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そして、これから〜和紙の旅〜|紙の人に出会う3日間

ついつい集めてしまう、なかなか捨てるに捨てられない、そんな紙があなたの中にもないだろうか。旅の思い出や可愛いイラストのポストカード、心ときめく包装紙、装丁が美しい本……。

紙の持つ風合いや質感にこよなく惹かれてしまう人、ものづくりが好きな人に、ぜひとも知ってほしい、体験してほしい旅がある。

それは、愛媛県内子町で開催されている「そしてこれから〜和紙の旅〜」。
内子町の伝統工芸品・大洲和紙の紙漉きを体験し、紙にまつわるものづくりをする人々に出会い、語るという2泊3日の旅。地域の人たちと「これから」を一緒につくっていくというところも、とても魅力的に映った。

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紙でつくることはあっても、紙は買うもの。紙をつくるって、どういうことだろう。どんな世界なんだろう。そこに触れてみたくなり、2021年6月に開催された第1回目の和紙の旅に参加した。


はじまる前から和紙に触れる

そろそろ旅の準備をしなければと、カバンを引っ張り出していた頃、それは突然、郵便受けにやって来た。「大洲和紙」のハンコが押された封筒。封を切ると、中には、封筒とは質感の異なる大洲和紙(障子紙)に印刷された「旅のしおり」が入っていた。

大洲和紙についての説明や、旅のスケジュール、内子のMAP、持ち物リストなど、風合いのある和紙のページをめくればめくるほど、旅への期待が膨らんでくる。
そして、最後のページに貼られていたのは、この旅をつくり、案内人でもある7名の紙(名刺)。それぞれ紙質や印刷に個性が現れていて、まるで紙見本を見ているかのようだ。そこに添えられていた直筆の一言メッセージに、出発前から心を掴まれてしまった。

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この旅を大切につくっているその気持ち、第1回目で描かれる旅の風景を楽しみにしている様子、そんな希望が入り混じった想いがひしひしと伝わってくる。

こうして、7枚の紙の人に会いに行く旅がはじまった。

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手漉き和紙をつくるということ

最初に宿の「古民家ゲストハウス&バー 内子晴れ」にチェックイン。1枚目の紙の人、内子晴れオーナーの山内大輔さんに、部屋を案内していただく。このプランの宿泊者のベッドには、この旅の案内人の一人である「ゆるやか文庫」の青山さんがセレクトした和紙や紙にまつわる本が読めるようになっていて、読みたい本でベッドを選んでしまった。


チェックイン後は、早速、天神産紙工場に向かう。内子のビジターセンターや商店街があるエリアから五十崎(いかざき)まで、小田川沿いを自転車で走り抜けたのだが、蒸し暑さを忘れる天然のクールスポットや神秘的な桟橋があり、探検気分。

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数十分ほどで、天神産紙工場に到着した。湯気が立ち上り、辺りには豆を煮ているような香ばしい香りが漂っていた。ちょうどこの日は、和紙の原料となる(こうぞ)を煮ていた。それも国産の楮というのは珍しいことなのだそうだ。
楮や雁皮といった植物から繊維を取り出して紙漉きに使えるようにするためには、煮る、水に晒す、塵を取る、漂白する、砕くなど、人の手による多くの工程が必要で、長い道のりを経て和紙になる

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愛媛の紙の歴史は古く、平安時代の書物『延喜式』に記述が残る。江戸時代に大洲藩の産業として栄え、内子でも盛んに生産されていた。明治から大正にかけては、小田川付近に多くの工場が建設されており、天神産紙工場も大正初期に創業している。時代の変化の中で、町内に残るのは2軒のみとなってしまったが、そのうちの1軒が天神産紙工場だ。

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工場内を案内し、紙漉きを教えてくれたのは、ここで職人として働く千葉航太さん2枚目の紙の人だ。千葉さんの実演を見て、真似て漉いてみるのだが、これがなかなか思うようにいかない。1枚目は失敗して簀巻きの状態になり、原料の入ったバケツに戻っていく。でも、その形も面白く、これ何かにならないだろうか? と参加者同士で盛り上がる。

