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小学生の現地での英語学習と、帰国後の中学受験

アメリカ現地校で2人の子育て、中学受験を体験され、現在チューターとしてご活躍のりんごさんにお話を伺いました。 

チューターになったきっかけは?

元同僚の紹介です。彼女とは子供の年齢も近く、お互い同時期に海外にいて連絡を取り合っていました。帰国後再会し、お誘いを受けたため自分の経験が誰かの役に立てばと思いチューターになりました。

アメリカの現地校での経験について教えてください。

夫の駐在で約5年弱、アメリカ・ニューヨークの郊外に住みました。

当時小3の長男と幼稚園年中の長女は英語ゼロの状態でした。長男に関しては、駐在が決まってから公文でABCから始めたり、海外子女教育財団が行っている、現地校でのサバイバルを目的にした英会話教室に通ったりしました。日本人学校も頭をよぎりましたが、「困ったら考えよう、なんとかなる」という気持ちでした。現地校では英語のできる日本人の子が長男の同じクラスにいたので助けられました。長女は現地のキンダーの日本人のいないクラスに入りました。

最初の頃二人に必須だったのが「単語カード」です。伝えたいことはこれを見せるなり、言うなりするんだよ、と送り込みました。この単語カードは覚えたものは捨て、言いたかったけれど言えなかったものは増やしていく、つまり日々リニューアルしていくスタイルで使用しました。常時持っていたのは20枚くらいです。当時幼稚園児だった長女には、英語とひらがなで書きました。

最初の3か月はかんたんな挨拶以外、全然言葉も出ない感じでした。半年くらい経って徐々に慣れてきた感じです。長男は日本語がある程度固まってからの渡米だったので苦労しましたが、長女は周りのしっかりした女の子にひっぱられて話せるようになりました。長男は男の子同士、単語だけでコミュニケーションをとっているところもありました。クラスメイトの誕生日会やプレイデイトで徐々に打ち解けていきました。Nintendo Switchなどゲームは共通の趣味として楽しんでいました。自由に英語で読み書きができるようになるまでに3年くらいはかかったと思います。聞く→しゃべる→書くという順番で習得していきました。

長男は小3から中1まで、長女は年中から小3まで過ごしました。現在中3の長男は中学入試を経て、首都圏の中高一貫男子校に、小5の長女は公立小に通っていて、帰国子女入試に向けて英語も継続中です。長男は現在振り返って「アメリカ生活は大変だったけれど良かった」長女も「いい経験だった」と揃って言っていて、親としては嬉しいです。


ニューヨーク・ロックフェラーセンターのクリスマスツリー

保護者としてどのようにサポートされましたか?

現地校では「教科書を使ってここからここまでやりました」という目安が特にないので、親も学校で何をしているかわからない、子どもも英語ができないうちはわからないのが日常で、まさに暗中模索でした。持たせた単語帳の中に「今何の時間?」と聞くカードがあったくらいです。ですから、親もどう手伝っていいのかわからないということがありました。

長男の学校では全校児童600人くらいのうち、日本人が30人弱いて、日本人会もありました。そのつながりから、図書室で新しく入った本にラミネートカバーをかけたり、本の整理をしたりするボランティアや、生徒が図工で作成したアート作品を校内に掲示をする手伝いなどもしました。親が学校に関わる機会を持てたことで、校内の様子が分かり、親も頑張る姿を見せられたのは良かったです。

一方で、家庭は安心安全の場所として明日に向けて英気を養う場所という思いもありましたので、家では大好きな日本語の本を常に読めるようにしていました。振り返ると、日本語環境に寄りすぎてしまったかもしれない、英語習得を加速させるために、もうすこし英語をやらせてもよかったかと反省する思いもあります。しかしながら、こればかりは正解はありませんね。当時の子供の様子から、そうするしかなかったのかもしれません。

ボランティアとして本の陳列を手伝った学校のブックフェア(販売会)にて

帰国子女入試について、教えてください。

帰国は長男が小6か中1ごろになるだろうと思っていたので、小3は補習校に、小4から日系塾に行って国語と算数を習いました。中学入試の時、長男は1週間で集中して受験できる日程の学校を限定して選び、その前後の準備期間なども含め3週間日本に一時帰国しました。

長男は英語に苦手意識があり、実は現在通っている中高一貫校は英語抜きの国算入試で合格しました。英語入試は経ていないものの、英検準1級保持者は英語の取り出しクラスに入ることができ、似たような海外経験をもつ同級生たちと楽しく過ごしています。

長女は英語に日々触れているわけではないからか、かつては怒った時に英語になっていたのが完全になくなってしまいました。ただ、きょうだい間でゲームをしている時などは英語で話しています。帰国子女用の英語塾に通っていますが、それ以外は、英語の本を読んだり、Disney+でティーンドラマを見たりしています。

長男の時のような一時帰国中の受験と違って日程の制限がない分、色々な学校を受験できるのはいいことなのですが、選択肢が多いからこそ、かえって悩ましいと思うところもあります。長男の時にも思ったことですが、結局受かったところが本人にとっていい学校だと感じています。

ユタ州からアリゾナ州にかけて広がるモニュメントバレーにて

ボランティア団体の相談員3年目ということですが、活動について教えてください。

「海外こころのヘルプデスク24時」のボランティア相談員をしています。

新型コロナ感染拡大にともなって、ニューヨークの現地校は急遽オンライン授業に移行しました。当然ボランティアもなくなり、買い物をしてご飯をつくるだけ、という生活が続きました。夫や子供たちは仕事や授業がある一方で、自分の効力感が得られない気持ちになりました。

そんななか、たまたま相談員を募集していることを知り、「海外生活も長くなったし、困っている人がいるのだったらお役にたちたい」という気持ちで応募し、研修を受けました。

コロナ禍以降、相談件数も増えているようで、お悩みは人間関係など多岐に渡ります。Zoomを使って匿名で顔も見えない状態で話を伺います。利用者の方からは、家族にも言えない話を日本語で打ち明けられる場として感謝されています。海外在住者だからこそ分かり合える悩みがあり、自分がつらかった時に頼れたらよかったな、という思いでやっています。その方が持っている力を信じて、感情に寄り添うように心がけています。

「海外こころのヘルプデスク24時」のホームページはこちらです。
https://www.helpdesk24.net/

最後に、個別相談検討中の方にメッセージをお願いします

子供のことで相談をしようかと情報収集されている保護者の方は、子供としっかり向き合う愛情あふれる方と思います。相談に至るまでにたくさん考えられていると思いますので、その考えてきたことをぜひ聞かせてください。一緒に足りないピースを埋めるお手伝いができましたら幸いです。

Edu.torでは、ご相談をお待ちしております!

今回インタビューしたチューターのプロフィールはこちら

https://edutor-tutor.com/tutors/82


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