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妻との出会い(1)〜新丸子の喫茶店の常連客同士だった〜

人生って不思議なもので、欲しいと思っていたものを予想もしない時に手に入れることがあります。「チャンスは絶対につかんでやる!」と構えている時には何も起こらず、ふっと力を抜いた時に突然向こうからやってくることがある。そんな経験を一度はしたことがあると思うんです。

僕で言えば、交際と結婚がそれに当てはまります。出会うのに問題ない状態の時には全然ダメだったのに、人生に打ちひしがれていてどうしようもない時に恋人ができたわけですから。

これから24話にわたって、妻と僕が思いもしない場所で出会ってから、付き合うようになるまでのストーリーを綴ります。

たまたま引っ越したことで、すべてが始まった

妻と僕は、川崎市中原区の「新丸子」という場所に住んでいました。東急東横線の「多摩川駅」と、川崎市の「武蔵小杉駅」との間の駅。多摩川土手近くにあるエリアです。

(多摩川線の「下丸子」と間違えられやすいけど、違うよ)

僕の家は、日枝神社という神社の近く(上丸子山王町)にあり、妻は上丸子八幡町(新丸子駅側)に住んでいました。お互いの家から、なんと徒歩5分ほどの場所だったんですね。

僕らは示し合わせて新丸子に住んでいたわけではありませんが、同じくらいの時期にお互い川崎市内(僕は幸区、妻は中原区)から新丸子に引っ越してきていたんです。まるで、お互いに出会うために引っ越してきたかのよう。

でも実を言うと、僕は武蔵小杉に住みたかったんです。でも家探しをしたのが2月で物件数が少なくて、不動産屋さんの「隣の駅ですが、新丸子も見ていきませんか?」の言葉でたまたま新丸子にある物件を内覧したんです。

「まあ、見るだけ見てみるか」くらいの気持ちだったのですが、物件を見てみたら、そこに住む自分が想像できて、即決。この街に住むことになりました。なんだか不思議ですね。

もともとは喫茶店の常連客同士だった

僕らが出会ったのは、東急東横線沿線の新丸子駅近くの商店街にある、「SHIBACOFFEE」という喫茶店でした。新丸子駅の近くには商店街が広がっていて、喫茶店、八百屋、薬屋、ごはん処など様々なお店があり、買い物には困らず、人との繋がりもある心温かさがありました。

SHIBACOFFEEさんは、そんな商店街にある喫茶店のひとつで、柴田剛さんという背が高い素敵なマスターと奥様が切り盛りされる席数10くらいのコンパクトな喫茶店です。

お店には常連さんが多く、マスターの温かいお人柄に包まれる心地のいいお店。「新丸子ブレンド」というメニューが僕は大好きでしたね。


初めて入店したのは2014年3月のある日、僕が新丸子に引っ越して3日くらい経ったころかな。土曜日の14時過ぎに商店街をふらっと歩いていたとき、お店の立て看板を見つけたのがきっかけでした。

「SHIBACOFFEE?ってなんだろう。今は予定もないし、ちょっと入ってみようかな」

そう思って、店に向かうことにしました。僕はチェーン店ではなく、個人店の方が好きなので、興味があったんです。

マスターが熊みたいに大きいけど、穏やかないい人で、やがて仲良くなって、週に3回くらい行くようになりました。

仕事で悩んだときには悩みを聞いてもらったりして、僕の憩いの場であり、精神安定剤のような場所でした。

第一印象は、まったくロマンチックじゃかった


僕が妻と出会ったのは、そんなSHIBACOFFEEさんでした。初めて妻を店内で見かけたのは、たしか2014年の冬頃だったと思います。

席はL字なのですが、妻は入り口から見て一番奥の席(トイレの前の席)に座っていて、マスターと親しげに話していました。一方僕は入り口に一番近い席に座っていました。

妻は声が大きくて、ハキハキして、気が強そうな女性だな、という印象を受けました。常連客感もすごかったし。

僕が妻に抱いた第一印象は、

なんか愛想も色気もない人だな(笑)

でした。妻の声は僕と違って、ボソボソしていません。はっきりと遠くまで通る声をしています。あと、これは妻にちょっと怒られましたが、あまりファッションにこだわっていない感じを受けて、素朴な人なのかなと思いました。

でも、整った顔立ちで綺麗な女性だなって思いました。女優の長澤まさみさんに似ているんです。

ちなみに妻は僕の第一印象を

「絶対に仲良くなりたくないなあ」

と思っていたそう。

それに、僕の顔は妻の好みではなかったようです(笑)結婚してから妻がそう言っていました。

「ごめん、ゆうゆちゃん(結婚後は妻からそう呼ばれてる)の顔、別に好みじゃないんだ」

って。

ま、まあ僕は「そのべさん、かっこいい!」と女性から言われたことはほとんどありません。特段かっこ悪くはないけど、だからといってイケメンではない。そんな感じの顔立ちだと思っています。

ただ、僕が赤い服を着ていたことは記憶に残っていたみたい。

赤色といえば、僕の両親がお見合いしたとき、父は母が着ていた赤いベストを気に入ったことをよく話していました。このとこは我が家では「赤のベスト」と言って両親の結婚記念日である10月10日には笑い話になります。

心理学でも恋愛に赤色が効果的なことは証明されていて、「ロマンチックレッド」というらしいです。赤色って、男女の出会いにはいい色ですよ!

馴れ初めについて、テレビなんかではよく、

「出会った瞬間に結婚するって思った!!」

なーーーーーーーーんてロマンチック言葉を目をキラキラさせながら言うなんてのがありますよね?

僕らにはそんなことはまったくなかったです(笑)結婚相手との出会いは、必ずしもロマンチックじゃない、ことを痛感しました。

だからね、今付き合っている恋人との出会いがロマンチックじゃなくても、初対面でビビビッて心にイナズマが走らなくて、全然大丈夫!!

そんな状態の妻と僕が、出会いから1年も経たずに、どうやって結婚したのか。

店内で見かけたときは会話すらしていないんです!この先に数々の偶然があり、今に至っているのです。

その2に続きます。


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