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麗しき島々

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「麗しき島々」曲紹介 12.月二寄セル唄~ええうみ/Месечинко льо(メセチンコリョ)

「麗しき島々」曲紹介 12.月二寄セル唄~ええうみ/Месечинко льо(メセチンコリョ)

「ええうみ」をライブでやる時に、佐藤みゆきさんが「ブルガリア民謡でも「月」にちなんだ曲があるので一緒に歌うのはどう?」と提案してくれたのがきっかけでこの形になりました。ブルガリア・ロドピ地方の民謡です。
奄美とブルガリア、月を見ながら物思うのは今も昔も、世界共通なんだと思いました。
こちらも、「千鳥浜」同様に8年くらい温めていた弦でのアレンジで、
ようやく日の目を見る事ができて嬉しいです。
このス

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「麗しき島々」収録曲解説 11.まつばんちゃ(喜界島)

「麗しき島々」収録曲解説 11.まつばんちゃ(喜界島)

 既出の屋久島古謡「まつばんだ」に似た題名だな、と思われた方もいるかもしれません。

「まつばんだ」の音源を朝崎郁恵先生に聴いていただいた時の事です。
「これは、喜界島のおばあちゃんが歌ってくれた歌に似ている」と言われて、その場で突然思い出して数節歌ってくださいました。

喜界島と、朝崎先生が住んでいた加計呂麻島は遠いですが、たまに孫に会いに来てくれた時に、枕元で歌ってくれていた歌が確か「まつばん

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「麗しき島々」収録曲紹介 10.ようかい(種子島)

「麗しき島々」収録曲紹介 10.ようかい(種子島)

種子島の古老が歌う音源で知り、非常に気になって調べて地元の方に質問しながら着想を膨らませました。12番まで残っていますが、有名なのは5番までです。ちなみに、「ようかい」というのは妖怪ではなく、「よしよし」というような意味の方言です。
こちらも笹子さんプロデュースの曲で、極上の子守唄に仕上げてくださいました。刃物の生産が盛んな種子島から屋久島に出稼ぎに出て…という当時の人の営みが伝わる歌詞です。笹子

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麗しき島々 曲紹介 9.小瀬田の四つ竹踊り歌

麗しき島々 曲紹介 9.小瀬田の四つ竹踊り歌

毎日「麗しき島々」の中の曲を紹介していく試みです。
8曲目と9曲目はライブでも屋久島メドレーという形で歌っているので、アルバムでもつづけてみました。
〈えぐさゆうこ江草啓太〉名義でリリースしたCD「まつばんだ」にも収録した屋久島の踊り歌で、その際にはピアノと歌のみで録音しています。

この歌は地元の名人・藤原貞子さんの唄を聴いて、ぜひお会いしたと思いご連絡して直接録音したものを元にしています。小瀬

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麗しき島々 曲紹介 8.小島の子守唄(屋久島)

麗しき島々 曲紹介 8.小島の子守唄(屋久島)

8曲目に差し掛かってきました。書いていくとアレンジに関するこだわりやブックレットに書き切れなかったこと、ミュージシャンについてなど好きなだけ書けるのがいいですね。ライブを結構な頻度で行っていた時は、馴染みがない歌の背景や歌詞などを知って欲しくて「ティアレミュージックだより」という瓦版的フリーペーパーを配っていたのですが、それに近い感じがあります。
 さて、曲についてですが、屋久島の唄は残っている資

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「麗しき島々」曲紹介 7.奄美のてまりうた

「麗しき島々」曲紹介 7.奄美のてまりうた

 いよいよB面に突入ですね(レコードではないけれど。笑)。

 最近は楽曲配信は切っても切れないところがありますが、それでも自分のやっている音楽は何らかの手作り感、懐かしさをどこかに残しておきたい…という思いでやっています。最初の屋久島CD「まつばんだ」の際にはクラフト紙のジャケットに一つ一つハンコを押していくという作業でした。それはとてもとてもしんどかったので(苦笑)、次のミニアルバム「宝歌」は

