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遠い夏の記憶

私が小学生の頃は、夏の終わりから秋にかけての夕暮れ時に、家の近くの田畑のほうから野焼きをする煙の匂いがしていたものだ。

草木を燃やしている煙なのに、不思議と嫌な匂いと思うことはなく、むしろ季節を感じる
ような安心感さえ覚えた記憶がある。

今では野焼きを禁止する法律もあって、昔ほど目にすることはなくなったが、時々、草木や雑草を燃やしている煙に遭遇することがある。

煙が運転する車のほうに流れてくる風向きだったりすると、わざと窓を少しだけ開けて、煙の匂いを感じるのだ。

懐かしさが込み上げる…

小学生の頃の、終わりに近い夏休みの夕方の記憶が甦る。
蜩 (ヒグラシ) の鳴き声と、近くの田畑で草木を燃やす煙の匂い…

遠い記憶のはずなのに、決して消えることはない。
いつでも引き出せる位置に、私の記憶の引き出しは存在している。

これからもずっと…


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