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次は何とか形になった時、その美しさにハッとした。細かく砕いた紙の原料を水の中から掬い上げ、それが簾の上で紙の形になり、光できらきらしている姿。

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今まで、乾いた紙の姿しか見たことがなかったけれど、水の中から生まれるその瞬間は、他には例えようのない体験で、旅の思い出として心に刻まれた。

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5枚漉くことができたのだが、漉いた紙は、圧をかけて水分を搾り、旅の3日目に乾燥させた。「三角」と呼ばれているアイロンのような鉄板に手早く貼り付けて、皺にならないようにブラシで伸ばし、乾燥したら剥がすのだが、これも破れたり皺になったりと、なかなか思うようにいかず、難しい。

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それでも、恐る恐るぺりぺりと剥がすと、自分が手がけた紙が完成。その瞬間は忘れられない。

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初めてつくった私たちの紙は、クリームっぽい色味であたたかい風合いだった。ムラがあるのもちょっと皺が寄っているのも味わいとして楽しめる。今まで、すりすりと紙の手触りを楽しんでしまうことはあるのだが、この旅を終えてから、紙を透かして見るようになったかもしれない。均一でない様は見ていてなぜか飽きないのだ

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一人5枚乾燥させるだけでも、四苦八苦していた私たちであったが、周りの職人の方々は、もっと大きい紙を無駄のない動きで手早く乾燥させていて、その所作に見とれてしまう。蒸し暑い過酷な環境での決して派手ではない作業。しかし、紙ができるまでの長い旅の最終段階で、責任重大な工程とも言える。

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今回は、一人5枚つくることができた。だからこそ規格の重さに合わせて均質につくり続けることがいかに難しいか、職人技の凄さもひしひしと伝わってきた
千葉さんは2020年11月から天神産紙工場で働いていて、その難しさを噛み締めながら、日々、紙に向き合っている。この技術をつないできた先輩職人の背中を追いながらも、和紙を身近にしていくことや和紙に限らず伝統工芸のものづくりにも関心を持っていて、新しい風となりそうな、そんな未来を感じた。

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手漉き和紙ができるまでを知ってしまうと、1枚の紙が貴重に思えて個人的には使うのがもったいないような気がしてしまうのだが、千葉さんとしては、もっと気軽に使って欲しいというのが願いだ。天神産紙工場のショップには、書道半紙や障子紙など、様々な大きさや用途の大洲和紙が並んでいて購入できるのだが、その中には、五十崎社中が手がけたものもある。大洲和紙に金属箔の装飾を施した「ギルデンィング和紙」や、紙縒りに楮を漉きこむ「こより和紙」。これらを商品化し、建築やインテリアなど、幅広く使える提案を行っている。

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五十崎社中・代表の齋藤宏之さんが、最後の工程を終えた私たちに、お茶を淹れてくださった。暑い作業の後のお茶が体に染み渡る。私たちが手にしている紙の原料を調整してくださったのも齋藤さんだ。できたての紙を手に、屋外のスペースで語らう時間が心地よかった。

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紙の可能性を考える人々に出会う

初日に紙を漉き、3日目に乾燥させて完成。旅の2日目は何をしていたかというと、内子晴れから車で数10分のところにある御祓(みそぎ)地区に移動。まだ梅雨明け前で、朝からザーザー降りの雨だったけれど、最高の朝ごはんからのスタートだった。
一人分ずつ、竹皮に包まれているお弁当には、野の花が添えられていて、そのおもてなしにキュンとくる。包みを解き、屋根付き橋で、みそぎ米の田んぼを眺めながら、みそぎ米のおむすびを頬張る! これは、ここに来ないと味わえない体験だ。

朝から準備をしてくれたのは、3枚目の紙の人・水谷円香さん。内子町の地域おこし協力隊として、御祓地区で活動している。廃校となった旧御祓小学校を活用した「コミュニティースペースみそぎの里」をオープンし、元職員室の空間で、地域の人たちと月2回のペースでカフェを開いている。地域内外の人々が訪れる場となっていて、こうして積み重ねてきた縁が繋がり、これから手漉きの紙の可能性を探るユニークな場が生まれようとしていた。