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「麗しき島々」3.千鳥浜(ちぢゅりゃはま)

奄美大島・加計呂麻島の花冨集落の八月踊り唄です。奄美の民謡には三味線で唄う「シマ唄」とチヂンという太鼓で唄い踊る「八月踊り」というジャンルがあり、この曲は「八月踊り唄」のひとつです。
この曲は何年も前から弦アレンジで演奏していて(出産前からなので、もうかれこれ7年くらい…!江草啓太さんによるアレンジです)ようやく形にする事ができました。
今回ようやくレコーディングに取り組むことができました。ちなみ

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「麗しき島々」収録曲について 6.まつばんだ(屋久島)

「麗しき島々」収録曲について 6.まつばんだ(屋久島)

5曲目は屋久島古謡「まつばんだ」です。
CDなのでA面、B面はありませんが、もしレコードだとしたらここでA面の終わりというイメージで構成しています。最近は配信で聴く方も多く、
CDを通して聴く方とそうでない方がいらっしゃると思うのですが、あえて懐かしい感じを出したいと思いました。

屋久島の曲だけ集めたえぐさゆうこ江草啓太名義のミニアルバム「まつばんだ」ではピアノアレンジでしたが、今回はアカペラで

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アルバム「麗しき島々」曲解説 5.とっぴぶし

アルバム「麗しき島々」曲解説 5.とっぴぶし

続いても屋久島の唄です。
とっぴぶしは飛魚漁の唄です。屋久島では飛魚漁が盛んでした。
笹子重治さんの提案で、パーカッションの渡辺亮さんに入っていただきました。
笹子さん・渡辺さんのコンビを初めて聴いたのはEPOさんのアルバム「wica」ですが、お二人が初めて顔を合わせたのもwicaだったそうです。
渡辺亮さんの収録の際にはたくさんの民族楽器が並び、スタジオには水の入った大きな器が運び込まれました。

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アルバム「麗しき島々」解説 4.鳥が鳴く(屋久島)

アルバム「麗しき島々」解説 4.鳥が鳴く(屋久島)

続いては、屋久島の古謡「鳥が鳴く」です。これは、新ラッパ節の系統と言われている曲で、楽譜と歌詞のみ残っていました。
屋久島にはこのような曲がたくさんありまして、私が最初に古謡の聞き取りを行った際も、歌えるお年寄りというのは非常に少なく、今はさらに少なくなっています。と同時に、地元でも唄を再生しようという動きがみられているのは非常に頼もしいです。
そもそも屋久島高校に赴任されていた野呂先生をはじめと

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「麗しき島々」収録曲について 2.喜界島の田植え唄

「麗しき島々」収録曲について 2.喜界島の田植え唄

11月15日リリース予定「麗しき島々 beautiful islands」の2曲目は、喜界島の田植え唄です。

喜界島は奄美群島の一つです。
喜界島には今でも「塩道長浜節」「むちゃ加那」などは大会でも歌われるような有名な曲だけでなく、喜界島固有の唄が何曲もあります(今回はアルバムの中に2曲、喜界島の曲を入れました。もう1曲についても後日ご紹介します)。

この田植え唄、喜界島の唄者、菅沼セツエさん

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「麗しき島々」収録曲について 1 長雲節

「麗しき島々」収録曲について 1 長雲節

6年ぶりにCDを出します。
このご時世に…!
我ながらドキドキしていますが、
このタイミングだと思ったのでもうやるしかないです。少しでも応援いただけたら嬉しいです。

タイトルは「麗しき島々 songs of beautiful islands」。
12曲入りのフルアルバムです。(前作はミニアルバムでした)

どんな曲を歌っているのか?
1曲ずつご説明していこうと思います。

1曲目、「長雲節」。

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