2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(8)
2023年から2024年へ
あと1時間僅かの時間で2023年が終わる。
まだ何も終わっていないからか、あまり実感が湧かない。
しかしそれでもこのアントワープで一年を始められることは後悔のない選択だったと思う。けたたましく鳴り響く爆竹以外は・・・
深夜、爆竹も鳴り響く中で人の流れを追っていく。観光客も、現地の人も、流れの中を迷いなく進んでいく。
その先にあったのはアントワープの市庁舎だった。
まだクリスマスの飾りが取り付けられたそこに、皆が集まり新年に思いを馳せる。きっとここは、アントワープの人たちのアイデンティティがある場所でもあるのだろう。
新年の花火
人の流れは市庁舎からさらに奥へ続いていた。案内表示を見ると、花火が打ち上がるらしい。
流れの終着点は川のほとり。
アントワープをアントワープとして成立させたヨーロッパ中と繋がるこのエスコー川もまた、アントワープの人々のアイデンティティなのだろう。
年明けまで後10分、ここで雨が強く降り出した。濡れながら、年が明けた。
雨が降っていても、まだ何も終わっていなくても、この大輪の美しさだけでここにきた価値がある。
新年の花火が打ち上がりきったと同時に、図ったかのように、さらに強まる雨足。
先頭集団から少し遅れて帰った私は、この恐ろしい混沌を目にした。とりあえず、路面を走るトラムと車は立ち往生である。
慌ただしい大晦日が終わり、行きがけのwokでソバをテイクアウト。
年越しそばというには少しばかり外している気もするが、しかしこれでいいのだろう。
アイデンティティとは、つまりふと思い出した時に、自然と湧き出てくるものだろうから。
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