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神保町ブックセンターにて展示プロデュース、唐十郎「状況劇場」の貴重な品々と当時を振り返るトークイベント

岩波ブックセンター跡にできた「神保町ブックセンター」。2018年にオープンした本屋・カフェ・コワーキングスペースの複合施設です。

岩波文庫の本をすべて取りそろえ、岩波書店以外にも書店員による選りすぐりの本が並ぶ本屋です。カフェは、珈琲以外にもフードや軽食が充実し、ゆったりくつろげる場所になっています。

神保町ブックセンターの様子

神保町の交差点すぐと立地もよく、待ち合わせやちょっとした休憩など、それぞれが思い思いに神保町を楽しむ場所として利用されています。実際、神保町にはカレーやラーメン店などご飯屋さんは多いですが、ゆっくりとお茶できる場所は、さぼうるなど昔ながらの喫茶店以外にカフェチェーン店を除くとゆったりとできる場所はあまり多いため、カフェ利用としても大変貴重な場所ではないでしょうか。

オープン後、新型コロナウィルスの流行によってなかなかイベントなどが実施できず難しい状況が続いてきたなか、新型コロナウィルスも落ち着きを見せ始めたこともあり、本格的にイベントスペースの運用や企画関連を充実させていきたいということから、この秋から企画ディレクションに携わっています。

本を軸としながらも、文化発信の間口を広げ本だけの魅力ではなく「本と〇〇」として、本と他の文化コンテンツをかけあわせ、神保町ブックセンターの魅力向上を図る取り組みを行っていく予定で、展示企画や定期的なトークイベント、ワークショップなどを企画していきます。

唐十郎・状況劇場にまつわる展示企画を実施

企画プロデュースした展示の1つとして、11月の3日と4日の二日間、「十貫寺梅軒アングラ総決算 ―瀧澤コレクションを中心にー」という展示企画を実施しました。


本企画は、希代の劇作家・唐十郎が率いアングラ演劇の代表的な存在として知られる「状況劇場」の看板役者であり、現在も第一線の俳優として活躍している十貫寺梅軒さんが保有している貴重な当時の状況劇場にまつわるコレクションの展示と物販です。

当時の状況劇場が公演していた舞台のサイン付きポスター、渋澤龍彦や寺山修司らの生原稿、台本、フライヤー、原画イラスト、美術家・赤瀬川原平が状況劇場の舞台装置に使う予定だった(結果的に使わなかった)掛け軸のような舞台装飾など、貴重な品々が展示されていました。

60・70年代のアングラカルチャーを振り返る

また、夜には両日ともに十貫寺梅軒さんをゲストに向けたトークイベントを行い、状況劇場の当時の状況や振り返りを十貫寺梅軒さんの軽快なトークとともに2時間じっくりお話いただきました。

▼弾丸トークショウ 70年代「状況劇場」アングラ回想録 登壇者・十貫寺梅軒 (聞き手・加藤良1)

トークのなかで、1974年のレバノン、シリアでの難民キャンプでの『アラブ版・風の又三郎』の公演の様子は、一歩間違えれば命も失いかねないほどの公演であったことは、現場に行ったものでしか語れない当時の様子を克明に語っていただきました。

他にも、1969年の唐十郎・状況劇場と「天井桟敷」の寺山修司との大立ち回りによる大事件の様子など、今だからこそ話せる内容に、参加者と大いに語らいました。

2日間という展示やトークでしたが、ちょうど神田神保町古本祭りの日とも重なっていたこともあって大変多くの人が展示に足を運んでいただきました。

引き続き、岩波ブックセンターにて、様々な文化的なイベントや展示、ワークショップなどをお届けしてまいります。

もし、岩波ブックセンターにてイベントなどをご検討されている方がいらっしゃいましたら、いつでもご相談ください。

プロデュース:江口晋太朗(トーキョーベータ)
企画:加藤良1
パートナー:神保町ブックセンター(スペース運営:サウンドスケッチ)

今後の執筆活動や取材、リサーチ活動として使わせていただきます。