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【スペース配信レポ】家庭と仕事をミックスしてしまう


3月21日(月)、3連休最終日の夜8時に、ライターで編集プロダクション経営者の池田園子さんとスペースで「暮らし」をテーマにお話をしてきました。池田さんの落ち着いた語り方と進行のおかげで、「緊張してうまく話せるかな」という不安が吹き飛び、1時間の持ち時間をフルに使ってたくさん話すことができました。ありがとうございます!(開始前は緊張してトイレが近かった^^;)

スペースを途中から聞かれた方もいましたし、主催の池田さんから「今日のお話は良かったです!noteか何かに書いてレポートを書かれないんですか?」との後押しもあり、お話した内容のさわりをnoteにまとめてみました!うまく説明できなかった部分もあるので、しっかりと考えをまとめて書きました。

「両立」の2文字にピクリ… 僕は「両立」にモヤモヤしてきた


池田さんからスペースのゲストご招待をいただき、当日にお話する内容をメッセンジャーで打ち合わせをした際、「家庭と仕事との両立」はどうかとのリクエストをいただきました。

り、両立!!!!

子どもを持ってから、この2文字がどれだけ僕の目に飛び込んできただろうか。ネット記事でも、子育てを扱う書籍でも、保育園で定期的に配られる育児冊子でも、あらゆるところで「両立」の2文字を見てきました。

パパになって約5年。家庭と仕事の両立は僕が懸命に目指したゴールでもあり、「こんなの無理だ…」と何度も落ち込む原因ともなった言葉。それが、「両立」でした。

家庭も仕事のどちらもちゃんとするなんて、ハードルが高すぎるよー!


これは僕だけの感覚かもしれませんが、「両立」との単語から僕はプレッシャーを感じていました。どういうことなのでしょうか?僕の頭の中は文字よりも図で説明した方がわかりやすいと思い、こんな絵を描いてみました。

家庭と仕事が別々で、それぞれをなんとか並べ立てようとするイメージ

「家庭」「仕事」が別の柱で、誰もが平等に与えられた24時間で工夫をして、どちらにもしっかりと取り組み、成果を出すことを目指す。両立の2文字から僕が受けてきたイメージです。伝わるといいなぁ。

長男が生まれたのは2017年6月3日のこと。この日は僕がプレパパからパパになった記念日でもあるのですが、その日から僕の家庭と仕事の両立の日々がスタートしました。待望の我が子が誕生し、目の前にしあわせしかない!と思い込んでいたのですが、現実は違いました。

長男が誕生してしばらく経ち、妻が心身のバランスを崩してしまったのです。詳しくは以下に掲載するnoteに書いているのでここでは省略しますが、夫婦で衝突を繰り返し、離婚危機にまで発展した末に僕は働き方を変え、通勤ありきから在宅メインで仕事をするようになりました。日中はオフィスで仕事だけをする環境から在宅で妻と子どものケアや家事をできる環境で仕事をするようになる。このときから僕の葛藤の日々が始まりました。

当時の心境は、この一言に尽きます!

仕事に集中できない!!子育てと仕事を両方するなんて、無理…。

ちょっと大げさな表現かもしれませんが、仕事と育児の両立って、まるで北海道と沖縄県に同時に向かおうとしているような感覚を僕は抱いていましたね…。

パソコンの前で集中してタイピングしていたら、子どもが昼寝から目覚めてギャンギャン泣く。問答無用の中断に仕事の手は止まり、子どもが泣き止んで仕事に戻っても、さっきまで何をしていたかを思い出せない。パソコンの前に座っても、集中力がなかなか戻らない。またあるときは、朝保育園に子どもを預けて仕事をバリバリやるぞー!と意気込んでいたら、午前11時過ぎに保育園から「息子さんがお熱があって」と電話がかかってくる。たった1本の電話でその日の計画は吹き飛び、息子を看病しながらのスケジュールを組まなくてはいけなくなります。

今日の午後の仕事はどうすんの?明日は登園できる?できなければ、仕事どうする?

家庭も大事、子どもはかわいい。でも、仕事だってしたい。家庭を優先すれば仕事に時間を割けないし、仕事に向き合いすぎると妻と子どもたちのケアができなくなる。「あちら立てればこちらが立たぬ」とは、よく言ったものだなと思いましたよ。

待て待て。家庭と育児の両立って、どっちもちゃんとするってことだよね?仕事でもパフォーマンスを出して稼いで、それでもって妻子を大事にして家族仲を良好に保つ。そんなのできるの??ハードル高すぎない???

