自らパンツを脱ぐ 〜共感力の基本〜
先日学生とのWebイベントに参加して、グループディスカッションをしている時に、学生のRくんから次のような質問をされました。
「仕事とプライベートのオンとオフはどう考えているんですか?」
ちなみにこの問いに正解はありませんが、相手が共感することがポイントです。
ちなみにこの時の答えは・・・
「私はそこまでオンとオフの切り替えを大切に考えていません。オンとオフという言い方はひょっとしたら仕事が義務という発想が根底にあるかもしれません。それよりもオンが楽しくて仕方がないという仕事を考えることが大切だし、それを今から選ぶことができるのが学生の特権だし、ぜひオンについてもっともっと悩んでみてください」
そうするとRくんは共感してくれたようで、笑顔でお礼を言ってくれました。
すると次にちょっと大人しい女性Aさんが次のような質問をしてくれました。
「私はアルバイトでも怒られてばっかりで、正直人生をやめたいと思ったこともあるのですが、仕事に行きたくないと思うことはありますか?」
学生とのグループディスカッションで、こんな重い(heavy)質問が来るとは思っていませんでしたし、正論は言えるけど、きっとこの子の共感は得られないなと思いました。
なぜならば私も悩んだり苦しんだりしたことはもちろんありますが、人生をやめたいと思った経験はなかったからです。
そこで私は、一緒にこのイベントに参加していた女性社員のSさんに話を振りました。これぞいわゆる無茶振りです(笑)
しかし性別が同じというだけで、私よりは共感を得られるのではないかという一縷(いちる)の望みは持っていました。
するとSさんは「私も仕事に行きたくないと思ったことはあります」と話を切り出したのです。
「私は早くに両親を亡くしたので、人生で落ち込んだ時もありましたし、どうにもならないなと思うこともありました。それでも何とか頑張ろうと思っていて、その場その場を乗り越えてきたら今に至っています。もちろん日々苦しみながら耐えながら我慢我慢で生きてきたわけではありませんし、楽しいと思うことや幸せだと思うこともたくさん感じています。でもAさんと同じようにもう終わりにしたいと思ったことは私もあります」
もう隣にいて、私も完全に聞き役になっていました。
こうやって自分をさらけ出し、開示することはとても大切ですし、この行為を経営コンサルタント時代の先輩から「自らパンツを脱ぐ」という言葉で教えてもらいました。
もちろん本当に脱いじゃだめですよ(笑)
さらにこのSさんは、次のように続けました。
「私が読んだ本で、“憂鬱でなければ仕事じゃない”という本があります。本の中身はともかく、この言葉を知っているか知らないかだけで人生が変わると思います。だから憂鬱だなと思う時は、これが普通なんだと私は思うようにしています」
Sさんが「自らパンツを脱いでくれた」おかげで、Aさんの人生が好転することを祈っています。
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