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「若い時にしておいたほうがいいことは?」と聞かれて、「まずはちゃんと失敗したほうがいいよ」と伝えたことについて。

「まずはちゃんと失敗したほうがいいよ」
先週話をしたいと言われた、20代中盤の若者「A君」と今日ランチをした。Aは同じ大学部活の後輩であるもののちゃんと話したことはない。それなのに40代の「オッサン」にメッセージを送り、話を聞きたいという突撃感は偉いなあと思った一方で、そこそこ悩んでいるのではないか。そんなことを思いながら目黒にあるお店に。

聞くと卒業後就職した会社を最近退職し、現在は充電期間中で、転職先も決まっているという。
「で、今日のお題は?」と聞くと漠然とした「焦り」を感じているようなことだった。やりたいことをやりたいと思って就職した会社ではなかなかしたいことができず、少し世の中広く見てみたいと転職、起業も少し考えている、という。

そして、20代の今、自分がしておくべきことはなんですか?との問いに、「ちゃんと失敗することかなあ」と答えた。

「ちゃんと失敗する」というのは自分自身のレベル感でいいから「なかなか立ち直れないような、自分ができると思っていたのに想像を超えてできなかった忘れることができないショックを受けた経験」と言い換えて説明をした。

「20代の自分なら出来るという、説明のつかない、よく分からない自信や妄想があっていいと思うんだ。でも大事なのはそれをチャレンジすること。そして一生懸命やればやるだけ一生懸命失敗するはずなんだよね、それでいいと思う。20代の失敗は若さやまっすぐな気持ちが原因なことも多くて、でも一生懸命にやった失敗は周りの中で何人かはちゃんと見ているし、共感してくれる。でも30代、40代になると社会的な地位や影響力や人のつながりの範囲が広くなってくると「まだ失敗しているの?」と思われたりする。そうすると、次第に声をかけてもらえなくなってくることがある。だから20代でちゃんとした失敗をすることがとても大事だと思う。これは自分が29歳の時に大きい失敗をしたから言えることかもしれないけど」

29歳で仕事で失敗を経験した時、心から情けないと思ったし、人と会うのも嫌になった。毎日無気力のような淡々と時間が過ぎることだけを考えていた。何とか立ち直れそうな気持ちになったのは1年後だった。10年以上たった今、この自分自身レベルの失敗があったからこそ今の自分があると思える、だから後輩に今日、「ちゃんと失敗をすること」を自分の言葉で伝えることができたのかもしれない。

「失敗は失敗してみないとそれがどのぐらいの失敗なのかどうかも分からない。だから20代のうちに「自分なりの「ギリ致命傷」な失敗をして見ることをおすすめしとく」

そしてグロービスを卒業したことも知っていて、辞めた会社の上司もグロービスに通っていたからどんなところか、気になっていたという。
「学びたいと思ったのは流行りでもなんでもなくて、単純に自分が失敗して自分がつくづく足りないと、このままだと本気でダメだと思ったから通ったんだ。失敗のない自分だったら、多分学ぶことの意味とか大切さって分からず「何のために自分は学ぶのか」がクリアじゃなかったのかもしれない。失敗してずっこけて、このままだと本当にまずいと思ったから「経営という学問」を学ぶことにした。だから自分にちゃんと向き合って課題感をあぶり出す。その作業が無いままに学ぼうとしても得られる「驚き」は小さいかもしれない。学んで得られる驚きの大きさとは、自分のありたい姿がちゃんと遠くても見えていて、今の自分の現在地との距離感を確認できているかどうか。学ぶと距離感が少しずつ縮まってくる、その喜びを味わえたことがよかったかなあ」

何を「失敗」と思うかは自分次第。でも失敗はしないと分からない。辛い思いをしないと他人の辛さが分からないのと同じで、失敗をするから人の気持ちがわかって、人に優しくなれる、謙虚になれる。だから自分はまだまだ至らないと痛感して、学ぼうとする。学ぶとは真似ることで、まずは人の教えを真似ることを愚直にする。すると素直に行動することができ、教わった通りの「型」を身につけることができる。型があるから型破りができる。型がない人はただの型無しと落語の世界で言われる。

ちゃんと失敗して学ぶことの大切さを体で感じて、謙虚に学ぶ。そして型を得て、型を破って自分の型を作ろうとする。そしてまた失敗して学んで型を補修しながら自分の確固たる型を一生かけて作り上げていく。

だから、失敗と学ぶことはセットであって繋がっている。

ちゃんと失敗するからちゃんと学べ、ちゃんと学べるからちゃんと失敗できる。それを人生の中で何回繰り返せるかで自分の型の強さが変わってくるんじゃないか。

そんなことを考えさせてくれた後輩に感謝したい。

写真が何でステーキかというと、後輩に「何でも食べていいぞ」と言ったらステーキを注文、自分もやや無理をしてステーキにしたら満腹感がすごいことになってしまった。

20代と40代の違い、色々。

「まずはちゃんと失敗したほうがいいよ」について、おしまい。

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