僕は無力感に包まれたし、両立にプレッシャーを感じてモヤモヤとしていました。

転機は、コロナ禍で「当たり前が当たり前でなくなったこと」


そんな感じで両立にモヤモヤしていた僕に大きな転機が訪れました。それが、新型コロナウイルスの流行(以下、コロナ禍とします)でした。2020年4月、全国に緊急事態宣言が出て、ステイホームが叫ばれ始めました。自治体から登園自粛のお願い通知が来て、我が家でも緊急事態宣言発令中は保育園を休み、子どもとの生活がスタートしました。

本来であれば保育園に通っている平日の日中に子どもが家にいる。対面ありきの仕事が軒並みオンラインに変化する。コロナ禍で、いろんなことが変わりました。公園に行こうにも、遊具にテープが貼られて遊べない。ちょっと前までの当たり前が、もう当たり前じゃなくなるとんでもない状況になったわけです。

とはいえ、お受けしている仕事は遂行したい!生活のために、仕事をしないといけない。自営業夫婦ですから、休んでも補償がない。やがて、子どもが家にいて、一緒に遊ぶ時間を取りながらも、仕事も進めるにはどうすればいいのか?を真剣に考えるようになったのです。

夫婦交代で子どものケアをしたり、仕事の時間を確保したりして、自宅の庭に簡易的な砂場をつくって子どもを遊ばせる工夫をしたりしながら暮らすうちに、僕の中にある考えが浮かんできました。

そうだ、僕は家庭と仕事の区切りをつけすぎていたからつらさを感じていたのかもしれない。よくよく考えると、家庭も仕事も僕の暮らしの一部じゃないか!だったら、両者を別物としてとらえるのではなく、うまくミックスしてしまえばいいのではないか???

池田さんとのスペースでは、これを「家庭と仕事を両立ではなく、融合させる」とお話しました!

「両立」は対立、「融合」は調和のイメージ


ここで「両立」と「融合」の何が違うの?と疑問を持たれる方がいるかもしれませんので、しっかりと説明いたします!率直に申し上げますと、僕が言葉から受けるイメージの違いです。

なので、「そのべの言っていることがわからない。両立でいいでしょ!」と思われる方もいらっしゃるはずです。以下が、僕が持つ「両立」と「融合」のイメージです。

「両立」は、本来並び立てづらいものを、頑張って並び立てる(対立のイメージ)


「融合」は、暮らしの中にミックスしている(調和のイメージ)

絵で描くと、こんな感じですね^ ^


あんことパンを別々にではなく、一緒に食べるにはどうすればいい?→あんぱんにしよう!


身近なものでたとえると、牛乳とコーヒーを別々に口に入れるのが「両立」で、コーヒー牛乳にして食すのが「融合」でしょうか。

世の中を見回すと、融合によって生み出された食べ物がコーヒー牛乳のほかにもあります。長男が大好きなあんぱんもそうだよね。これは僕の予想ですが、あんぱんを世界で一番初めてにつくった人は、きっとあんことパンをミックスして食べたかったんだと思います。「人はあんことパンを別々に食べればいいと言う。それはわかってる。でも、俺は一緒に食べたいんだー!!!」と思ったに違いない!

仕事と家庭(子育て)の境界線が曖昧になっていく


あんことパンを合わせてあんぱんの理屈はわかった。じゃあ、そのべはどんなふうに家庭と仕事を融合しているのか!? 具体的には、こんなことをやっています!

・オンラインミーティングに子どもが乱入してもよしとする(事前に関係者に断りは入れています)

・家事や子どもの寝かしつけをしながら、オンライン講義を聞く

・上の子の保育園送迎中、下の子のベビーカーでの散歩中にアイデアをスマホに音声入力する

・午前中は子どもの保育園の行事参加、昼はオンライン打ち合わせ、夕方には子どもの通院のように、仕事を組み合わせたスケジュールを組む

↑で書いた通り、僕はスマホの音声入力を多用しています!僕はiPhoneユーザーですが、音声入力の精度がめちゃめちゃ高い(いや、たまに変換がおかしいけど、後で直せばいいしストレスがない)ので、助かっています。iPhoneにデフォルトで入っているアプリ「メモ帳」を開き、そのときに浮かんだアイデアを喋ります。たとえば、歩きながら記事のタイトル案を思いつくことがあるので、そのときには忘れないうちにメモ帳に音声入力して記録に残します。記事の構成案、リードの方向性、企画書のドラフト、今後の目標など、頭に浮かんだことをメモ帳にストックしておくのです。