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その一つ、旧理科室へ。4枚目の紙の人、「kami/ (かみひとえ)」の浪江由唯さんが案内してくれた。昔懐かしい実験器具が残るこの空間を整えて、地域の素材を使って手漉きの紙をつくったり、製本するなど、紙にまつわるワークショップができるような場をオープンするために準備中であった。

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世界の紙に出会うために旅をして、つくる現場を訪ね、『世界の紙を巡る旅』を上梓している浪江さん。理科準備室には、浪江さんが旅で出会った世界の紙が並んでいた。手触りや厚さ、色もさまざま。中にはレースのような紙や、花や葉の姿そのままを閉じ込めた紙も。

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その紙を触り、浪江さんのお話を聞いていると、世界の至る所に、植物から繊維を取り出し、それを紙にしてきた人々の営みがあることに思いを巡らせてしまう。大洲和紙を漉く現場でハッとする美しさに出会ったように、きっとその一つ一つにその土地に根ざした手で生み出す美しさが潜んでいるのだと思うと、紙一つが世界から消えてしまうことで、失われるものはどんなに大きいのだろうかと果てしない気持ちに。

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理科室を後にして、旧図工室に。ここは、5枚目の紙の人ゆるやか文庫」の青山優歩さん印刷室として、生まれ変わろうとしていた(7/1にめでたくオープン)。中央には、重厚感のある活版印刷機が置かれている。大洲和紙に、活版印刷やインクジェットやシルクスクリーン印刷ができる印刷室だ。紙に印刷が加われば、和紙を使った表現の幅がグンと広がる

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ここで、小さな活版印刷機を使った活版印刷を体験した。
浪江さんが集めた世界の紙の中から、葉っぱや花が閉じ込められた手漉きの紙を使って、カードをつくる。紙を選び、言葉を選び、文字の配置を選び、インクをつけて、ハンドプレスで印刷して完成。画面上でレイアウトして、「プリント」ボタン一つで印刷することに慣れてしまっていると、一つ一つ積み重ねて形になる体験は新鮮な感覚だ。
絵が描けなくても、ゼロから物をつくる自信がなくても、誰でも何か表現ができるところに面白みを感じた。

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紙やデザイン、手仕事など、自分の蔵書をみんなでシェアする図書室(貸本屋)を開いてから、企画室(デザイン)、印刷室(印刷)にまでできることを広げてきた青山さん。この印刷室で、大切な言葉を贈るメッセージカードだったり、“自分”を表現する名刺だったり、溢れる想いが詰まったリトルプレスだったり。一人一人のあたたかな想いに寄り添いながら、和紙を使い、形にしていくのだろうと思うと、これからが楽しみでならないし、私も何かつくりたい思いがふつふつと湧いてきた。

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雨上がりの午後は、浪江さんがこれから育てようとしている畑にお邪魔して、みんなで楮の苗を植えた……のだが、楮と言う人もいれば、楮じゃないかもと言う人もいて、成長するまで謎らしい。

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もし楮ではなかったとしても、やはりそこから繊維を取り出し、紙にしてみるのだろう、あの理科室で。と思うと、それはそれで面白い。この時は、まだ内子に来て1ヶ月ほどの浪江さんだが、着実に種を蒔いていて、また訪れたくなる理由ができた。

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土地のものを食べて語る、ひととき

2日目のお昼ごはんは、土に触れて収穫するところから。雨上がりで霧が立ち上る幻想的な風景は「天空の畑」と呼びたくなるほどだった。

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お邪魔したのは、6枚目の紙の人泉綾子さんの畑。移住して農業を営む泉さんの畑で、ニンジンやカボチャ、キャベツ、レタス、キュウリなどを収穫体験。野菜を引き抜いたり、もぎ取る感覚は、自分で育てていないとなかなかないことで新鮮だった。

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農家の嫁であり、天神産紙工場でも働いている泉さん。自作の和紙のポーチを見せてくれて、その軽やかさに驚く。器用な泉さんの夢は、自分の野菜をこの地で味わってもらえる場をつくりたいそうで、そんな場所ができたら、御祓の人や風景が好きになる人が増えるだろうなあと、これも楽しみだ。

