見出し画像

何でもない会話に咲かせる愛

忘れられない言葉。根本にあるのは元気付けようとか笑わせようとか助けてあげたい心の優しさ。どんなに不器用だろうとそこに隠れているのは優しい愛かも知れない。

ひとはどんな言葉を言ってくれたかは忘れるがが、どんな気持ちにしてくれたかは憶えている。

ある詩人の言葉

【状況/心情】
蝋燭の火は消えてしまった。何度も火を灯そうと足掻いても静寂が流れるのみ。目の前にあるのにない、目の前に居るのにもう居なかった。現実と認めねばならない絶望が胸を縛り苦しめ、ゆらゆらと風に靡いて生気が抜けてゆく。家族、親戚たちの表情が曇り雨が降り悲しみに暮れていた時、私は貴方達の希望にならねば。これは私の人生であるが、私だけの人生ではない。

【身体】
言葉以前に息が詰まる。心臓と肺の狭間辺りを何かが圧迫している違和感。後悔、自責、悲嘆、感謝、愛情などが混ざり合い深緑や茶色の間のような汚く重苦しい様相を帯びる。一呼吸さえ全速力で走っているときと同等程の負荷が掛かっている。普段の呼吸と何ら変わらないが、鼓動は生きている労力を『痛み』として叫んでいた。

【ぐるぐる思考】
帰宅途中、電車の吊り革に掴まった手を見ると昼光色の蛍光灯に照らされた手の甲の皺が見えた。生物の授業で習った細胞膜や植物の細胞壁を彷彿とさせた。

人も原子の集合体と聞くが、物質と物質が結合し、何らかの相乗効果も相俟って物質が物質の域を超えているようにすら思える。それは記憶も同様に神経回路に情報が蓄積される単なるデータベース(物質)ではなく、水筆紙のように描く内容も自由でやがて乾いて消える儚い生物。

ずっと感傷に浸っていては時間は無常に過ぎてしまうから、怒り、憎しみ、悲しみ、絶望に呑まれてしまう時は、相手の表情に、行動に、言動に、仕草に、声色に、手荷物に、服装に関心を持って話しかけるだけで辛い時は心安らぐ子守唄になる。そうやって皆んな乗り越えていたことに気付いた。決して独りじゃない。私達が俺たちが付いていると今にも泣き崩れそうな表情を堪えて慰め合っていた。

出来れば家族や親戚と会いギュッと抱きしめ合えれば火種は温かく残り続ける。ずっと付け方が分からなかったし、勇気も出なかったけれどそれが全てだったんだ。


最後に

ひとはどんな言葉を言ってくれたかは忘れるがが、どんな気持ちにしてくれたかは憶えている。

あったかい気持ちをありがとう。大好きだよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?