかります。
 それは各家庭の事情や考え方、「子どもの何に一番お金をかけるか」によるので、他人がどうこう言えることではありませんよね。
 
 我が家の場合、身に着ける物や習い事、レジャーなどに関しては大したことができないとわかっていたので、好きな本はできるだけ読ませてあげたいと考えました。
 本一冊が持つパワーを考えた時、子どもが「読みたい!」という本を買ってあげることは、長い目で見れば安い投資だと私は信じています。
 
 

〈古本屋のフル活用で家の本棚を充実させて!〉

 
 そして参考までに、私は古本屋をフル活用していましたーというより、しています(新刊書店の方…すみません)。
 
 親子で時間をかけて探せば、古本屋は宝の山。
 
少しくたびれているだけで、数年前は千円以上した名著が数百円で買える・・・これはパラダイスです(興奮)!
 100円~200円台のコーナー限定で探しても名著はあります。10冊買ったって大した金額になりません。
 
 子どもの好きなジャンル・傾向を親が認識していれば、学校に行っている間、親だけで古本を何冊か揃えておいてもいいでしょう。

 そうしてさりげなく本棚に並べておけば、子どもはそのうち自分のタイミングで取り出して、読むようになると思います。これが、「家に本(棚)がある」ということのベース。
 
 もちろん、「今日は絶対にこれを買いたい」という本がある時や、「何でも好きな本を選んでいいよ」というご褒美的なタイミングの時は、我が家も新刊書店を利用していますよ!
  
 

〈してほしい声かけ、してほしくない声かけ〉

 
 さて、このころパパ、ママにできるだけ「してほしくない」声かけがあります。
  前にもお話したのですが、ここで再度、お伝えしておきますね。

 それは、「本を読んで偉いね」とか、「たくさん読んだら頭がよくなるかもしれないよ」というもの。
 一見いいようにも感じますが、私はお勧めしません。
 自然と湧き出た言葉ならいいのですが、無理に褒める必要はないーー読書は褒められるためにするものではないからです。
 
 本に夢中になっている我が子を微笑ましく思い、何か声かけしたくなったら、ぜひ「読んでるんだ。それ、おもしろいよね!」という「共感」からくるものにしてあげてほしいと思います。
 
 これは後々にもつながる考え方なのですが、「サッカーが好きなんて偉いね」とか、「可愛い服を着て偉いね」という褒め方をする人がいないように、読書を「特別な行為」「勉強につながる行為」という先入観を(大人にも)持ってもらいたくないからなんです。
 
 個人的な体験ですが、私が十代、二十代の頃は今ほどデジタル社会ではなかったものの、それでも周囲から「いつも本を読んでいてすごいね」「勉強家だね」ということをよく言われて、少し寂しい思いをしていました。
 私自身は、好きだから、楽しいから読んでいたのです。
 「すごいね」というのはつまり、「自分とは違う」という目線。できれば自分を理解してほしいと願う相手にほど、「それ私も好き!」と言ってほしいと感じていました。
  
 ―話を戻します。
 
 図書館通いをしている時期、子どものほうから「この本ね、あのね・・・」と内容を教えてくれようとした時には、家事などの手を少しだけ止めて、ぜひ耳を傾けてあげてくださいね。
 
 子どもは「おもしろい」「楽しい」と思ったことを大好きな人に伝えにきます
 それはパパ、ママへの「大好き」というメッセージでもあるので、ぜひ受け取ってあげてください。
 「なあに教えて!」と話を聞いてあげることで、子どもは本に対するポジティブなイメージをいっそう強めていきます。
 
 さて、図書館通いが一段落して、子どもの(現時点での)「ナンバーワン本」や、好みの傾向がわかったら、それを足がかりに具体的な「これからの本選び」へと進みましょう!
 
 
つづきます。

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(7)〝デジ力〟の前に〝読書の筋力〟―「よく読む子」に育つ5歳頃からの本好き大作戦 ~書店で購入編~|涼原永美 (note.com)


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