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採れたての野菜を蒸して、ニンジンの葉は泉さんがかき揚げにしてくれたのだが、絶妙なパリパリ具合! 産みたての卵を割った卵かけごはんに、季節の具材のおやきも加わり、デザートは近くの木になっているスモモを。それはもう箸が進むこと進むこと。レタスがちょうど箸休めとなり、結局ずっともぐもぐしていたような。

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ゆったりした時間の中、なんで、あんなに手間暇かけてまで、人は紙をつくってきたんだろうねという話題になった。
食べながら話していたからだろうか。「間違えて毒のあるものとか食べちゃったら、また同じことを繰り返さないように書き残しておかないとね!」という意見も出て、なるほどと思う。
誰かに伝えたい、後世に残したい、そんな人間の想いというか執念とでもいうのだろうか。その形はさまざまだろうけど、失敗や過ちであることもあれば、わかってほしい想いであるかもしれない。紙は、誰かに、言葉を届けてつなげてきた。
そんな会話も旅に参加した共感できるメンバーだからこそで、この旅の魅力の一つだと思った。

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夜は、内子晴れに戻り、この和紙の旅をつくるメンバーや地域の方との交流会。COWORKING-HUB nanyo signの山口聡子さんが、ファシリテーターとなって対話の場をつくり、浮かび上がった言葉を書き留めていく。

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グループトークの時に、7枚目の紙の人小山田麻衣さんと同じテーブルに。小山田さんも地域おこし協力隊で、内子の魅力を発信している。町内の自然の中で食やものづくりの魅力を体感するイベント「そとで、ここで」を主宰し、自身の「おりつむぐ」で手織物や草木染めのワークショップを開催したりもしている。大洲和紙のB品100枚を買って、それをいかに使うかという「100枚チャレンジ」の様子も発信していて、そのアイデアが面白い。この旅をコーディネートしていて、初日も2日目も同行してくれたのだが、ゆっくり話すことができた。

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ゆるやか文庫の青山さん、旅の参加者の方とも一緒に料理を囲み、山にたくさん生えている苧麻(ちょま)から繊維を取り出して織物をつくる話や、植物で染めるなど、植物の可能性の話題で盛り上がる。紙も楮や三椏(みつまた)から繊維を取り出してつくるのだが、紙だけではなく、人はもっと植物を利用していて、それが暮らしの中に入り込んでいた。その知恵が逆に新鮮で、今の時代の中で掛け合わせることで何か新しいことが生まれそうな予感も。地に足つけてものをつくる人たちの暮らしの価値観に共感することばかりの時間であった(自分の実践はお恥ずかしながらほど遠いのだが……)。

最後には、和紙を使うアイデアもたくさん出て、記念撮影を(※集合写真は、撮影用にマスクを外しています)。

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旅の最後に、思い出を綴じる

旅のフィナーレは、できたての紙を抱えて、天神産紙工場から車で数分の場所にある「シェアアトリエなるた」へ。この中にある「ゆるやか文庫」の図書室は、みそぎの里の活版印刷体験でお世話になった青山さんが開いている貸本屋だ。

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ここで、青山さんから和綴じ本づくりを教わる。綴じるものは自由だったので、今回の旅のしおりと、自分で漉いた紙を綴じることにした。

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まずは、表紙、角ぎれの紙、しおり紐、綴じ糸を選ぶ。この組み合わせ方次第でガラリと雰囲気が変わる本づくりというのは、やっぱり面白い。本を手に取るのも好きだけれど、つくる側に立つのはもっと楽しいので、おすすめしたい。

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私が表紙として選んだ紙は、やわらかなグリーンの大洲和紙(花びら紙)。
自転車で駆け抜けた木陰、屋根付き橋で眺めた雨に濡れた草花、みそぎの里の窓から広がる山々、泉さんの畑やお家から見た風景が心に残っていて、この旅の思い出を綴じるなら、グリーンかなと迷うことなく手が伸びた。

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綴じる紙の大きさや順番を整え、角切れで止めて、表紙と裏表紙をつけて、穴を開けて糸で綴っていく。黙々と手を動かす時間はやっぱり楽しく、綴じた糸を最後に切る瞬間は何とも言えない達成感。裁断されていない紙なので耳が残っているところに味がある、世界で1冊の本が完成した。

