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(短編小説)アボカドとわさびとチーズの狭間で<前編>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*)

これは、いい奈さんが初めて書いた、ごはん小説です。
2015年6月18日のことになります。
ただただ読んでくださった方が、おいしそうやなぁと思ってくださったらええなぁと思って、書いたものです。
なので、特別なことは何も起こりません。
平和〜にお話は進みます。

2015年当時のまま、推敲も何もせずに掲載することにします。
改行だけしました。
どうぞよろしくお願いします( ̄∇ ̄*)


アボカドとわさびとチーズの狭間で <前編>


 食べる事が大好きなみゆきは田舎出身である。都会に出て来たきっかけは大学進学。初のひとり暮らしスタートでもあった。

 大学生活はつつがなくスタートした。友人も出来た。みゆきはおっとりしている方なので、友人作りの波に乗れるかどうか少し不安だったが、幸い隣の席に座った同級生が社交的な学生で、彼女から声を掛けて来てくれた。

「ねぇ、ご飯食べて帰ろうよ」

 お昼過ぎの大学の帰り道、社交的な学生、通称夢ちゃんが言い出した。みゆきは特に用事があった訳では無かったので、即OKした。

 みゆきと夢ちゃんは大学最寄り駅前のカフェに入った。こんな洒落たカフェなどみゆきの地元には無く、都会に出て来てから初めて入った時には緊張したものだった。

 つい挙動がぎこちなくなってしまったみゆきを夢ちゃんと友人たちは暖かく笑い、特別なマナーとかがある訳じゃ無いんだよ、と教えてくれた。

 さて、オーダーである。何を食べようかな。みゆきはメニューを睨み付ける。メニューには写真がふんだんに使われていて、どれも美味しそうだ。サーモンのムニエルやチキンのハーブソテー、ビーフシチューなどなど。

「みゆき、これ期間限定メニューだって」

 夢ちゃんに言われ、みゆきは彼女が差し出したメニューに目を移す。期間限定なので、オフセット印刷されラミネート加工されたレギュラーメニューと違って、ラミネート加工はされているもののインクジェット印刷という簡易な造りだ。そこにあるメニューはふたつ。みゆきはその中のひとつに注目した。

「……ねぇ夢ちゃん、この『アボカド』って何?」

 みゆきは正面に座っている夢ちゃんに聞いてみた。

「ああ。何て言ったらいいのかなぁ、確か果物でね、緑色してて、脂肪分たっぷりで『森のバター』て言われてる」

「美味しいの?」

「それはまぁその人の主観によるけど、味はトロに似てるって言われてる。このメニューみたいに和え物とかサラダにもするけど、わさび醤油で食べたりもするよ。私は結構好きだな」

「へぇー」

 大学に進学するまでは実家暮らしだったので、食に関してはお母さんに任せっきりだった。食べたいお菓子やスイーツを自分で買う事はあったが、食事に関してはずっとお母さんに作ってもらっていた。

 平日も休日も部活動をしていたので、手伝いをする事もあまり無かった。ちなみに平日のお昼はもっぱら学校の食堂だった。

 当然自らスーパーで食材を買う事もほとんど無かったので、アボカドが食卓に上がる事など無かった。今年50歳になるお母さんにとっては未知の食材だったのかも知れない。

 なのでみゆきはアボカドの存在を知らなかった。都会に出て来て知った食材は他にもあって、その度に都会育ちの夢ちゃんに教えてもらっていたが、このアボカドほど心惹かれた食材は無かったかも知れない。

 なぜこんなにみゆきの心を掴んだのかは判らないが、もしかしたらこれは運命かも知れない。

 そんな大袈裟な。とみゆき自身も思うが、食べたくて仕方が無くなってしまったのだから仕方が無い。

「私、これにする!」

 みゆきが前のめりで指さした期間限定メニュー、アボカドとスモークサーモンのクリームチーズ和え・16穀米プレート。

 夢ちゃんもメニューを決めたので、店員さんを呼んでオーダする。「少々お待ちくださいませ」と店員さんが去り、品が運ばれるまで、みゆきはついそわそわしてしまう。そんなみゆきを見て夢ちゃんはおかしそうに笑った。

「そんなに楽しみなの?」

「うん。アボカドって初めてなんだもん」

 やがて夢ちゃんの前には茸たっぷりのビーフストロガノフが、みゆきの前にはお目当てのプレートが運ばれた。

 1枚の大きなプレートの、手前にもっちりと炊かれた16穀米が盛られ、その上には半熟に焼かれた目玉焼きが乗せられていた。

 その左奥のシャキッとしたロメインレタスとマッシュルームのサラダには、フレンチドレッシングが掛かっている。そして右奥のココット型の中で、お目当てのアボカドが燦然と輝いていた。

 角切りにされた熟したアボカドと適当にカットされたスモークサーモンが、滑らかなクリームチーズで和えられている。上に振られている黒い粒々は黒の粒胡椒か。

 みゆきの期待値はマックスだ。さぁ! アボカドはみゆきの期待に応えてくれるのだろうか! みゆきの頭の中でドラムロールが流れた。ダラララララ……タンッ!

 いそいそとフォークを手にする。みゆきはさっそくクリームチーズを纏ったアボカドを掬い上げる。それを口に運び、そして……。



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山いい奈
がんばります!( ̄∇ ̄*)