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DO-IT参加から8年、配慮を受けて学ぶ ~ディスレクシアの海外進学~

2014年8月6日、8年前の今日、13歳の時、僕は東大先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授(当時、現在は近藤武夫教授)が主催するDO-IT Japanプロジェクトに初めて参加しました。
DO-IT Japanは,障害や病気による学習への困難を抱える学生への進学などのサポートと特別支援教育を普及させるべく発足したプロジェクトでした
僕は書字障害、紙に筆記で文字を書くことに困難があり、素早く綺麗な文字を書けないため、作文やノートテークに困難を抱えていました。学校では「もっと綺麗に文字を書け」「お前ができないのは努力が足りないからだ」と言われながら学習を続けていました。

精神的にも幼く、自分の困難を自覚して尚、何をすべきかわからずにいたあの日。合理的配慮の存在を知り、障害があっても配慮を受けることで学びを継続できたり、苦手なことがあっても他で補うことを学んだDO-ITの一年間
中邑賢龍教授と出会ったことで、同年始動した異才発掘プロジェクトROCKETにも第一期生として所属することができました。
そこでやりたいことを実現させるための方法を学びました。
そのどちらもが、この日に始まったのです。

困難だった高校進学

しかし当時、合理的配慮を中学校に求めてもiPadを使用したノートテーキングなどはなかなか受け入れてもらえないのが実情でした
高校受験において僕は合理的配慮を求めて千葉東京の25校の高校に交渉しましたが、配慮を受け入れてくれる学校は一校のみでした。その高校も結果は不合格でした
ちょうど、父親のベトナムへの転勤が決まり、僕は英語が全く話せない状況でベトナムのインターナショナルスクールに通うことになりました
インターナショナルスクールでの配慮や英語で学ぶことについてはまた後日お話ししたいと思います。

ディスレクシアでも大学受験ができるまで

今僕はオランダの大学で自分の夢のために物理学を学んでいます。そして、大学からSpecial Support、合理的配慮を受けています。
あの時学んだことが今の僕と僕を取り巻く環境を作っていいます。
今回はオランダで受けている配慮の詳細についてお話しします。
海外大学であれば凡そ共通していると思われますので参考にしてください。

インターナショナルスクール/海外大学受験の入試について

海外進学においては事前の配慮申請は必要ありませんでした
何故かというとEnteringの条件が成績とエッセイの提出であったため、「紙で文字を書く」必要性がなかったからです
中にはオンラインで簡単な数学のテストが課される大学もありますが、全員がオンラインであり書く必要はありませんでした。その大学では問題文を読み上げる機能も採用していました。なければないで、自宅で受けるのでパソコン自体の「speech」機能を用いることなどに制約はありません

申請に必要な要件など

・「どんな支援が必要であるのか」を明確にする
自分が持つ困難や障害を説明し、その上でどんな配慮が必要であるのかを具体的に伝えることが必要です。
相手に交渉を行うので、自分の要求はきちんと明確化しておきましょう。
大学や国によっても配慮の実現可能性は多少変わってきます。その時交渉を主体的に進めるためにも、また最終的に納得できる妥協点を見つける時も自分の要求を精査することが大きな助けになります。
ちなみに書字障害を抱える僕は「別室での受験」及び「コンピュータを用いた試験」を申請しました。

・自分の困難を証明する書類など
例えば僕の書字障害、ディスグラフィアであれば、K-ABC iiやWISCなどの検査を行い病院の先生に診断書を発行してもらい、それを英語に翻訳してもらって証明書としました。
オランダでは配慮の申請に必要でしたが、ミャンマーのインターナショナルスクールへ配慮申請をした時は必要ではありませんでした。
国や学校によって必要書類は変わってきますが、持っておいて損はないと思います。
もし可能であれば、現地のお医者様に同じ内容で英語でサインを書いた診断書をいただいておけば間違いはありません。
申請には時に最新の検査が必要になることがあります。アメリカやシンガポールであれば再検査は簡単ですが、僕はベトナム、ミャンマーに駐在しており、検査をする機関はありませんでした。さらに、クーデターやコロナで日本への帰国もできなくなったため、現地の医師に日付の更新だけしてもらったこともあります。
不測の事態はどうしても起こりうるため日頃から早めの準備が必要です。

・申請に必要な窓口などをチェックすること
大抵の大学や高校は配慮申請に関する規定や必要条件、カウンセラーへの相談窓口などを公開しています。
そこの要項を確認し、必要な書類などを準備してください。

申請の流れ(僕の現在の大学)

1.まずstudent counsellorに状況を説明するメールを送信、その後アポイントメントを取りオンラインで対話。必要要項の情報が書かれたサイトと申請用のフォームのリンクを受け取る。
2.リンクに必要情報と求める配慮、診断書の電子コピーを添付し送信。受理されたのは一週間後。
3.カウンセラーに再びオンラインで対話し、具体的な配慮の方法について話し合う。別室受験は受け入れられたものの、コンピュータの使用に関しては議論が必要だった。
4.最終的に学校が貸与するパソコンを用いて解答を行い、USBに情報を保存して提出する試験形式にまとまる。
5.実際に運用が開始されたのは入学から3ヶ月後。少々の細かな問題が起こりつつも、改善しつつそのまま一年間配慮を受ける

インターナショナルスクール(高校)で配慮をお願いした時は入学初日にはOKが出て一週間ぐらいで方法も決まりました。これは校長先生に直にコンタクトを取れる環境だったからです。3,4000人の生徒を擁立し、さらに研究所も複数持つ大学では大きい組織であり、コロナの影響でアポイントメントを取りずらい環境でもあったため時間がかかりました

まとめ

かつて学校だけで学んでいた自分は「パソコンを使って試験を受ければ書きの困難を回避できる」というアイデアを思いつくこともありませんでした
今僕が語るように学校に支援を申請して交渉することはDO-ITできっかけを得てから自分で学んでいくことのできるものでした。
0を1に変えることができれば、あとは自分で100にも200にもすることができます。そのきっかけを掴むような出会いがどんな人にもあればいいと思っています。
そのためにも是非いろんなところに出て行動をしていろんな人に話を聞いてみてください。

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