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皆さんと私の「そして、これから」

「そして、これから〜和紙の旅〜」で完成した和綴じ本をパラパラとめくる。

どこにいても、ページをめくる度に、旅の思い出が蘇ってきて、その余韻に浸ってしまう。自分で漉いた紙のページには、天神産紙工場でいただいた楮のかけらや、みそぎの朝ごはんに添えられていた野の草花を押し花にして、旅の思い出として貼り付けていこうと思っている。

この時、つくった紙はまだ1枚半ほど余っていて、何に使おうかと頭を捻る。
そうだ、はじめに紙が送られてきたのなら、今度は私が送ってみよう。私がつくった紙を。簡単なメッセージを添えて送ってみることにした。

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そうしたら、またいろんな紙が倍返しな感じでやってきて、舞い上がるのだった。

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冒頭で、この旅を紙が好きな方におすすめしたいと書いた。それは何より、和紙はどうやってつくられているのかということを知ることができるからだ。つくる過程を、つくる人を知り、心動かされたなら、暮らしの中や何かをつくろうとする時に、選択肢に和紙が入ってくるのではないだろうか。そんな人たちが少しでも増えたら、世界は変わるかもしれないと淡い希望を持ってしまう。

そして、もう一つは、紙の可能性をあれこれと考えてチャレンジしている人たちが身近になること。その後、ゆるやか文庫の印刷室がオープンし、活版印刷機も稼働。大洲和紙の名刺や個展のパンフレットのオーダーを受けて、制作が始まっている。浪江さんも理科室の壁に自分たちで漉いた紙を貼るそうで、その紙をワークショップを開いてつくるようだ(楮も順調に育っているらしい)。
天神産紙工場の屋根裏のギャラリーでは、この和紙の旅のイメージ動画を手がけた映像作家のKo-ki Karasudaniさんによる、天神産紙工場と五十崎社中に密着したドキュメンタリー作品「紙の人びと」の上映が始まっている(9/5まで)。大洲和紙をつくるということや働く人々の想いを、より深く知ることができる内容だ。そこには千葉さんも登場していて、真っ直ぐな眼差しで語っていた。そんな皆さんの刻々と変化する動向が、気になって仕方ない日々だ。

だから、7月に開催された2回目の旅の交流会までも参加してしまったのだが(なんとOB・OG枠を設けてくれた)、7月の参加者の皆さんも「素敵がいっぱいすぎて、素敵疲れ!!」「大人の自由研究みたい」と、目をキラキラさせていて、「分かる!」と大きく頷いた。そう、この旅の半端ないインプットの量を、ぜひ、浴びてほしい。

今回、全旅程に密着していた内子晴れの山内さんは、内子に移住して8年目。地域の魅力的な人びとに出会い、その土地の文化に触れながら、変化していくこのまちの景色を見てきた。そして、自身も古民家を改修してゲストハウスを営み、変化する景色をつくっている一人でもある。だから、今、目にしている風景は当たり前のものではなく、そこに歴史があり、その地で暮らす一人一人の営みの積み重ねによるものということを、十二分に肌で感じている。

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そして、ここ最近、この地に魅力を感じて活動を始めた人たちの芽が出て育ち始めている。普通ならば、拠点が整ってから旅のプランに組み込むものなのかもしれない。でも敢えて、まだ準備中のプロセスを見てもらえるようにしたのは、その芽が育っていくのを山内さんが誰よりも楽しみにしていて、それをみんなと楽しみたいからなのかもしれない。この旅の名前が「そして、これから」というのも頷ける。旅を終えてからが始まりなのだ

山内さんが、この旅を通して思い描いているのは、5年後、10年後の紙に携わる人たちの生き生きした姿、みそぎの里や畑の風景であることを語ってくれた。楮が茂り、その紙をつくることが、ここで育つ子どもたちにとっても身近である世界となるように。

その姿を私も見てみたいし、少しずつ、着実に歩み、変わりゆく景色を、この旅で出会った人たちとともに分かち合いたい。

次は、これを読んでいる、あなたとともに。
旅は続く。

(写真/内子晴れ、えひめの暮らし編集室)


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