以前の僕だったら、仕事はオフィスじゃなきゃダメだ!リビングのテーブルに座り、パソコンの前に座らないと集中できないし、アイデア出しもできないと思い込んでいました。なぜから、育児は育児。仕事は仕事の区切りが強すぎて、仕事に集中できる状況にならないと仕事を始められないと思っていたのです。

しかし、結婚して子どもが生まれ家族が増えると、自分がコントロールできること以外の出来事が起こります。スペースで池田さんも「仕事でも関係者が増えるといろいろ起こりますからね」おっしゃっていましたが、本当にその通りで、子どもの発熱や嘔吐、いまだったら保育園が臨時休園するなど、自分の思い通りにいかないことが増える。言い方が適切かわからないのだけど、数々の「制約」を受けている状況では、柔軟に対応をしないと身動きが取りづらくなってしまう。

もちろん、静かで誰からの干渉されない仕事に集中できる環境で原稿を書くのが一番良いことは僕もわかっています。同時にいくつものことをするのではなく、ひとつのことに向き合う方がいいことだってわかっています。でも現実的に、その環境を整えることが難しいなら、いまの状況の中でベストに近づけるしかない。それが僕にとっては、家庭と仕事の区切りをなくし、両者を融合することだったのです。

家庭と子育ての境界線が曖昧になってきたイメージ


たった5分でも、できることがある


とはいえ、いくら「両立」ではなく「融合」だと思っても、最初はどうしても家庭と仕事を切り分けすぎて、うまくいきませんでした。育児に時間を使えば、仕事に充てる時間は減るし、融合なんて無理ー!!とたくさん発狂しましたね…。

しかし継続は力なりの言葉通り、「僕は家庭と仕事を融合するんだー」と朝な夕な思っていたら、そのうち「お、なんだかうまくいってるかもな」と思えるようになってきました。

たとえば、時間の使い方。前までは、「仕事の時間がない、時間がない」が口癖でした。たしかに制約を受ける暮らしではあるものの、それでも5分や10分の空き時間はあります。ちゃんと僕には時間があるんですね!!

たった5分でも、やれることはあります。本を3ページは読めるし、原稿の構成案を少し書くこともできます。気分転換のためにお茶をいれることだってできる。真っさらなグーグルドキュメントに一から原稿を書くのはきつくても、仕上がった原稿の見直しはできる。「あ、ここの段落はいらないな」とか「ここは流れが急だから補足を入れよう」とかの判断はできるんですよ。僕は原稿の推敲を、子どもたちを寝かしつけた後、寝室ですることが多いです(寝る前のスマホは本当はよくないんですが…)

そう考えると、がっつり仕事のための時間は取れなくても、ちょっとでも仕事を進めたり、勉強したりする時間はちゃんと取れているわけです。

こどもと過ごしていてと、5分とか10分の隙間時間が生まれることがあります。子どもがお昼寝したとか、ベビーカーを押して散歩中に長い信号待ちをしたりなんかですね。そんなわずかな時間を使って、今の自分ができることをすればいいんだ!と気づいてから、なんかだ気が楽になったし、前向きな気持ちで子育てにも家庭にも仕事にも向き合えるようになりました。

家庭と仕事のバランスに悩む、誰かの役に立てたら嬉しい

なんだか力が入りすぎて、ここまで約5000字書いてしまいました。しかも、スペースで話していない内容もかなりあるという^^;

この文章の最後にお伝えしたいことがあります。上で紹介した「融合する」考え方は、あくまで僕のやり方にすぎません。「両立」という言葉に何の違和感を抱かないなら、わざわざ融合なんて言葉を使わなくても、融合を目指さなくてもいいんです。

子どもを持ち、妻とたくさん衝突し、コロナ禍を転機に試行錯誤を続けてきた僕というひとりの夫でありパパが現時点で「これがいい」と思っているやり方を発信することで、誰かの役に立てたらとの気持ちで書きました。

最後までお読みくださって、ありがとうございました!

そのべゆういち
charoma0701@gmail.com

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